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ゴールデンウイークも終わり、いつも通りの朝を迎えいつも通りの道を歩く朝。
昨日の誕生日の出来事を思い返すと少しだけいつもとは違う気分になった。

「ん?」

目的地である寮が見えてくると門に人影が見えた。
遠目からでもわかる姿に小走りで近づく。

「かなで先輩」

門に軽く寄り掛かり、前を向いていたかなで先輩がこちらに近づき顔を向けてくる。

「ハルくん、大好き!」
「っ!?」

満面の笑みで告げられた言葉に足が不自然な体勢で静止してしまった。

「ハルくん?」

首を傾げ呼び掛けられ我に返った。

「いきなり何を言い出すんですか!」

朝で人通りは少ないと言ってもこんな往来の場所で言い出すなんて。
かなで先輩は僕の反応に不思議そうに首を傾げたままだ。

「昨日言えなかったから……」
「え?」

しゅんと花が萎れるように顔を俯かせてしまう。
いつもは寮の中で待っているのに、これを言うためにずっと門の前で待ってたんだ。
普段だってふとした時に言ってくるのに。恥ずかしくて返せないけど。

「すみません。怒ってるわけじゃないんです。ただ恥ずかしくて……」

かなで先輩と同じように顔を俯かせ地面を見つめる。
風が緩やかに吹いて、まだ冷たい風にほてった頬が冷やされていく。
顔を上げて、俯くかなで先輩を見つめる。
僕の言葉や態度に一喜一憂する一つ上の先輩。昨日はまるで自分の誕生日かのように喜んでくれて、それが嬉しかった。

「嬉しいんです。かなで先輩が好きなんです」

僕の言葉に反応するように勢いよく顔を上げる。

「ハルくんはずるい」
「ずるい、ですか?」
「普段たくさん私に好きを言ってくれるから私もたくさん言いたいのに」

たくさん?たくさん言ってるのはかなで先輩じゃないだろうか。
考えこみだす僕にかなで先輩は笑った。

「そんなハルくんが大好き!」

またそんな満面の笑顔で言う。
往来でこんな会話をしていたら誰に聞かれてもおかしくない。でもからかわれてもいいかなんて思ってしまう。
やっぱりかなで先輩には笑顔が似合うから。

「僕もそんなかなで先輩が好きです」

お互い顔を少し赤らめて笑いあう。
特別な日ではなくてもそれはいつでも特別になるんだと思う。日常だとしても特別なんだ。
特別な貴女とだから。

「じゃあ行きましょうか」
「うん」

今日もいつものように学院へ二人で歩き出す。



H22.5.12

特別な貴女とだから
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