ミルラの樹木
「え!いぶきさんそれ行くの?いいなぁ!僕も気になってたんだよ!」仕事帰りにイベント会場に立ち寄って(今日は安室さんはポアロのバイトである)パンフレット貰ってきたのだが、その近くのコンビニに立ち寄っていたらしい真純ちゃんが手に持ったままだったパンフレットに気がついてそう声を上げた。キラキラした目に無意識に「真純ちゃんもいく?」と問いかけてしまっていた。
「え、でもいいのか?」
「真純ちゃんと沖矢さん知り合いだよね?それに女子高生探偵がいてくれたら心強いし」
「沖矢さんと行くのか?!余計に僕邪魔じゃない…?」
「え?なんでなんで、それにコナン君もいるよ?」
「行く!いぶきさん大好き!」
がばりと抱きついてくる真純ちゃんに本当にコナン君大好きなんだなぁと微笑ましく思いながら事後報告になってしまったことを少し申し訳なく思ってしまったけれどしょうがない、それにこういうのは人数が多い方が楽しいだろう。パンフレットには四五人での参加が望ましいとあるし。真純ちゃんの予定も無事に合うようだったので良かった。
「そういえば真純ちゃんってホテルあそこだったもんね」
「覚えててくれたんだ!嬉しいなぁ〜」
ぶんぶんとコンビニ袋を振り回しながら喜びを表現する真純ちゃんが可愛い、ちょっと犬みたいと思ってしまった。そして尻尾の如く振り回されるビニール袋の中身がどうやら食べ物だったのでつい、突っ込んだ質問をしてしまった。
「…真純ちゃん、それ御飯?」
「あ〜、ルームサービスに飽きちゃって」
気まずそうに中身を見せてくれたので覗き込めばパンばかり。明日のお昼ご飯もあると言っているが成長期にこの食事は如何なものなのかと眉間にシワが寄ってしまった。あまり干渉するのも良くないかという想いと折角仲良くなれたのだから少しくらい、という葛藤にちょっとした欲望が上乗せされ呆気なく勝敗が決まってしまい口を開いてしまっていた。
「その、本当によかったら、なんだけど…」
「ん?」
「家で御飯食べない…?」
「……」
「えっと、私もずっと一人で御飯食べてて誰かと一緒に食べたいなーって思ってて、それにいつも作り置き用に多く作ってるからその…よかったら、なんだけど」
一人分の食事を用意するのは案外面倒くさい。基本的に〇〇の元〜などの味をつけるものも数名分からのものしか無かったり、食材を余してしまうことも少なくはない。作り置きしても同じものを連日で食べるのもなぁと思ってしまうしなにより一人だと味気ないのだ。たまに毛利一家に混ぜてもらっているため一人になると余計にその味気なさに拍車がかかる。だからこそ誰かと食べたいなぁと言った私の欲がこんな図々しい提案を口にしてしまっていたのだが黙ったままの真純ちゃんに我に返り無理にとは言わないと口を開いたのだが、がしりと掴まれた手にそのまま口を閉じた。
「い、いいの?ほんと?ほんとに?迷惑じゃない?」
先ほど以上にキラキラした目だった。期待に満ちているように見えるのは私の願望だろうか。真純ちゃん可愛い。
「因みに今日は麻婆豆腐」
買い物手伝ってくれる?と冗談交じりに言ってみれば本当に買い物に付いてきてくれて籠を持ってくれ、買い物袋も持ってくれる紳士っぷりだった。危うくキュンとする所だった。
2017.6.18
投稿日:2017/1005
更新日:2017/1005