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「みょうじ、お前今日待ってんのか?」
「え、ううん?なんで?」
「いや……んでもねぇ」
高校の三年間では、岩泉とずっと同じクラスだった。だからきっと岩泉はなんとなく私と及川がどういった関係であるのかを知っているのだと思う。いやなんとなくではなくもしかすると全て知っているのかもしれない。高校に入ってから部活には入らなかった。中学で故障をしてしまったというのもあったし、バドミントン部の見学に行った時に先輩が化粧バリバリの人たちばかりだったというのもある。あれは怖かった。帰宅部を謳歌していた私は必然的に放課後がフリーになる。バイトを始めたのは割とすぐで、カフェの店員としての営業スマイルも今ではお手の物だ。
けれど、こうしてバイトまで時間があったとしても私は及川を待たない。いや待たなくなった。二年の中盤までは健気に待っていたと思う。なんだかんだ言っていたって及川の事が好きな事には変わりはなかったし、私の気持ちを卒業式に聞いていた及川は何よりもバレーを優先してくれているのが分かっていたから余計に嬉しくなってしまっていた。
けれども、及川の中での私の優先順位は物凄く低いものだった。私の心が狭い訳ではないと、思う。チームメイトは大事にしてほしいしむしろそこで私を優先するようならば及川の頭を疑うと思う。友達を大切にする人も、私は好きだ。大体友達を大事にできないでいて付き合っている人を大事に出来る人なんて、私は好きになれないだろう。勿論私も及川よりも友人との約束が先ならばそちらを優先させているし、及川だってそういう人であったから問題ではない。
だけど、初めて会った他校の人からのナンパを優先させたり、告白してきたという先輩や後輩の女の子と出かけることを私以上に優先させたときには流石に悟った。あぁ、こいつ私の事本当にどうでもいいのだな、と。岩泉といる時にたまたまそういう場面を目撃してしまった事があったがその時はどうしてか岩泉に謝られてしまって、ちょっとだけ及川が嫌いになってしまった。なんで大事なチームメイトにこんなことで頭下げさせてんだお前、そんなことを思ってしまって口にしてしまったら岩泉に半泣きされてしまって焦った。あの時はホントに焦った。
「今日部活すぐ終わるんだよ、だからなんか及川から言われてっかと思ったんだけどよ」
「どうせ、別の子と約束してるよ」
むしろ、付き合っているのだって私の思い違いだったのではと思い始めてきたくらいだ。ラインだけは毎日してくれるけれども、偶に思い出したかのようにクラスに来て昼を食べていったりするけれども。いや後半は岩泉の所に来ているのか。
「てかそろそろインハイ始まるでしょ?頑張ってね、応援も行く」
「学校は」
「サボるよ」
「……なんでお前及川なんかと付き合ってんだよ」
「さぁ?」
岩泉が目頭を押さえて項垂れてしまったので首を傾げてしまったが帰りのHRを始めると担任が入ってきたために話は中断された。
投稿日:2017/0926
更新日:2017/0926