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賑やかな誕生日祝いが終わり深夜の12時前。兄さんの部屋を訪れ向き合い座っていた。

「兄さん、誕生日プレゼントありがとうございました」

正座をし膝に乗せたうさぎのぬいぐるみ。青のうさぎには青のリボンが首に巻かれていた。

「無断に部屋に入ってごめんな」
「兄さんなら構いません」

胡座をかく兄さんの足に視線を落とし落ち着かないようにぬいぐるみを軽くいじっていた。話したいことがあるのであとで部屋に行ってもいいか聞いたのに自分の部屋に戻ったらベッドにぬいぐるみが置かれていた。皆の前では今着用しているシャツをプレゼントしてくれて更に用意されてるとは思わなかった。それでなくても予定が狂っているのにこれでは言い出しにくい。兄さんには酔ってもらって話す計画だった。酔わせるつもりがなぜか弟の誕生日に酔いまくれないとお酒をほとんど飲まずに今の兄さんは素面だ。

「気に入らなかったか?」
「そんなことありません!」
「ならよかった」

突然大きな声を出してしまったのに兄さんは気にした様子もなく立ち上がるとベッドに膝立ちで乗る。

「実はお揃いだったりして」

枕元に置いていたのか私の膝にいるうさぎと色違いのオレンジのうさぎを手にし笑った。あまりにも眩しくて俯く。不思議とうさぎも俯いている気がして耳をいじる。

「何か欲しい物があったんじゃないか?聞いてもオレが選んだものなら何でもいいとか言うし」

ベッドから降りた兄さんは先程よりも近い距離に座る。

「"一織くんの欲しいものが聞きたいなぁ"」

声を裏返らせてオレンジのうさぎを頬に寄せてくる。可愛らしいのに可愛いと言い切れないのは言えないでいることがあるからだろう。私の事を考えて兄さんはプレゼントを用意してくれたのに、私は邪な気持ちを抱いてるから。

「オレには言えないことなのか?」

声のトーンが落ち顔を上げるとうさぎを口の前に掲げ寂しそうにこちらを見つめる兄さんがいた。

「……キスマークがほしいんです」
「はぁ!?」

そんな兄さんを前にしたら言わないなどいう選択肢は消え去った。小さくても聞こえたようで何とか伝えてすぐに俯き目をきつく閉じる。

「キスマークってあのキスマーク?」
「はい」
「口紅つけてつけるやつじゃなくて?」
「はい」

やはり駄目だろうかとゆっくり目を開き顔を上げていくと顎に手をやり真剣な眼差しを向ける兄さんと目が合う。いつの間にかオレンジのうさぎは床に置かれていた。

「つけたことないからな〜」

だから尚更つけてほしかったなど言えない。考えていたかと思えば両肩に手を置かれ倒されていく。

「兄さん?」
「つけていいんだろ?」

覆い被され一番上のボタンに手を掛けられ一つ一つ外されていく。

「贈った服を脱がせるってあれだよな」
「何ですか?」

聞くと苦笑するだけで答えてはくれなかった。あっという間にボタンは外されベルトも抜き取られズボンを脱がされていく。

「一織、うさぎ置かなくていいのか?」
「……はい」

両手で握りしめたまま頷くと兄さんは追求してこなかった。兄さんから贈られたシャツを纏い、兄さんから貰ったうさぎを手に、そして兄さんからキスマークをもらう。兄さんに埋め尽くされたかった。
鎖骨に唇が触れ体の中心を辿るように舌で舐められる。下腹部までくると下着をずり下ろされた。

「兄さっ」

膝を折り抱えられると性器を舐められるのかと思い止めようとする。しかし兄さんの口元は性器ではなく足の付け根に寄せられた。

「んっ」
「これじゃあつかないか……もう少し強く……」

口付けられ軽く音が鳴る。再び付け根に唇が押し付けられると吸われた。

「やっ」
「……薄いか。一織が欲しがったんだろ?」
「そう、ですけど」

まさかそんなところだとは思わずに顔が熱くなってくる。

「あ、や……」

付け根に吸い付かれると片手が性器を扱き出す。気づかぬうちに勃っていてすぐに達してしまいそうになってしまう。

「は、はぁっ、ん」

手にしたうさぎで声を抑えるように口にあてる。付け根を舐められ何度も吸われる。

「んんっ」

息で口元が熱くなり扱きが速まると呆気なく達した。口からうさぎを少し離し息を整えようとすると指が挿入される。

「一織」
「あ、だ……っ」

うさぎを取られてしまい駄目と言いかけると唇を塞がれていた。指が増え中を慣らすためとわかっても早く兄さんが欲しくて仕方がない。
しばらく慣らされるとやっと兄さんの性器が宛がわれる。

「あ、あっ!」

中に入り込むと無意識に手がうさぎを探していてもがくようだった。

「苦しいのか?」
「ちが……」

もっとと言えずに指がぬいぐるみに触れて掴もうとするとその手を取られてしまう。絡めるように握られ顔が近づく。

「そんなに、うさぎが好きか?」
「だ、って……にいさんが、くれたものだか、らっ」

揺さぶられながら快楽の中ちゃんと言えたかわからない。握る手に力が入り顔が更に近づく。

「なんだそれ」

嬉しそうに笑って口付けられ絡めた指がほどかれ離れる。両手が腿を押さえつけ更に足が広がり奥に入る。

「ふっ、ん、んんーっ」

達してしまうとすぐに兄さんも達し中へと出される。唇が離れると互いに荒い息が混ざり合うようだった。

「んっ」

片腿を押さえていた手が付け根を撫でまだ達し繋がったままの身体は反応する。

「片側ずつ、なんてな」
「それは楽しみです」

片側だけにつけられた跡。もう片側はまた次にという約束までもらえる。

「兄さん、もう一つだけいいですか?」
「何だ?」
「うさぎのリボンを交換したいんです」

互いの色のリボンが巻かれたうさぎを持つなんておかしいだろうかと思いながら言う。

「最初からそうしてればよかったな」
「いいえ、交換というのがいいんです」

もううさぎを探しもがきはせず真っ直ぐに兄さんの首に腕を回した。

「誕生日おめでとう、一織」

幾度となく聞いた言葉。何度でも何年でも兄さんから言われたい言葉。きっと言ってくれるのだろうと近づく唇に重ね合わせた。


H30.1.19


Rabbit Kiss
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