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収録が終わりTRIGGERの楽屋へ向かう。走らないよう注意しながら。

「はい」

TRIGGERの文字を指さし確認しノックをすると十さんの声がした。

「あ、IDOLiSH7の七瀬です!」

名乗るとすぐに扉が開き笑顔の十さんが出迎えてくれた。

「中へどうぞ」
「ありがとうございます!」

中へ通されると椅子に座る天にぃの後ろ姿が見えた。

「七瀬誕生日だろ?おめでとう」
「おめでとう、陸くん」
「八乙女さん、十さんありがとうございます」

頭を下げると頭を撫でられ顔を上げると撫でてくれたのは十さんだった。

「どっかの誰かとは違うな」
「聞こえてるよ」

八乙女さんが言うと天にぃが振り向いて言った。

「天がこんなに素直なら毎日雨だな」

笑いながら八乙女さんに髪を軽くくしゃくしゃにされる。

「じゃあ楽が素直だったら雹?」

天にぃがいつの間にか隣に立っていて肩に触れ後ろに一歩引かせられると八乙女さんの手が離れた。

「天、楽。誕生日で陸くんも来てるんだからいつもと違ってもいいだろう?」

天にぃと八乙女さんは互いに顔を逸らした。

「はーい」
「わかったよ」

三人のやりとりを見ていると八乙女さんがオレに再び顔を向けた。

「何か欲しいものあるか?」
「え!?」
「そうだね。まだ好みとか知れてないし欲しいものを聞いた方がいいか。何が欲しい?」
「十さんまで!?」

まさか欲しいものを聞かれるとは思わず戸惑うと天にぃが肩に両手と顎を乗せた。

「二人ともお金はあるから何でもねだっちゃいなよ」
「天にぃ!」

そんなことを言われても困ってしまう。天にぃは勿論貰ったんだろうし聞いてみようかと考えていると八乙女さんから切り出してくれた。

「パッと浮かんだのでいい。俺は七瀬にやるんだから」
「そうそう。寝具でもお食事券でも」
「う……」

三人の視線が集まり俯きかけながら口を開いた。

「何か身につけられるものがいいです。オレだとかっこいいのがなかなか選べなくて。八乙女さんと十さんならかっこいいの選んでくれそうです」


「ボクがかっこいいものを選べないみたいだよね」

天にぃの家を訪れ夕飯の仕度をしていると天にぃが言い出して先程の楽屋での会話だとわかる。

「天にぃはかっこいいよ!」

鍋をかき回していた天にぃが少し驚いた様子でこちらを向いた。そして息を一つ吐き鍋に向いてしまった。

「陸、お皿出して」
「はーい。カレーのお皿……これかな」

大きな食器棚を開けてお皿を取り出す。食器に詳しいわけじゃないけど何となく高そうということだけはわかり慎重に戸を閉めた。

「ご飯よそって持ってきて」
「うん」

炊飯器を開けご飯を盛る。昔は待つだけで一緒に台所に立っても見ているだけなことが多かった。だからこうして待つだけではなく一緒に仕度ができるのも天にぃが頼んでくれるのも嬉しい。

「はい、天にぃ」

二つのお皿を鍋の横に置く。そのお皿にルーを盛る。美味しそうなカレーの匂い。昨日から天にぃは準備をしていて出来上がるまで時間はかからなかった。

「そんなにお腹空いてたの?」
「え?」
「嬉しそうだから」

言われてそんなに顔に出ていたかと手で頬を押さえると天にぃは笑って二つのお皿をテーブルに持っていってしまった。


夕飯を食べ終わり先にお風呂に入り天にぃがお風呂から上がるのを待っていた。

「ケーキは明日かぁ」
『カレー沢山食べたでしょ』

先程そう言われしまわれてしまった。食べたい。でもこれ以上食べたら動けなくなりそうで諦めた。
鞄の中から包みを取り出す。天にぃへの誕生日プレゼント。渡すのは5年ぶりになる。天にぃがデビューしてからはテレビ画面に向かってお祝いしていたのが過る。今は膝を抱えて見ているだけじゃない。
もう一つ鞄から取り出しジャージのポケットに入れた。


お風呂から上がると陸がソファに座りテレビを見ていた。ボクに気がつき立ち上がりテレビを消す。

「TRIGGERがゲストなのにいいの?」
「録画してきてるから大丈夫!今は天にぃと話していたいから」

駆け寄る陸に待つよう告げると部屋から包みを持ってくる。

「誕生日おめでとう、陸」
「ありがとう!天にぃも誕生日おめでとう!」

お互いにプレゼントを差し出しあい受け取った。ボクは包みを手にしたまま陸を見つめるとわかったのか包みを開け出した。

「クッションだ!」

どうしようか考えた末触り心地のいいクッションにした。クッションを回しながら喜んだ様子で見る。

「うさぎとねこのシルエットで可愛い!」
「陸に合いそうだと思って」

そう言うと喜んでいたのが不満そうな表情に変わる。

「オレ、19だよ?」
「知ってる」

不満そうな表情は見せてもやはり嬉しいのかクッションを抱き締めて笑った。

「天にぃも開けてみて!」
「うん。ヘアピン?」

包みを開けるとシンプルなヘアピンが出てきた。

「インタビューで作業するとき用に髪留め欲しいって答えてたから」
「よく見てるね」

確かに答えた。髪を切るわけにもいかないし別に髪型が嫌なわけでもないから留めるものがあればいいとは思っていた。
陸はクッションを置き、ポケットから何かを取り出したかと思うと髪につけた。色違いのヘアピンだった。

「お揃いなんだ!あ、大丈夫!寮でしかつけないから!」

シンプルなものだから人前でつけたとしてもよくあるもので被ったものと思われるだろう。それでもボクは外ではつけない。陸はそれがわかった上でお揃いにした。

「どう?」

同じようにつけると陸は笑って頷く。

「うん、かっこいい!」

頬に片手で触れると陸は少し俯いた。顔を近づけても陸は俯き加減のままでそれ以上は近づかない。

「天にぃ?」
「なに?」

何が言いたいかわかっていても聞き返す。上目遣いで見てきても距離はそのまま。

「陸が下を向いてるからだよ」

言うと顔が上がっても見つめるだけ。眉が下がり困る陸も可愛い。

「っ……」

両肩を掴まれたかと思うと唇が押し付けられた。すぐに離れてしまい一瞬だけ唇に触れて手を引いた。

「おいで」

手を引いて自室に連れていきベッドに座らせる。陸の足の間に膝を置き見上げる陸にキスをしながらゆっくりと倒していく。唇を離し手を腹部に触れシャツを捲り上げていく。

「着替えさせるのなんて何回もしてきたのに今は恥ずかしがるよね」
「着替えは恥ずかしくないけど……」

陸は恥ずかしいのか腕で目を塞ぐ。何度行為をしようと恥ずかしいものは恥ずかしいらしい。
胸までたくしあげ胸を指で弄り出すと声を抑える。中心を上からなぞるように下へ舌を這わせていく。
ジャージを下げながら腰を撫でると体が強ばった。

「……天にぃも」

顔を上げると両手が伸ばされていて自分のシャツから腕を抜き陸が脱がせやすいように頭部を向ける。襟元が掴まれシャツを脱がされた。
膝まで脱がしたジャージを完全に脱がせる。触らなくても勃っているのはわかった。
下着をずらそうと手をかけると陸の手が重ねられ止められた。

「いつも止めるよね」
「天にぃもう少し上に来てよ」

何をされるのかわかっているからか顔が少し赤い。想像しただけで恥ずかしいのだろう。
言われた通り上に体をずらすと手は退けられた。下着から手を離し引き出しから二つ取り出す。陸はそれをただ見つめながら瞬きを繰り返していた。下着をずらし下げる。そのまま両足を上げる。

「て、天にぃ!」
「口でされるのが嫌なら仕方ないよね」
「でもっ、つめた」

暴れ出す前にローションを指に絡ませ下腹部を探る。片手は足が下がらないよう太股を押さえながら後ろを解していく。

「く……」
「舌と指、どっちがいい?」
「ど、どっちも恥ずかしい……」
「恥ずかしがってたらできないよ」
「ひゃ」

指を増やして舌で膝下から足先にかけて舐めていく。

「て、んに……」
「そっちには触れてないから辛い?」

主張する陸のものが視界にはずっと入っていた。

「いつもなら口でそっちをしながらだったもんね。止めたのは陸だよ」
「……怒ってる」
「怒ってない」

怒ってはいない。ただわからせたいだけ。

「恥ずかしがる陸も可愛いけど気持ちよくなるのは悪いことじゃないよ」
「でも……」

指は動かしたままで陸は荒くなる息を整えながら話す。

「オレだけ、声出る」

正確にはボクも声は漏れても陸には聞こえないのだろう。
指を抜き押さえた手を外すと足は下がった。引き出しから取り出しておいた箱からゴムを取り自分のものにつける。その間は陸は起き上がり自分から下着を足から抜くと膝立ちをした。ベッドに上がり座ると陸が跨がってくる。

「恥ずかしいんじゃないの?」
「オレばっかりされてるから」

手探りでボクのものを手にし自分の中に入れようと腰を落としてもなかなか先端が入らないようで苦戦していた。

「どうしたの?」
「天にぃの、いじわるっ」

目を潤ませながら言うなんてまるで狙っているかのようだけど陸は狙ってなんてできないのを知っている。

「あっ!く……うぁ」

陸の手に重ねて先端を誘導してあげれば入り込んでいき陸はゆっくりと腰を落としていく。

「まだ全部じゃないよ」

止まり深呼吸をする陸を待ってから言うと陸が首を横に振る。

「無理じゃないでしょ。いつも入ってるんだから」

まだ着たままの陸のシャツを捲り上げると両手を上げて脱がせた。

「もう、入らないよ……」

腰を落とそうとしてもうまく入りきらないようで腰に手を添えて力をくわえた。

「ひっ、あ……」
「これで全部」

耳元に口を寄せて囁くと首に腕が回されゆるゆると腰が上がりすぐに下がりそれが繰り返される。

「天に、ぃ、はっ、何も、したら、ん、だめっ」
「っ……でもこれだとイケないよ?」

快感はあってもいつもより弱いのは陸もわかっているだろう。一生懸命動いてもどうにもならず陸が唇を噛んだ。

「わっ」

繋がったまま体を倒す。

「て、天にぃは……何もしたら、だめだって……」
「陸が煽るからっ」

陸はボクを気持ちよくしようと一生懸命動いていた。それが嬉しくもやはりこちらから与えたい欲望もあった。

「あ、あっ、天にっ」

膝裏を持ち腰を打ち付けると陸の声が先程より大きくなる。何度も何度も律動を繰返し息が荒くなる。陸が片手を伸ばして少し屈むと髪に触れた。陸もつけているヘアピン。乱れて外れかけている姿にボクも同じように外れかけているのだろうと思う。

「天にぃ、もう、イっ」
「いいよ、陸……恥ずかしくないから声をあげて」

告げると体を逸らせて奮わせながら声が上がり陸のものから白濁液が飛び散った。陸の声を聞きながら陸の中でボクのものも果てた。


「陸、シャワー浴びてきなよ」

汗だくになり陸にシャワーを浴びるよう言ってもシーツをかぶってしまった。先にシャワーを浴びて戻ってきても様子は変わらなかった。

「陸」

昔のように強く呼ぶと陸はおずおずと振り向きシーツから顔だけ見せた。

「汗だくのままだと、わっ」

ベッドに座り陸に近づくとシーツを被せられた。

「驚いた?」

シーツの中で陸は笑った。

「少しだけね」

つけ直したのか陸の髪にはヘアピンがきちんとつけられていた。ボクは既に外していて枕元に置いてある。

「陸はつけて」
「え?」

手を伸ばしヘアピンに触れる。

「見てるから」

手を降ろすと陸の顔が近づき唇が触れる。先程みたいに押し付けるようなキスではなくやんわりと触れるだけのキス。離れようとする唇を追うように重ねた。
隠れる必要なんてないのにまるで二人だけの秘密のよう。真っ白いシーツの中二人きりの誕生日。


H28.7.7


真っ白いシーツの中二人きりの誕生日
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