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朝早く起きる習慣がついていてよかったと思いながら学園の廊下を早足で歩いていく。誰もいないのを確認しながら帽子を深くかぶりやっと辿り着いた扉の前まで来た。

「はーい」

原因はこの人しかいない。私が来ることも想定しているだろうからいることはわかっていた。

「失礼します」
「おはよう、なずなちゃん」

理事長室に入ると雪柳先生が座り足を机に投げ出していた。

「これはどういうことですか?」
「わー、かわいいかわいい。似合ってるね!」

帽子を取ると雪柳先生は拍手をしながらそんなことを言う。帽子を投げつけたいのを堪えた。

「語尾ににゃとかつけないのかにゃ?」
「つけません。戻してください」

足を降ろし立ち上がると近づいてきて私の周りを歩き観察してくる。

「これじゃあ授業に出られません」
「猫耳生やされて心配する事がそんなことなんてなずなちゃんは真面目だね〜」

目的はわからない。だけど面白がっているのだけはわかる。

「学生ですから」
「うんうん、理事長としては嬉しいよ」

心にもないことを言っているのもわかり戻してもらえるよう言い続けようとしたら力が抜け膝から崩れ落ちていた。

「あれれ?なずなちゃんってばどうしちゃったのかなー?もしかして」

雪柳先生に顎を指先で上げさせられ顔が近づく。

「興奮してる?」

カッと顔が熱くなるのがわかるのに振り払えない。息が荒くなり触れられた場所に意識が集中してしまう。

「ひゃっ」

猫耳に口が寄せられ声が上がってしまう。

「効くみたいだね」
「なにを……したんですか」
「ねこがきもちよ〜くなるものを部屋に仕掛けただけだよ」

口が離れ顎から指先が外れ俯いた。体が熱くなっていき堪えないと口走ってしまいそうで唇を噛む。

「こういうプレイが好きな子もいるだろうからね〜。色々試してみないとね。うまくいってよかった」

座り込む私の周りを雪柳先生が歩き回る。足音が嫌に響き規則的に刻まれる音に意識が奪われそうになる。

「なずなちゃん、媚薬は嫌がるもんね」
「そんなものなくても……」

首を振って抗う。

「なくても?」

目線を上げると目の前に屈む雪柳先生が自分の膝に肘をつき楽しそうに私を見ていた。

「いや……」

手が猫耳に伸びて指先で擦るように触れられる。違和感があるのに心地よく思えて思考がぼやけてくる。

「あーあ、唇噛んじゃった」

唇に痛みが走り血の味がした。自分を保てなくなるくらいなら媚薬なんて欲しくない。痛みを紛らすことをしたくない。私が選んだことだから。

「猫耳プレイは僕だけだよ」

気づいたら押し倒されていて雪柳先生を見上げていた。

「変態ですか……」
「面白ければ変態でもいいかな」

首筋に指先が触れ横に線を引くように滑らされる。

「首輪をつけられるのは僕だけだから」

顔が近づき少しずれたキスをされる。先程噛んだ傷口を舐められ震える。

「痛い?」

痛みなのか快感なのかはわからない。それは雪柳先生そのものでどちらでもよかった。彼がつけてくれる傷なら何でも。


H28.9.14


彼がつけてくれる傷なら何でも
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