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誰もいない路地裏で俺は佇んでいた。
「……くそっ」
この場に勝手に送った奴に向かって悪態をつく。ただ空しさが広がるだけだった。
「お前、奴が関わってきてたのを知ってただろう」
「だから何なのかしら?貴方にはやるべき事があった。違って?」
レイチェルの城の前。
レイチェルは俺に背を向けて後ろ目にこちらを見ながら告げる。
俺には目的があった。
だがあいつが関わっているなら話は別だ。
「ふざけんじゃねぇ!」
「貴方の無力さを嘆きなさい。今の貴方ではテルミには勝てないのだから」
そんな事はわかってる。
わかってはいても認めたくはなくて口にはしなかった。
「悔しいのならその悔しさで這い上がりなさい」
「お前はどうするんだよ」
返答する気はないのか表情から笑みが消え、射抜くように見つめられる。
その瞬間、よく知る奇妙な感覚を感じた。
空間転移だと気付いた時には遅く、レイチェルの姿が薄い暗闇に遮られてよく見えない。
「おい、レイチェル!」
「ラグナ、力を過信しては駄目よ。貴方は力だけの存在ではないと私は思っているのだから」
暗闇の中に響く声。最後の方は響きすぎてよく聞き取れなかった。
右手を見つめ、拳を作る。憤りを壁にぶつけてしまいたかったがそれはせずに手を下ろした。
「もっとわかりやすく言えってんだ、クソウサギ」
一先ず態勢を整えなければいけない。いますぐにでもテルミを追いたいが居場所がわからない。
必ず動き出すはずだ。近い内に必ず。
「……お前はどうすんだよ、レイチェル」
答えが聞けなかった問いをもう一度呟いて、俺は路地裏から走り出した。
ラグナとレイチェル
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