出入り禁止の看板がかかった鉄の扉。ぐっと下に力を込めてから押すと簡単に開くようだ。三日目くらいで、後ろからやってきた彼に教えてもらった。失神しかけた。突如後ろから伸びてきた手が、「あの」手なのだから。骨ばって大きくて、爪の先の形が特徴的に細長いあの手。美しさを通り越して、化け物じみた不気味ささえ感じるあの手だ。背中には、男の子特有の熱い体温が空気を媒介して波動のように伝わってくる。腰を抜かしかけているうちに、彼のほうがすたすたと扉の奥へと行ってしまったから、助かった。
最初お昼メンツで目をつけていた友達はあの後、ごめん、と謝ってきた。どこに行ってたのと聞かれたが、別のクラスに食べていると嘘をついた。当然だろう。男子と二人きりで同じ空間(とはいっても距離はかなり離れているが)、しかも相手は学校中の崇拝を受ける彼である。いくら気の置けない友人である彼女でも、どう思うか分からない。もし噂が広まれば、夜道一人で歩けなくなる。彼女はそれ以上詮索することもなく、そっかー、と話題を次に取り替えてくれたから、彼女の淡白さに救われた。
そう思うと、私のしていることのとんでもなさというか、ありえなさが、肌にべたべたと塗りこまれていくようだ。保湿クリームを塗りすぎた夜の翌日のような、湿度に満たされる感覚とぬめった気持ち悪さとを一緒に気がつくような。でも、同時に、内側からのべたつきにも気付いていた。どこか、愉悦。たぶん、独占欲ってやつなんだろう。誰も知らない彼の秘密を私が握っていて、誰も知らない時間を共に過ごしている。誰も知らない彼の姿を、私だけが味わっている。べたべた熱い、この感情。まるで恋のようだけど、恋じゃない。彼に対する感情は、ただの崇拝だ。儚く美しく尊いものに対する憧憬だ。崖っぷちに咲く花を見上げて貴ぶのと同じだ。
だけれど、いざ扉を前にすると、やはり恐ろしさのほうが溢れ出してくる。今日は先に来ているのだろうか。来ていなかったら、安心。ちょっと軽めな足取りで、私の指定席に向かう。来ていたら、死ぬ。秘密の共有(笑)だの独占(笑)だのと喜んでいた私なんか瞬殺である。彼は私が来たのに気がつくと、読んでいた本から顔を上げてぱちりと瞬きをする。そして微笑む。彼の得意な、唇の動きひとつで人を黙らせるそれだ。それで心身共に抹殺され、彼が本に目を戻した頃にようやく自分の神経が戻ってくる。抜き足差し足、できるだけ気配を殺して、指定席だなんて烏滸がましい、一番彼と距離の離れた、対角線上の隅っこに場所をいただく。そんなのが、あの日から続き、気がつけば麗らかに咲き誇っていた桜の花弁は地面で踏み固められ、天に誇るは葉桜という季節となっていた。
今日は、どうだろう。四限目が終わると、彼はいつもすぐに席を立つ。でもだからといって、屋上に直行しているわけではないようだ。私のほうが先に着いていることも多々あった。どこに行っているのか、気にならないわけではないが、それよりも今日の昼休みこそちゃんと単語暗記に使いたいのだ。ドアノブをぐっと下げてから、押す。
若々しい、青葉の匂いが風が鼻を通り抜ける。五月は近い。それと一緒に、もうすっかり鼻腔に馴染んだ煙の苦い匂い。元々は煙草だって植物だというのに、ここまで噛み合わないとなると何となく可笑しい。視線を上げると、いつもの隅っこで、彼が微笑んでいた。ふう、と心臓を下ろし俯いて、この一定の身体機能停止時間をやり過ごしてから、対角線上の角へと足をひっそり進めた。
そういえば、わかったことがある。彼がなぜ、私をここに誘ったのか。あの時はパニック状態でそんなこと考える脳の容量が足りなかったが、ある日の寝る直前、目を閉じた瞬間に閃いて、思わず飛び起きた。簡単なことだ、私は彼の秘密を握っているのだ、彼はその口封じに、私に恩を売りたかったのだ。シンプルすぎる答えに、なんとなく溜息が出た。溜息が出るってことは、落胆してるってことなんだろうか。何に。まさか本当に、王子様に見初められちゃった、キャッ! とでも思ったってか。ばかやろう!
もうひとつ、気付いたこともある。彼は昼休みの時間、一切食べ物を口にしない。口にするのはただ煙だけ。文字通り、霞を食ってる。その煙さえ吸わない日もあるのだから、一体彼の身体はどういう仕組みになっているのだろう。隣の席だけど、お腹が鳴ってるのを聞いたこともない。むしろちゃんと三食おやつ付きでもりもり食べてる私のほうが、腹の虫を抑えるのに精一杯っていう。不公平だと思う。ただでさえ受験太りが恐ろしい高校三年生、お腹についてきた肉も気になるし、できれば食事の量を減らしたい。でも授業中腹の虫が騒ぐのはいやだ、恥ずかしい。鳩尾にほどよい力を入れて堪えようとしているというのに、容赦なくキュルキュル騒ぐ虫の声が、タイミング良く先生が黙った瞬間の教室に響き渡る。誰も何も言わないけど、あのときほど穴に埋まって死にたくなる時はない。そんな恥を晒すよりはと、半ば狂気で朝ご飯を完食する。痩せたいのに、食べたくないのに、食べなきゃ怖い。そんなジレンマを抱えながら私がお弁当をちまちまと、意図的に満腹中枢を刺激しながら食べているのに、彼は霞だけで生きていける。なんだそれ。不公平だ、同じ人間だというのに。
でも正直、彼なら実は人間じゃないと言われても、おかしくないとは思う。実は神様の使いである彼がこの学校を視察しにきたとか、ありえないけどありえる。そのくらい、彼の周囲に漂う空気は神聖だ。水晶を溶かして薄い膜にしたような、触れればそっと押し返されるような結界が、中心部にいる彼を護っている。きっと、俗世の穢れに触れないためのものだと思う。そんなものの中では、きっと腹減りなんてしようもない雑事は発生しないんだろう。
お母さんが朝から詰めてくれた、年甲斐もなく可愛いピンクのお弁当箱。衣もなにも最初からあったもんじゃない冷凍の唐揚げを箸でつまみ、ちみちみと端っこを齧る。ふりかけの袋には、ピカチュウがいる。うちの母は娘の弁当で遊ぶのが好きらしく、こうやってたまによく分からないチョイスのふりかけやおかずを入れてくる。友達との話のタネにしてね、ということだろうか。ええそうですね、まともにお話しながら一緒にご飯を食べれるお友達がいたら、なにそれ幼稚園児みたいギャハハハハとさぞかし盛り上がったことでしょうね。嬉々としてふりかけを詰める母の姿を想像したら、途端に今の状況が惨めでさみしいものに思えてきた。
その孤独感で胸を詰まらせるくらいならと、目線を上げると彼の姿。青々とした桜の若葉を背景に黄色い髪がさらさら靡くと、まるで緑に綺麗な帯を垂らしたかのようだ。少し俯いてライターをつけると、珍しい、彼の旋風。漢字の通り、その一点を中心に髪がふわついている。彼が顔を上げると、私の注視に気がついたらしい。にこりと微笑まれたけれど、その口許に挟まれた煙草のおかげで、少し片方に歪な唇の形。いつも均整で美しいものの形が崩れるということに、なぜか途轍もない官能を感じ、全く無意識のうちに目を閉じていた。これ以上見たら、午後の授業に出るどころではなくなると判断したのだろう。だろう、という推量系なのは、私の意識はもうどこかに飛んでいるからだ。さっきまでの虚しさとか、孤独感とか、何もない。虚無の心臓。穴が空いた心臓。受動喫煙で、ほんとうに心臓がだめになったようだ。感覚のみの世界は、不思議と心地が良かった。丁度都合の良いタイミングで、風向きが少し変わったらしい。煙が肺を通り抜けていく。肺胞がまっしろな毒に侵されてく。どうかそのまま、プチプチクッションみたいに簡単に、全部潰してくれないか。ぷちぷちって、そのまま萎んで丸められてゴミ箱に詰められたい。
そんな、一人夢見心地の状態の終わりを告げたのは、「そういえば、」という何気ない彼の一言だった。風の音やプラスチックの箸が鳴る音しかなかったところに、突然やってきた人の声。彼の声。ビャッとまた奇怪な声を上げて飛び上がりながらも、なんとか対角線上の彼を見上げ、怯えつつも次の言葉を待つ。肌色のなかでほのかに濃い色、でも肌に同化してしまいそうな薄色の唇。それがふと、微かに開いた。
……。開いた。そして、動いている。けれどそれだけ。要するに距離が遠すぎて声が木々の喧騒に負けているのだ。私がもしも大阪のオバちゃんだったら、エェ!? 耳遠くてオバちゃん聞こえへんがな! シャッキリ喋りィ! とか言えたんだろうけど、私はただの地方都市の根暗な女子高生だし、第一彼相手なら大阪のオバちゃんだろうが総理大臣だろうが大統領だろうが問答無用で黙りこくるだろう。そういうわけでおろおろと視線を泳がせ、あの、あの、と掠れ声をあげながら口をパクパクさせていると、彼もどうやら状況に気がついたらしい。合点だという風に瞬きをすると、携帯灰皿に煙草を放り対角線上を真っ直ぐ歩んできたではないか。アオリの視点から見ると、長い脚が余計に長く見えてもうそういう神様に見える。ああ、聖域が、結界が、自ら近づいてきたら、どうしたら良いのだろう。息ができずに顔を逸らしていると、足音が止まる。視界の端には紺色の上履き。その現れ方は、外国のホラー映画のそれと全く一緒だった。突如彼が屈む。結果、突如彼のおそろしく美しい顔が視界に飛び込んでくる。髪の束が揺れたあと、束になり損ねた数本の細い髪がさらさらと零れる。吸い込みかけた息がそのまま止まった。窒息しかけて思わず噎せそうになったとき、彼はさっき遠目に見たのと同じ唇の動きをする。早口になることもなく、おっとりとした、艶かな速度で。
「聞き忘れてたんですが、これ、大丈夫でしたか」
これ、と言って取り出したのは例の白箱。細長い蔦の絡まった、少し女性的なデザインのそれが何という銘柄かは分からなかったが、前にも同じのを見たことがあることからして、どうやら彼のお気に入りのようだ。大丈夫、だとか。もし大丈夫じゃないと言ったら彼はどうするのだろう。ほんの少し興味が湧いたけれど、敢えて嘘をつくような人間関係の高等テクニックは生憎持ち合わせていない。頷こうとしたら、予想以上の極端さで首の筋肉が弛緩したらしい。ガクンと首を落とされた将軍みたいな頷きになってしまった。地味に恥ずかしくて顔にぼっと熱が集中してきたから、余計に顔を上げることもできなかった。
「そうですか。よかった」
微笑んだらしい吐息が聞こえた。おずおずとストパーをかけたばかりで妙にサラサラな前髪のカーテンの隙間から彼を覗き見ると、ほんとうに笑っていたからカーテンを即閉めたくなった。
「僕が言うのもどうかって感じですけど、ただ寿命縮めるだけの毒ですからね。あなたの寿命まで縮めないよう、僕も風向きには気を付けておきま、」
「……あっ、」
「ん?」
しまった。やってしまった。ようやく絞りだせた声が、自分の耳で聞こえるよりずっと大きいものだったらしい。腰を上げかけた彼を引き止めることになってしまって、身体がピキンと固まる。彼はもう一度腰を下げ私を覗き込む。彩度の濃いダークチェリー色の瞳に見据えられているらしいのだけど、直接目と目を合わせたらまた心臓が停止してしまうのが分かるから、失礼を承知で目線を逸らし続ける。そんな私を前に彼は無理に目を合わせようとはせずそのままでいてくれたようだから、まだなんとか続きの言葉を考えることができた。ぐるぐる、煙草の匂いとお弁当の匂いと彼の瞳と言葉と……あらゆるものが混ざり合った結果、声になった言葉は、
「ごはんは……食べない、の、ですか」
という、やはり脈絡のないものだった。いや、私の中ではちゃんと回路が繋がっている。だけど「霞食ってるくせになんで」だなんて意味の分からない表現をするのは流石に無理だと、咄嗟に脳が判断したようだ。ああもう、彼といると私は何かと突発的で衝動的になってしまう。頭のネジが逆回転を始めてしまうのだ。それで自分でも予想だにしていなかった自分の姿が、ぽんと突然姿を表す。自分でも怖いような自分に対して、彼は何も動じることなく、ただ少し唇の端を緩めただけだった。
「ものを食べるのは、得意じゃなくて」
「……へ、え、」
ものを食べるのに、得意も不得意もあるのか。一秒目は素直に納得してしまったが、五秒後くらいに首を捻った。
「だからこれで、十分なんです」
さっきから出し入れしている煙草の細筒を人差し指と中指で挟んで、私の前で半回転。マジシャンの手つきのように華麗だった。それから流れるように、左手のライターの灯火とその先端が重なり合う。
見惚れていた。思い起こせば、私の身の回りに喫煙者はいない。彼以外。昔父親が吸っていたらしいけど、母親からの圧力でやめさせられたと聞いた。それに加えて世間からの絶対悪という観念が自然と身体に染み込んでいて、なんとなく怖くて近寄り難いもののように思っていた。けれどこうして実際に目の当たりにすると、まるで魔法の下準備のようだ。アルコールランプでさえおっかなびっくりで取り扱う私には、炎という化け物をそんな軽い力で呼び出してしまうというのが、魔法や奇跡のように思えた。
だが、その先端と先端が重なり合った瞬間彼は「あ、」と声を上げた。ピントが合っていたのがずっと彼の指先だけでぼんやり頭が麻痺していたから、その声ははと私の酩酊を目覚めさせることとなった。
「すみません。火まで付ける気はなかったんですが、手癖でつい」
言葉はそんなようなものだったけれど、彼に焦るような仕草はない。緩やかな手つきで携帯灰皿を開いている。ライターを手の内にしまい込みながら灰皿の蓋を外す。親指と人差し指に持ち替えられた煙草は、まだ先端に可愛い蛍火を灯らせながら、あわい煙を放っている。甘い匂いだった。対角線の向こう側から微かにやってくるだけでは、苦みが通り過ぎていくだけだったから、分からなかったのだ。甘いとは言っても、可愛らしい自然な甘さじゃない。つくられた、嘘くさい甘さ。それが苦味と臭味のなかで一瞬鼻腔を埋める。鼻腔を通じて、脳へ、甘さが染み渡っていく。くらりという、良い気分がした。彼を見てる時にも少し似た、一種の酔いのような感覚。
……ああ、私もこれで、空腹が満たされたらいい。そしたら、食べたくないのに恐怖心から食べて食べて、結果いやに生命感に溢れたにくにくしい体に近づいていくなんて、恐ろしいことしなくていい。それどころか、これなら生の真逆に進める。それってすごく、心地良いことだ。脳細胞が穢れてく。肺が穢れていく。心が穢れてく。きたない自分になっていく、という快感。一応表向きは生半可におとなしい良い子ちゃんをやっている反動なのかもしれないなと、ふやけた脳味噌で思った。
だめだなあ、ニコ厨だけは最悪だという信条のはずだったのに。そうは思いつつも彼の指先から目を離せずにいた。それに、彼も気づいたのだろう。携帯灰皿に仕舞われようとしていたそれを惜しいと思った途端、ぴたりと彼の指が止まった。でもまだ煙を吸い込んでぼやけた脳細胞はそのまま視線を離さず、球になった線香花火のようなその色を、膝を抱えて眺めていた。
「……」
形容できるほどの音は、何も立たなかった。ただ、彼の人差し指と親指が、関節を一つずつ伸ばされていく。最後まで指が伸ばされ、掛かる力が無くなれば当然それは数センチの間を落下し、私と彼の間のコンクリートに着地する。それでも炎は変わることなく、無情に煙を吐き続けている。不意に吹く風の方角が変わって煙がこちらに来なくなった瞬間、はと目が覚めた気がした。なんだろうこの状況。まるで脱走したハムスターを誘き出す餌のような置き方だ。思わず瞬きを繰り返しながら彼を見返すと、典雅な微笑みを浮かべられた。
「好きですか?」
「……たぶん、?」
「そう」
それきり彼は、一切のことを話さなかった。私も話さなかった。ただゆるやかな速度で煙が立ち昇っていくのみ。指先で白い絵の具が伸ばされていくようなそれが、私たちの間にあるのみ。それを全く共通点もない二人が屈んで、同じくらいの目線で眺めているのみ。絵にするには、あまりにもしみったれた光景。
なのに、不思議だ。ふと半透明の煙越しで、伏し目がちに俯く彼に視線を移した途端、いつもの心臓を刳り抜かれるような感覚がなかった。代わりに漠然と、同じだ、と思った。同じ、という言葉にまとまった途端、根拠のない感情がとめどなく溢れてくる。今、彼と私は同じだ。同じ感覚の中にいる。同じものを見て、同じ匂いと同じ視覚を味わっている。同じ煙を吸って、同じように穢れている。
ああ、そうだ。穢れているのだ、私達は。どうしようもなく穢れていて、これからもきっと穢れていくのだ。じっと見凝めるうちに、曖昧だったそれは輪郭を整えた形となって心中に現れてくる。そして、彼の思うことが私の思うことで、私の思うことが彼の思うことのような錯覚がした。そう思ったら涙が出そうだった。彼のことなんか何も知らない。私も彼に自分のことを何一つ喋ったことはない。何が私を、私達をこんなに深く結びつけているのかはわからない。それでもこの時この瞬間、私は彼と完全に同調し、理解しあった。そんな気がした。
コンクリートの上では、紙筒が徐々に色を変え、先端は炭と灰の混じり合った凸凹の断面に変わり始めている。微風でぱらぱらと飛んでいく灰のかすを眺めて、彼の顔は一瞬飛んで行った方向へと向けられた。鼻筋を、頬を通る光が、一瞬だけ増す。けれどすぐさっきまでの俯き加減に戻ってきて、鼻筋にも頬にも光は当たらなくなる。薄暗い影の中。その影の中で不意に、長い睫毛の影が映っていた伏し目がちの瞳が私の視線に気づいたのか、持ち上がる。私と同じ目をしていると思った。髪を耳にかけた姿勢のまま、彼は私を見ていた。私にはその心が意のままに見て取れた。彼もまた、私の中にあるものに気がついたのだと思う。赤く熟れた瞳が、ゆっくりと滲むように細まる。心臓がなくなるのとは違う、喉と目尻に来るような熱さを感じた。
その、次の日から。私と彼を結ぶ線は対角線ACではなく、辺ABへと変わっていた。