八ヵ月分の邂逅

みんなすごいなあと思わざるを得ないほどするすると謎を解いていく面々。私と言えば部屋の中に隠されている暗号を見つける所までしか役に立たず、競うように解を出していく4人に感嘆を向けることに精いっぱいだった。部屋に隠されている暗号を探しているうちはこうじゃなかった、それが集まってさあ残りを全て解き明かし大本の大きな謎を紐解く鍵を探そうとなった時にはこうなっていた。我先に、とまではいかないがどうも競い合っていると表現するのが適しているほどに各自で暗号を解いていくのを見ているとわあすごい、と感動を覚えるくらいしか出来ない。誘っておいてこんな自分がとても不甲斐ないが最初からこうなるのは分かっていたか、とちょっと諦めを覚えつつ見事脱出をはたして真相を明るみに晒すことに成功した私たちに店員さんたちから惜しみない拍手が送られた。私もそっちに混ざりたい気分である。どうやら最速での脱出だったらしく随分と店側も驚いているらしい。でしょう、この人達凄いんだからなんて私が鼻高々に思ってしまったが笑うだけに留めておいた。特に安室さんと沖矢さんは女性店員さんに各自詰め寄られるほどに称賛されていてそうだよねこれでモテない訳がないよねと納得。


「まあでも、やっぱりコナン君が一番凄かったね」


「へ?」


私の隣でぽつねんと立っていた彼にそう声をかければ心底意外だとばかりに声を上げられてしまう。一番幼いにも関わらず彼ら二人に劣らずに謎を解いていたし、それにこういうのは小さい子供を立てるものだ。しゃがみ込んで視線を合わせればそんなことないよ、と謙遜の声が上げられてこの子らしいなと思いながら笑みが漏れる。


「そうかなあ、コナン君小さいホームズみたいだったよ?」


「そ、そんなことないってば」


「流石コナン君って思っちゃった」


「…あの、ホントいぶきさんここでちょっとそういうのは…」


「もしコナン君が良かったらまた私とホームズのこういうの、来てくれる?」


「行く、それは行くけどちょっと待ってお願い」


わたわたと何やら動きが可笑しいコナン君にもしかして照れているのでは、と思い至ってきゅんと心臓が掴まれた心地になった。小さい子とは総じて可愛いというがコナン君がこんなにもかわいい。また来てくれるという即答に嬉しくなってニコニコしてしまう。それにしても本当にすごいなあコナン君。新一君の影響だろうか彼に似てホームズが好きなのは知っていたけれど謎解きもこんなに出来るとは。いや前から頭の良い子なのは知っていたけれど改めて思った、私なんかよりもきっと頭がいいぞこの子。


「え〜、僕の事は褒めてくれないのいぶきさん」


「おわ」


のし、と背中に重みが加わって色気のない声が漏れた。振り返らずとも声から真純ちゃんなのは分かっていたので首に回ってきた腕に慌てることも無く、すねるような面白がるような声色に楽しくなってしまってふざけるように目の前にあった指を握りこむ。


「真純ちゃんもすごかったね!頼りになってお姉さん楽しちゃった」


「だろ〜、これからはいぶきさんが困ってたら僕に依頼してよ」


引っ張り上げるように立ち上がらせてくれた真純ちゃんにそのまま寄りかかる様になってしまって慌てたが、うりうりと頭を首辺りに当てられてくすぐったさが勝ってしまう。本人が鍛えているといつだったか言っていたがその言葉通り安定して私を支える真純ちゃんに感心してしまった。


「ちょっと真純ちゃんくすぐったい」


「いぶきさん首弱いの?」


「世良のねーちゃん怖いもの知らずで僕すごく怖い」


「なにが?」


「(こいつも確信犯だもうやだ)」




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投稿日:2017/1005
  更新日:2017/1005