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ほとぼりが冷める事なんてなさそうだけれどとりあえず一日雲隠れしてみる事にした。
ロンさんはかろうじて止めたしごまかせるかもしれない。だって吊るされたくないし突き落とされたくもない。


一ヶ所には留まらず移動していると俺の姿を見つけて力強い足踏みでこちらにやってくる少女がいた。

「嬉しいな。お嬢さんから俺に向かってきてくれるなんて」

両手を広げて待ち構えてみてもお嬢さんは飛び込んできてくれるはずもなく、目の前で止まった。

「怒ってる?」

睨むように見つめられ聞かなくてもわかることをつい聞いてしまう。

「自分の発言には責任を持つべきだわ」
「そうきたか。冗談で言ったんだけど済まされないよね?」

ロンさんを呟かせるにはどうしたらいいかと言う平に諦めると返しながら冗談で呟けば七海ちゃんが脱ぐよと言ったら呟くのではないのかと言ってみたら一部から顰蹙をかってしまった。あげくに平はお嬢さんに殴られてしまったらしい。俺の発言のとばっちりを受けてしまったわけだ。
冗談だけど本気の案ではあった。実際ロンさんはやっと呟いたと思ったら呟けば七海ちゃんが脱ぐのかだったし。

「貴方はっ……」

強く言いかけて口を閉じ顔を逸らした。言いにくそうに片手で二の腕を掴み俯く。

「俺が、どうしたの?」
「……ロンは実行するでしょうけど貴方は本当に嫌ならやらないでしょう。今回は誤解されなかったけれど誤解されてしまうかもしれない」
「誤解って俺が女の子の服を脱がせに行く奴だって?誤解も何も俺はお嬢さんの服なら……」

ここは軽口を叩くところではないと言うかのように睨み付けられてしまう。そんな表情にも惚れ惚れしてしまう。

「そうだね、気を付けるよ。俺はお嬢さんがわかってくれていたらいいけどね」

気恥ずかしさが表情に現れて頬に手が伸びる。

「ど、どうしたの?」

触れる手前で手首を握られ、満面の笑みを浮かべられた。

「責任を取りに行くわよ」
「え、何の事?」
「ロンから七海を守るのよ!」

言いながら歩き出したお嬢さんに引っ張られる形で歩き出す。
雰囲気的に甘いものになってもいいはずなのにそうならないのは残念な気持ちもあるけれどお嬢さんらしくて笑ってしまった。

「一緒に行ってくれるんだ?」
「当たり前でしょ」

七海ちゃんのためだとわかってる。でもお嬢さん一人でもできたはずだ。むしろ普段ならそうしただろう。
そうせずに俺を探し共に行くのが当たり前と言われ嬉しかった。



H25.8.31

独りにはしない
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