……………


「お邪魔します」

「何お前(笑)随分礼儀正しいじゃん」


食器洗いも終わり、仲間達もそれぞれ部屋に戻って眠りについている時間。

部屋の扉を閉め、ビッキーは玄関から部屋の向こうを見つめた。

仕事や暇潰しで彼の部屋に遊びに来る事は少なくなかった。

だが、今日はなんだか目に映るこの部屋が初めて来る部屋に見える。



「まぁ…とりあえずソファーにでも座れば?テレビつけてても構わないし」

「あ…うん」


彼に言われるままソファーに座り、テレビのリモコンを取った。


相変わらず、彼の真面目さがわかる片付いた部屋。

いらない物はほとんど置いてない。

逆に少し寂しいくらいで、脱ぎ捨てた服や買って一度も身に付けていないアクセサリーなど物で溢れている私の部屋とは大違いだ。



『こちらがクリスマスでカップルに人気のデートスポットで…』


電源を入れて始まったのはクリスマスの特別番組。

ジムはそこで温かいコーヒーを出してくれた。


「お前のはちゃんと砂糖を目一杯入れたから」

「うん。ありがと」



ふたり並んでソファーに座り、淹れたての温かいコーヒーを飲む。

私のが砂糖とミルクをたっぷり入れたもので、彼のが全く何も入れていないブラック。

改めて考えると、メインルームではよくあったが彼の部屋でコーヒーを飲む事は初めて。

私好みの濃い甘めのコーヒー牛乳。


彼はテレビで流れている番組を見ながらポツリと呟いた。


「クリスマスの特番か。そう言えば今日はそんな日だったな。あんなに騒いでると目的を完全に忘れてた」

「え、信じらんない!あんなに街はクリスマス一色だったのに!」

「男はあんまりそういうシキタリに興味がないんだよ」


笑うジムに怒るビッキー。

やっぱり男女の感覚の差はどうしても埋められないのかな。

せっかく彼と素敵なクリスマスを過ごせる事を、心のどこかで楽しみにしていたのに…



「…って、去年までは思ってた」

「えっ?」


思わず飲み物をこぼしそうになってしまった。

コーヒーを軽く啜り、定番のクリスマス番組を見ながら彼は口を開く。


「でも、今年のクリスマスは今までと全然違うんだよ。こうやってお前と恋人になれて、お前と恋人として華やかな街を歩いて、こうやって並んでテレビを観れて…凄く…新鮮っていうか」


「……。」


「だから今日やっと、クリスマスって日がどれだけ綺麗な日かっていうの、わかった気がするんだ」


切なそうに話す彼の声がどこか色っぽくて優しくて、胸がいっぱいになる。

嬉しい…そう思ってくれてたんだ。



「私もだよ」



そのままビッキーは彼の肩に体を預け、ジムもそんな甘えたな彼女を抱き締めた。


窓の向こうには雪がちらついている。


微かに香るシャンプーの匂い。

テレビが流れる部屋でお互いぎゅっと手を握り合っていた。



「…何?」

「…ん?」

「じっとこっち見て…」

「…ほっぺたぷにぷにしてるな(笑)」

「なにそれっ…」


息が顔にあたる程近くて、親指でそのほっぺを優しく触られる。


「くすぐったいよ…」

「ははっ」


もっと強く抱き締められた。

もう…こっちまで体が熱くなってきちゃう。



「んっ…ちゅ……」


唇が近づいてきたので、それを拒む事なく受け入れた。



「…チュパッ!……クチュッ//…ちゅ…」

「ちゅ…チュッ……んうぅっ///…」



でも、やたら今日は舌を入れてくる。

テレビのついたまま、腰や頭などに腕を回し普段より強いキスを求めてくる。



「チュッ…んっ!…待って…」

「待てない」


握っている手を離し、指を絡めて再び握られた。

重なる手が熱くてディープキスで息も上がって、そして重い体重がのしかかってくる。



「…痛くしないから」


「……っ…ジム…///」


「ベッド……行こう」


小さく首を縦に振ると、彼はテーブルに置いてあったリモコンでテレビの電源を消し

そのまま軽いビッキーの体を抱え上げた。


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