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「しかし毎日よく作れるよな」

昼休み。森の広場でかなでと昼食を取る事は当たり前になっていた。
同じ事をしているのに何かが違うのは付き合い始めたからなんだろう。
ずっと一緒にいた幼なじみが彼女になるなんて思いもしなかった。

「そうでもないよ?作るの楽しいし」

彩り鮮やかな弁当。
そそっかしくて目が離せないのに料理は上手い。
弁当の味が前よりも旨く感じるのはやっぱり前と違う関係だからなのか、かなでの腕が上達したのか。

「響也が美味しそうに食べてくれるから作りがいがあるよ」
「はっ!?っ……」

かなでの言葉に噎せてしまった。
慌てて買ってきたペットボトルの蓋を開けて差し出してくる。

「大丈夫?」

ペットボトルを受け取って中身を少し飲む。
落ち着くまで背中さすられたり何だか情けない。

「そんなに……顔に出てたか?」
「え?うん」

一瞬さっきの続きと気付かずに首を傾けかけて、気付いて頷いた。
弁当が旨いとはっきり言うし言わない理由もない。
でも顔にも出てるとなると恥ずかしかった。俺はそんなにわかりやすいか?
落ち着いてペットボトルに蓋をして地面に置く。

「響也はわかりやすいよ」
「は?」

更に追い打ち。
それはお前だろ?と言ってやりたい。散々お前はわかりやすい。顔に出るからなと言ってきているが。
かなでは異様に嬉しそうにしながら人差し指で俺の頬を突いた。

「だから昔から安心する」
「……何だよ、それ」

手を振り払う事もせず突かれるまま。横目でかなでを見るとやっぱり嬉しそうで直視できなくなってきた。

「ちゃんと口にもしてくれるけどそれが嘘じゃないんだなってわかるから」
「お前もだろ」
「そう?」

俺も聞きたいぐらいだ。
自分自身がわかってないのに他の奴がわかってるなんておかしな気持ちだった。
でもそれがかなでならいい。

「いつまで突いてるんだよ」
「柔らかいから離れがなくなっちゃって」

そう言いながら何度も突いてくる。
自分もそんな柔らかそうな頬しといてよく言う。いや、全部柔らかいか。

「それに響也嬉しそうだし」
「なっ……頬突かれて嬉しそうっておかしいだろ」
「でも嬉しそうなんだから仕方ないよ」

顔に出やすくてそれがわかってしまう相手というのも困ったものだ。
前だったら手を振り払うか立ち上がってたかもしれない。

「響也?きゃっ……」

頬を突く手を引き寄せて抱きしめた。
ちゃんと弁当は避難させてから。
やっぱりかなでは柔らかくて、温かかった。
暴れようとも離れようともせずにおとなしく腕の中に収まっている。

今までと変わらないものと変わったもの。
ずっと気付けなかったのに気付けたのは、俺達がここに来て変わったからなんだろう。



H21.3.5

今までと変わらないものと変わったもの
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