ガチャン…




「なんでタオル巻いてんだ?」

「い…いいじゃないですか///」


バスタオルを体に巻いて、彼の姿を見ないように目を逸らしたまま浴室へ入るローラ。

後ろから見ているバレルは目を細めた。


「勿体ねーだろ。後ろ向いたままでいいから外せ」

「えっ…!?///や…それは…」

「中入るまでそっち見ねーから早くしろ」

「…は……はい…」



仕方なく彼に言われるがまま、ゆっくりとタオルを外す。

ど…どうしよう…

恥ずかしすぎて、私耳まで赤くなってる…///

吐きそう。


落ち着かない状態でシャワーを軽く浴び、同じ向きのまま湯船に浸かる。


あ…なんだか心地良い温かさだ。

私が入って水かさが増し、座って鎖骨くらいの水位に。

体操座りのように体を抱え込んで座ると少しだけ緊張感がほぐれた。

恐る恐る後ろを振り返ってみると…

なんだかあまり見慣れないバレルさんの顔がある。


「…なんだ?」

「いえ…髪がいつもと違うから…」

「当たり前だろ」


当然だが全身が濡れている彼は、普段のように髪が外ハネしておらずストレートになっている。

それにいつもの蛇のピアスも外していて、なんだか別人みたい。


「ジロジロ見んな」

「あっ…ごめんなさい」


慌てて視線を前に戻した。

どうしよう…会話もないし気まずい。

とりあえず、この微妙な空気を紛らわそう。

何か…話題は…


「…………。」

「あの…えっと…///」

「喋らなくていい。力抜け」

「…っ」


なんだか、珍しく優しい口調のバレルさん。

私が緊張してるの察してくれてるのかな。

数分そのまま湯船に浸かっていると、徐々に体の芯から温まってきた。

後ろに好きな彼もいてくれて、徐々にリラックスしてくる。


「気持ち良いです。温かくて」

「………。」

「どうして、いきなり入れなんて言ってきたんですか?」

「シャワー借りに来たって、自分で言ったろーが」

「あ…れ、そうでしたっけ?」


背を向けたまま、ローラはようやくクスリと笑った。


「………。」


そこでバレルは手を伸ばして、後ろから彼女の体を引き寄せる。


「…っ////…バレルさん、ここお風呂ですよ」

「だからなんだ?」

「…こんな所じゃ」


お構いなく彼は背中やうなじに口を付け始め、その感覚にふわりと意識が揺らいでしまう。


「バレルさっ…///」

「素直に入ってきたっつー事は、お前も覚悟はしてたんだろ?」

「っ…///」


それは……そうかもしれないけれど…

でもそれを言葉として口で言われると途端に恥ずかしくなる。

彼はもう一度首にキスをして、その唇を耳元に近づける。


「今日は向こうに泊まるつもりだったのか?」

「は…はい…」

「なんで俺に言わなかった?」

「だって、バレルさん最近お仕事が忙しいみたいだし…毎回ここに来るのはさすがに迷惑かと思ったので」

「…………。」


彼からの返事はない。

怒らせてしまっただろうか。





ジャバ





すると大きな片手がお湯から出てきて、前から彼女の肩へ動いた。

それと同時に吐息がかかる程、こめかみに顔をくっ付けてくる。


「バレル…さん?」

「変な気、遣ってんじゃねぇ」

「…っ」


それ以外の言葉は何も言わない。

でもたったそれだけで気持ちがわかって

本音をはっきり言えない彼を、純粋に可愛いと思ってしまった。



「ふふ。わかりました、今度からそうします」

「笑うな」


後頭部から舌打ちの音が聞こえる。

首を横に回すと、彼の方から唇にキスをしてきた。







「ん…バレッ…」


後ろから両腕を回され、彼は唇をなかなか離さない。

私から無理に離すと、眉間にシワを寄せて不機嫌そうな顔を見せた。


「…なんだ」

「やっぱり、恥ずかしいです」

「何を今更」

「だっ…あ、ちょっと…///」


お構いなしに胸へ手を動かす。


「バレルさっ…待って」

「黙れ」


彼はこうなると、どれだけ私が「嫌だ」と言っても聞いてくれなくなる。

指を動かす嫌らしい手つき。

ますます後ろから体を抱き寄せられてしまうと…その…っ…


「あのっ…!や…こんなとこじゃっ…ダメですっ」

「関係ねーだろ」

「ふぁっ…あっ///」


うなじを舐められておかしな声が出てしまう。

それが受け入れる合図と思われたのか、彼の脳内を刺激してしまったのか。

片手を下へ伸ばした。


「バレ…ルさっ///…はぁっ…んぁっ///」

「んはっ…あっ」


彼のくすぐったい甘い吐息が耳にかかる。

付き合う前までは想像も出来なかった官能的な声。

私なんかより全然太い指が体を強く刺激して、頭がクラクラしてくる。


「あっ!…はぁっ///…そこっ…ダメで…!」


温かいお湯の中で体は更に熱くなった。

彼が欲情しているのが、背中の感覚でハッキリとわかる。

こんなに強く抱き締められて背中にキスされると…私っ…


「んはっ…はぁ…」

「バレルさんっ…はぁ…私っ…」

「こっち向け」

「…っ」


彼に言われて首を向けるが…


「違ぇ。体ごとだ」

「えっ…きゃっ///」


余裕がなくなったのか、力づくで彼女の体を自分の方へ向けさせる。


「……ッ…///」


暗がりではなく昼間の光がさして、ハッキリとバレルさんの体が目でわかる。

それに私の体も見られている。


「あっ…あのっ…///」

「今日はお前が上だ」

「え?」




な…今…なんて…?

上?…下?…あの、それって…


「バ…レルさ…あの…えっ…わっ!」

「わからねぇなら、そのまま黙ってろ」


お湯の中で軽くなった私の体を持ち上げ…


「ちょっ…!待って///…やっ」

「説得力ねーんだよ。んな体して」

「バレルさっ///」






ヌルッ



「ふぁっ///」


位置を確認され、そのまま体を降ろされる。


「アッ///…や…無理っダメです!煤v

「いい加減慣れろっ…はぁっ」


腰が沈むごとに体に強い違和感が。

私の体じゃないもの。

歯を食いしばり声が漏れながら、貴方は完全に私の奥まで入りきる。


「はぁっ///あっ…はぁ…はぁ…」


初めてではないはずなのに、恥ずかしさと言いようのない熱と鼓動に涙が出そうになる。

おかしいなっ…

私…バレルさんの事が好きなはずなのに…



「…大丈夫か?」


彼の問いかけにローラは必死に首を縦に振る。


「はいっ…」

「…………。」



すると彼はお湯から手を出し、白い頬にそっと触れた。


「…っ?バレルさん…」


表情もないまま彼女の頬を撫で、もう片方の手も。

両手で頬を支えられる。

何も言わず、ただ私の顔をじっと見つめてくる。


バレルさんは一体今、何を考えているのだろうか。



「んっ///」


顔を引き寄せられ


「んぁっ…はぁっ」


舌を深く絡められ、耐えられずに彼の肩に手を置く。

快感を求めてお湯の中で下から少しずつ動き始めた。


「はぁっ…あっ…」

「んっ!…クチュックチュッ…」


私が少し唇を離しても、すぐに次のキスをしてきて…

離したくないと言わんばかりに背中に腕を回される。


「はぁっ///バレッ…あっ…」

「ローラッ…」


彼は今までずっとひとり孤独で…

人の温もりに対して普通の人よりも強い憧れを抱いていたのかもしれない。

今まで自分の感情を殺して生きてきたんだ。

何度も人に裏切られたと言っていた。

真っ暗闇の世界にいたと言っていた。


今でもまだ、人に裏切られるかもしれないという恐怖を、心のどこかに隠しているのかもしれない。


だから彼はこんなにも私を抱き締めてくれる。

私との関係を、こんなにも強く求めてくれるのかもしれない。



「んはっ…バレルさん…」

「………」


お風呂の中。

キスの合間にローラが囁くと、彼は動きを止める。

無意識に彼女も彼の頬に手を添えた。



「私は…バレルさんが大好きです。
これからも絶対に裏切ったり…離れたりなんかしません」

「………」

「だから安心して、私の傍にいてください」


返事はない。

その代わり答えとして指を絡めて握ってくれた。

貴方が私に「愛してる」と言ってくれた時…本当に嬉しかったんです。

貴方とこうやって体を重ねる度、恥ずかしさもあるけど、その何倍も幸せを感じているんです。

もっと貴方に孤独という感情を忘れて欲しい。

幸せや人の温もりを思い出して欲しい。

私なんかにそれが出来るのなら、

私は何でもやります。



「…っ」

ローラは自ら手を離し、態勢を立て直す。


「んっ…」


僅かに顔を歪めると、自ら腰を動かし始めた。


「おい」

「バレルさん、私…貴方のためなら何でもやりたいんですっ…
迷惑かもっ…しれないけど…少しでも気持ち良いと感じてくれればっ…」

「…ッ」

「…んぐっ!」


漏れる声。

頭も体も一杯一杯で、それでもただ男のために動く。

顔が熱くてきっと見られない程真っ赤になっている。


「ハァッ///…あ、…ンッ!」

「クッ…」


頭がっ…おかしくなっちゃいそう。

波が大きくなってきて、浴槽からお湯が溢れ出てしまう。


「…ハァッ!…あっ…あっ///」


返事がないから彼が気持ち良いと思っているのかさえわからない。

不安の中で行為を続けると



「っ…」


彼が私の腰を掴んでくれた。


「バレッ…」

「休んでんじゃねーよっ…続けろ…」

「ん…わかっ…あっちょっ…///」


合わせて下からも突き上げられる。

バレルさんっ…喜んでくれている。

嬉しい…快感で頭が真っ白になって

体が勝手に動いてしまう。


「はぁぁっ///…んっ!あっ来てっ…」

「グッ…ハァッ…あ……、凄ぇッ…」

「んっ!や…ハァッ!」


外からの明るい光。

どこかの子どもの笑い声も。

昼間からこんな…私の脳も体もバレルさんで満たされている。

この人が愛しくてたまらない。


「やっ!あっ、バレルさんっもう限界ですっ」

「あぁっ…」



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