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「何かと思えば突然短冊出されて願い事書いてってなんだよ……」
「藍ちゃん、一枚じゃなきゃだめ?」
「ショウ、今日は七夕なんだから予測できたはずだよ。ナツキは一枚。君の場合無制限にするととんでもないことになりそうだからね」
一つのテーブルを四人で座る。僕の隣の彼女はペンを持ち、真剣に短冊を見つめていた。
「ハルカ、そんなに力入れなくていいよ。七夕って行事をやってみたかっただけだから」
「はいっ」
と言っても彼女から力が抜けるはずがなく真剣な面持ちに穏やかな気持ちになる。
それから少しして各々書いた短冊を読み上げることにした。
「身長が伸びますように!」
「わぁ、翔ちゃんらしいね!」
「らしいってどういう意味だよ!」
「確かに翔らしいし切実な願いだね」
立ち上がり勢い良く言ったあとの僕とナツキの言葉に勢いを削がれたのか何も言わず席についた。
「しょ、翔くん!きっと願いは届きます!」
「ありがとな」
次にナツキがショウの流れからなのか立ち上がる。
「次は僕がいきますね〜。ピヨちゃんがもっともっ〜とみんなに知ってもらえますように!」
「それは現実的だね。ナツキのファンからは好評で商品化も検討されてるし」
「ピヨちゃん可愛いですよね。わたしも欲しいです」
「ハルちゃんには一番最初にあげるね!勿論翔ちゃんと藍ちゃんにも。四人でお揃いにしよう!」
「四人お揃いならどうせなら他とは違うピヨちゃんにしたいよな」
「それまでに何か取り入れられるか考えておくよ」
「楽しみです」
ナツキが席に座り向かいだったハルカが僕達の顔を見回して慌てて立ち上がった。
「わたしの願いはまた三人の歌を作ることですっ!あの時とはまた違う曲ができそうで違う三人が見られそうな気がするんです」
ハルカの願い事に少し驚きながらも僕も立ち上がった。立ち上がる必要性はないのだけど流れは大事だ。
「僕の願いはハルカの作った曲を三人でまた歌うこと。僕もあの時と違うし、二人とはあの時よりもその……」
「何だよ、藍」
わかってるかのように笑みを浮かべながら訊いてくる。
何でもないことだし事実なのに恥ずかしいという感情があり言い出し辛くなる。
「あの時よりずっとずっと仲良しですからもっと素敵な歌になるよね!」
ナツキにあっさりと言われてしまう。でも言わないこともしたくなくて口を開いた。
「僕も君達も互いを知って仲が深まってるから楽しみだね」
「おまっ……」
「はい!」
面食らったようなショウと喜ぶハルカとナツキ。
願い事を自分から書ける日がくるなんて思わなかった。データから推測して場にあった事をなんて考えなくていい。ただ浮かんだままに書けることが幸せに感じた。
H25.7.7
願い事を書く
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