……………


「ふぎゃっ!」


背中から床に倒れるナイジェル。

それは次の日の朝だった。

8時過ぎに気持ち良くスッキリ目が覚め、珍しく軽い動作でベッドから降りてリビングへ向かった途端…

先に起きていたサラに突然腹パンを食らったのだ。


「何すんだ、イッテェ」

「なんでこんなに跡残してんのよ」


自身の着ているシャツの襟を引っ張ると、胸元に何カ所も赤い跡が残っている。

昨晩彼に付けられたものだ。


「なんでって…お前だってしてる時何も言わなかっただろ」

「それは…それ所じゃなかったからでしょ!」

「いーじゃねぇか、俺達の愛の証だ」

「気色悪い事言わないで頂戴。
再来週ビッキーと温水プールに行く約束してんのよ」

「その頃には薄くなってっから」

「全く…」


ナイジェルの部屋でコップに注いだ水を勝手に飲み干す。

肝心の彼はソファーに座り「イッテェ、何本か折れてねぇかな」と呟きながら頬杖をついていた。

女子がちょっと殴っただけで大袈裟な。(前にジムにも言われたけど)

呆れたのか彼女は背を向けて鏡の前へ向い、髪をいつものようにひとつに縛り始める。

ナイジェルは軽く背伸びをした後にサラの後ろに近づいた。


「んな怒んじゃねーよ。昨晩はあんなに可愛かったのになぁ」

「からかわないで」

「照れんなって。すっげー良かったぜ。今日も終わったら俺の部屋くるか?」

「来るわけないでしょ。今日は寝る」

「じゃぁ明日な」

「どんだけしたいのよ…」


ニヤッと笑うナイジェルとサラの不機嫌な顔が、まるで写真のように一枚の鏡に映る。

髪を縛り終えた彼女へ、後ろから耳元で甘く囁かれた。




「待ってるぜ」




「…わかった」











その代わり、私がいいって言うまで跡は残さないでよ。


ヘイヘイ。



fin


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