箱の中の赤子


「気になる」


しかしそれで納得出来ないのが園子である。乙女思考な割にサバサバしているというか、はっきりすっぱりしなければ気に食わない!という面があるのは知っていたけれどそれが見事に世良ちゃんのお弁当騒動に働いた。直接本人に聞いてもはぐらかされ、挙句世良ちゃんが「秘密〜」なんて言うものだから余計に火がついたと言ってもいいが、多分世良ちゃんも分かっていてやっていると思う。園子、遊ばれてるよ。
ここ一週間ほどは園子も直接世良ちゃんにアタックしていたのだがついに短い園子の我慢の限界が来た。そうと決まれば即行動な園子なのでそろそろかなぁと思っていれば案の定、お互い部活が早く終わる日に部室前で待ち構えていた園子を見て笑ってしまった。


「お弁当は一日おき、お弁当箱は同じだから絶対に作ってくれてる人の所に返しに行ってるわ」


「流石推理クイーンね」


「ふふん」


得意気に笑う園子に、しかし確かに言う通りだと納得。昨日はお弁当、今日は購買でお惣菜パン。ということは明日がまたお弁当の日になる。でもそれが分かったとしてもいつ世良ちゃんがお弁当箱を返しに行っているかなんて分からないし…とボヤけば更に得意気に笑い出した園子に周りにいた生徒がこちらに振り返った。


「それがね、あの子昨日お弁当箱忘れていったのよ!」


「え?本当?」


「机に引っかかったままだったわ…しかも!まだ帰ってないの!学校にいるのよ!」


「こ、声おっきい園子」


そういえばホームルームの時担任に呼ばれていた気がする、と思い出しそれでまだ帰っていないのかと推察する。園子に聞けば「靴がまだあったわ」と返ってきたのでもしかして部活をサボったのかしらと胡乱な目で見ればちゃんと出たわよと言われたがそれでも見つめ続ければミーティングを抜けてきたと白状した。やっぱりである。


「と、とりあえず確実にこの後世良ちゃんはお弁当箱を返しに行くでしょ、明日がお弁当の日なんだから」


「その後をつけるの?」


「蘭ったら分かってるぅ!」


絶対言うと思った、と荷物を1度持ち直しながら笑えば行くでしょ?と殆ど問いかけの意味を無くしたような聞き方をされ頷く。まあ、気にならないといえば嘘になるしそれに世良ちゃん自身も秘密と言いながら本当は言いたくてたまらないような、そんな言い回しをするのだ。だから園子がここまで気にしているのだし、多分世良ちゃんとしては暴いてほしいんじゃないかな、なんて。


「そうと決まれば外で待ち伏せるわよ!」


「誰なんだろうね?知ってる人かなぁ」


あんなお弁当を作るような人だ、きっと世良ちゃんも自慢したいくらい優しい人なんだろう。




 - return - 

投稿日:2017/1005
  更新日:2017/1005