埋葬されたあなたの事


頭が沸騰しているようで、帰ってきて早々に不貞寝に走った俺だったが、翌朝早い時間にばっちゃんの声に起こされた。まだ日の出間際の時間、なんだと思えばあいつが出てくらしい。のそりと起き上ってボンヤリとカーテンで閉ざされた部屋の壁を眺める。
昨日の夜、寝ていた時にあいつが部屋に入ってきたことも気が付いていた。何しに来たんだと噛みつく気力もなく無視していれば勝手に出ていき、なんとなく気になって居間でばっちゃんと話すあいつの声が聞こえたから、盗み聞いて。

―――本当にトリシャだったのか

その言葉にまた目の前が真っ暗になるような感覚を覚えて、けれど傍に寄り添ってくれたデンが心配そうにこちらを見上げているのに気が付いて結局すぐにまた寝て。一晩経ってある程度冷静になった頭で今日やることは一つだとカーテンを開ける。あれを、掘り返さなくてはならない。お陰で嫌な夢まで見てしまって最悪の目覚めだ。
丁度あいつが出ていくタイミングだったらしく、なんとなしにジッと眺める。ああ、やっぱり背中を見た方が本当にあれが親父なんだと実感が出来てしまってそれくらいに俺はあいつと向き合ってこなかったんだろうなと思い知る。ばっちゃんがあいつになにか話している声がくぐもって聞こえるが流石に窓越しでは明確な言葉までは分からなかったが聞いてもしょうがないことだろうとただそれを聞き流す。
しかしそこに思わぬ人物が現れた。は、とつい声が出てしまうがそれくらいには驚いてしまった。あいつに駆け寄っていったのはシャノンだ。あいつはシャノンが駆け寄っていくのを黙って立ち止まって待っていて、そして追いついたシャノンの顔はこちらに背を向けているせいで見えなかったが、なにやらあいつに手渡しているようで、窓に顔を寄せてそれがなにかを眼を細めて見つめる。


「(紙…いや封筒、手紙か?)」


なんで、あいつに。ふと視線を上に上げて、窓に映る自分の顔が歪んでいて意味もなくガラスを殴りつけたくなってしまった。





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投稿日:2017/0905
  更新日:2017/0905