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まずはいつも使っている化粧水、乳液。

それを肌に十分なじませた後に、日晴君から借りたドライヤーで髪を乾かす。

僕は髪が細めなので、この長さでも乾くのは割と早い。

5分ほどであっという間に乾かし…あとはどうしようかな。

テレビでも見て…



ブーッ!ブーッ!


「?」

これは、スマホのバイブ。

僕の…じゃないみたいだし、日晴君のかな?


ブーッ!ブーッ!


しかもこの長さは電話みたい。

どうしよう。呼んだ方がいいのか…


ドンッ!


「あっ…」


とりあえずバイブの音の元を探していると、棚の上の物を落としてしまった。

いけない、日晴君のバッ……




「………ッ」



えっ…

なに…これ……



それは普段全く見慣れない箱。

一瞬タバコの箱かと思いドキッとしてしまったが、違う…これ……/////


バッ!!


咄嗟にそれを中に戻し、バッグも元の位置に置いた。




ななな………なにッ……!?


いやっ…その////


もちろん今までの僕には一度も縁が無い。

つい最近までは、これからも縁が無いと思っていたもの。


日晴君から家に誘われて…

さすがに男の僕にそんな感情はないと思っていた…///

だから…期待するのなんて、最初からおかしな話なんだと…


「………ッ…/////」



ーーーーーー


「い、良いお湯だったっす」

「そっか…。風邪、ひいちゃうよ。髪乾かしなよ」

「……っ?」


なんだろう…

さっきよりもりんちゃんの様子が少しおかしい気がする。


髪を乾かし終え、水を一口飲み彼女の元へ戻る。


「わ…」

「どうしたんすか?」

「う、うん。髪型がいつもと違うから…」

「あぁ…普段、頑張ってセット、してるんすよ」


なんとなく、2人の会話がぎこちない。

数秒間を置き、日晴はようやく口を開いた。



「あのっ…りんちゃん…」

「…はっ…い…」

「…今日は…一緒に寝ませんか?」

「……ッ////」




・・・



数秒の沈黙。


大きめのりんの瞳には、真っ直ぐにこちらを見つめる日晴の姿があって。



ごくり…


唾を一度だけ飲み込んだ。



「いい…よ……///」

「っ…マジッすか?」



コクリと小さく頷く。




男の僕が男の人に好きになってもらえた…

しかもこんなに素敵な人に。

それだけで十分。

これ以上の贅沢は望めないと思っていた。


でも…心の底ではやっぱりどこかで希望を捨てられなかった。


日晴君は他の男性とは違う。

男の僕を受け入れてくれる。


日晴君なら、男の僕の体も受け入れてくれるかもしれない。


傍で歩いていられたら…笑って話しかけてくれたら…


それ以上の愛を、男の僕は求めてはいけないと思い込んでいた。



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