「……そう、でしたか」
「……ジャーファルさんが、」
「?」
「生きなければならないのだと、出逢った人たちを、なかったことにしないでと。そう言ってくださったことが、凄く嬉しかったんです」
「……」
「生まれて来なければと、当時の私は思っていました。この世界に落ちてきた時、あのままあちらの世界で死んでいればよかったとも思いました。それは、騎士団で出逢えたあの人たちの思い出も、シンドリアでこうして言葉を交わしてきたことも、なかったことにしてしまうことと、そう願うことと同じだったんですね」
「……貴女自身が、あの夜に笑っていなければ、きっと忘れてしまいたかったのだろうと思ったでしょうね」
「では、あの夜はやっぱり、ルフの導きそのものだったんですね」
ありがとうございますと笑った彼女は、今にも泣き崩れてしまいそうだった。あの夜に追いかけていたものは、アラジンのそれだったのか、はたまた目には見えない何かだったのか、知る由も無い。
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