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「りんちゃん……あのっ…今度の金曜日空いてるっすか…?」



彼の名前は日晴響介君。

僕に出来た、初めての恋人だ。

とっても格好良くて、優しくて、素敵な人。

本当は周りの皆に自慢したくてたまらないんだけど、それが出来ない理由がある。

彼はあの「Weather Life」のメンバーの一人なのだ。


…といってもメディアに疎い僕は、つい最近まで知らなかったんだけど。

とにかくとても有名なバンドグループのギタリスト。そして芸能人。


そんな彼が、偶然出会った僕の事を好きになってくれて

お付き合いを始めて3ヶ月が経っていた。


バイトを終えて店を出ると、彼は時間がある日は必ず裏手で待ってくれている。

そしてこっそり2人で帰るのが当たり前の日常になってきていた。

彼が有名人という事もあり、大々的に外で一緒に歩く事はまだないので、僕達にとってこれが「デート」と呼べるものなのだ。


そして今日も人通りの少ない道を2人で歩いていると、彼は突然その質問を僕にしてきた。


「今度の金曜日…?特に用事はないけど」

「あのっ…それなら……俺の家、泊まりに来ないっすか?」

「家?」


彼はなんだか視線を合わせないし…ソワソワしている。

彼のお家…

確かWeather Life事務所近くのマンションに住んでるんだっけ?


「いいの?」

「…!は、はい!いや!特にやましい気持ちとかはなく!家だったらこんなにコソコソしないで堂々とゆっくり過ごせるかなと思って///!!」


家だったら部屋着の日晴君が見られる。

ギターを弾いてもらったり、一緒にご飯を作ったり…それを人目を気にせずに堂々と…


「うん、行きたい!」


楽しいイメージがたくさん膨らんで咄嗟に返事をすると、日晴君は大きく目を見開いた。

「ほ、ほんとっすか!!やった、嬉しいっす!
じゃ今度の金曜日、バイトが終わったら一緒に俺の家に行きましょう!」


日晴君のお部屋、どんな感じなのかな。

僕はワクワクしながら金曜日を待つことにした。


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