レプラコーン

「あれ?」


「なんや、どないしたん櫛谷」


「いや…教科書なくて」


「お前またか」


何やってんだと言わんばかりに呆れ顔の勝呂を横目にもう一度鞄の中と机の中を確認してみるがやはり次の授業の教科書がない。因みに古典の授業だ。またか、と言われる当たりお察しだと思うがここ最近忘れ物の頻度が軒並み高い。三日前は数学のノートを忘れて出されていた宿題のプリントをノートに挟んでいたので提出できなかった。が、運よく先生が回収を忘れていたので難を逃れた。二日前は体操着を忘れて体育を見学。昨日は現文の教科書と倫理の資料集を忘れてどちらも隣の席の花園さんに机をくっつけて見せてもらった。花園さんは風邪気味だったのか終始顔が赤らんでいたので心配していたのだが今日も普通に学校に来ていたので大事ないらしい。そして今日、気をつけていたのだが古典の教科書がない。あれー、と思いながらもまた寮の机の上に置いてあるのだろうかと思案する。三日間忘れ続けてしまった物達は揃って机の上に鎮座していた。いやでも本当に勝呂が呆れるのも分かるわ、同じパターンで連続で忘れるってどういうことだ。
はあ、とため息をつきつつ「机くっつけぇや」と言ってくれた勝呂に感謝する。流石に花園さんにばかり頼るのも申し訳ないと思っていたところだったのでお礼を言いつつ机を動かす。一人だけ列からずれて受ける授業にもなんとなく慣れてきてしまってこれはまずいなぁとボンヤリと思ったが自分のあほさ加減に勝呂同様に呆れてしまいそうだった。
なんでかなぁ、昨日は帰ってすぐに時間割を確認して速攻で必要なものを鞄に詰め込んだのに。ついでに今朝も鞄から出さずにだが確認をしてきたというのに。その時にはすべて揃っていたはずだし、机の上には何も乗っていないことを見てきている。ボケかなぁなんて少し自分が恐ろしくなりながらも机の上に消しゴムがなかったのでペンケースをごそごそと漁る。しかしさっきの時間までそこに入っていたそれはどうしてかその中には入っておらず首を傾げながら周囲の床を探してみる。しかし私の消しゴムの影はそこにもなく、よくよく考えてみれば前の時間からしまった覚えがなかったのでもしやノートか何かに挟んだまま仕舞ってしまったかと膝の上に乗せていた鞄をもう一度開けた時に、机をくっつけていた為にすぐ隣にいた勝呂がふらふらと頭を揺らしていることに気が付いた。


「…え、勝呂どうしたの、なんか顔色悪いよ」


「…なんやねん…ほんまになんやねんおまえ……」


右手で目を覆い隠すようにして机に項垂れてしまった勝呂だったが私が消しゴムを探しているという事に気が付いたのか、後ろに消しゴムのついているタイプのシャーペンを貸してくれた。
見た目の割に面倒見の良過ぎる勝呂の事をこの前間違えてお母さんと呼びかけたのはここだけの話だ。




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投稿日:2017/1203
  更新日:2017/1203