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早乙女さんに言われおはやっほーニュース拡大版として早乙女学園から生中継すると言い渡された。
HAYATOとして早乙女学園を訪れる。複雑な心境にはなれど仕事は仕事。
と、思い指定された時間に学園に来たら一人の生徒がいた。

「あ、こっちこっち!HAYATOだよね?いつもの格好じゃないから声かけていいか迷っちゃったよ」
「……君は?」

入学して以来毎日顔を合わせているルームメイトに悟られないように平静を装う。

「俺は一十木音也。学園内を園長先生に案内するよう頼まれたんだ。よろしく!」

音也はいつもと変わらない人懐っこさで手を差し出してくる。
その手をとって笑った。

「そうなんだ、よろしくね」


「そういえば朝ごはん食べた?」

学園内を軽く案内され廊下を歩いていると音也がそんな事を言い出した。
今日は指定された時間も早かったため飲み物だけしか口にしていない。

「食べてないならさ、ここのパン食べてみてよ。実はもう頼んじゃってるんだけどさ」
「朝早くて食べる時間なかったから助かるよ」

ここで断る理由もなくそう返すと音也がジッとこちらを凝視してくる。
何もおかしな言動もないしHAYATOとトキヤは兄弟だと言っているから顔が同じでも疑われる事はない。
なら音也は何故私を凝視してくる?

「な、なにかな?」
「あ、ごめん。トキヤ……HAYATOの弟と寮で同室で仲いいんだけどそっくりだけど違うんだなって思って」
「……トキヤは僕と違って口数も少ないからね。表情もあまり変わらないから違うと感じるのも当たり前だよ」

HAYATOと私は違う存在。
HAYATOは私が持っていないものを持つ存在。だから違うのも当たり前だろう。
自身でもわかりきっている事を指摘されたはずなのに何故だかいつものように笑えていない気がした。

「そうかな?トキヤは口数少なくないし顔にも比較的出ると思うよ。違うのはHAYATOは素直なところ。トキヤは素直に言えない時があるみたいなんだよね」
「たとえば?」
「たとえば……う〜ん、今のHAYATOみたいに朝ごはん食べてないならあげるって言っても受け取ってくれなかったり」

言われて先日仕事が押して学園に戻る時間が予定よりもずれて朝食を食べれなかった事を思い出した。
たまたまAクラスの合同授業で音也に朝食べてないならあげるとパンを差し出されたが断った。食べなくても支障はないしそのパンがないことで音也が困って私の責任になっても困る。

「トキヤが俺のおやつ取れないって思ってくれたんだろうけど俺としては貰ってほしかったなって」
「どうして、トキヤがそんなふうに考えてるなんて思うの?」

自然と出ていた質問に音也は不思議そうに首を傾げるとすぐに満面の笑みを見せた。

「友達だからっ」

私が今普段の私ならば数カ月でそんなわかるはずがないと返していそうだが今はトキヤとしてここにいるのではない。

「ありがとう」

だからそう返した。
それは自然に出た答え。それがどちらが出した答えなんてわからないけど。


H23.2.3

自然に出た質問
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