ビン詰めの心臓
最近ザワザワと量が増えて来ているな、と家を目の前にして思う。先程家を出る時よりも、何故か教会に寄り付きたがらない奴等が明らかに増えている。昼間なのに、だ。だから、襲われたのだと思った。勿論家に踏み入れてすぐに、座り込む人物を見つけて不信には思った。でも何かから逃げた、それもここまで疲労する程恐ろしい物からと考えれば彼女がここに逃げ込んできた様にしか思えなかった。悪魔から逃げてきたのだと。
治療を終えてパタンと今出た部屋の扉をしめ、ホッと息をついた。よかった、切り傷はただの傷でしかなかった。魍魎に喉をやられて魔障を受ける確率より手足の傷が魔障であるほうがずっと高かった。だいたい、魍魎による魔障なんて知らない。
歩きながら思案し続ける。仮に彼女が元から"見える"のだとしよう。
だとしたら魍魎が多い所にわざわざ行って吸ってしまうなんてことにはならないし、魍魎如きにあんなに息が乱れるほど走り回ったりしない。他の上級、中級悪魔に追われていたとしたら僕が家に着いた段階で全く気がつかないという方が難しいし、この家に張ってある結界が反応する。
逆に彼女が見えないのなら、彼女の行動全てが謎になる。では、"見えるようになった"のなら。始めてみる魍魎にパニックになり、走り回りこの教会にたどり着いたのだとしたら。
だが、そうなればどこかに魔障があるはずであり、適切な処置が必要になるのだが。
「(やっぱり喉か…?)」
部屋から十分はなれ、立ち止まり携帯を取り出してある電話番号を押す。窓の外を見つめながらコール音を聞く、自分では対処しきれない。うようよ漂う魍魎を睨みながら待つと聞き慣れた声が自分の名を呼んだ。
「神父(とう)さん、今大丈夫ですか…できたら修道院に、ええ…」
状況を説明しながら未だに群れる魍魎に魔除けに濃度の薄い聖水でも撒いておこうと考えながらすぐ此方にくると言う電話の声に安堵のため息がつい漏れてしまって、「ボボボボっていったぞ電話!」と通話中の神父さんにゲラゲラと笑われてしまった。
投稿日:2017/1030
更新日:2017/1030