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「傍観者がこのような場所で何をしている」
「今回は少し早いのね、英雄さん」

カグツチの最深部。
来訪者に背を向けたまま上を見上げた。

「もう時間よ」
「何?」

面から発せられるくぐもった声。
私は振り返ると白い巨躯が佇んでいた。過去の英雄。

「きっとこれが最後になるわ」
「それは如何様な意味で言っている」

動揺するわけでもなく平静を保った声で問い掛ける。
私も同じように平静な態度で笑んだ。

「そのままの意味よ。しばらく会話もしていなかったから理解力が低くなったのかしら?」
「貴様のその馬鹿にしたような上からの態度が昔から気に食わん」
「私は貴方の図体だけ大きくなったのが好きではないわ」

かの英雄は軽口に付き合っている暇などないと言うように沈黙する。
無駄な会話をするならば去れという事だろう。
もうすぐで時間。
彼がもうカグツチへと乗り込んでくるだろう。

「この繰り返しを抜けたあと貴方がどうなるのかを私は知らないわ。誰も知らない。だから」

わざと区切る。
英雄の目的はただ一つ。そのために彼はここにいるのだから。

「私がわざわざ言う事ではなかったわね」
「何をしに来た」

転移空間を開き、この場を去ろうとする。
このまま何も言わないかと思ったけれどもう一番問い掛けてくる。
私はその言葉にも笑んだ。

「最後の舞台を見て回っているだけよ。次はできればこの舞台の終演後に会いましょう」
「戯れ事を」
「すぐにわかるわ」

これが本当に最後になるかなどわからない。
もしも終わりの兆しが見えたら私は関わると決めた。
テルミが関わっている以上何か仕掛けてくるに違いないのだから。
できればこれが最後の舞台と願って、彼を私の元へ転移させる準備をする。

「ラグナ……」

呟いた名前は響く事なく空間の中へ染み込んだ。

レイチェルとハクメン
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