微睡(R-18)

「緋山さんって、タトゥーはここにしか入れてないんですね」
緋山さんの耳の後ろに刻まれたタトゥーに唇を寄せながらそう呟けば耳が弱い彼はびくりと身体を震わせた。
「ん、そこで喋らないでください」
身じろぐ彼の肩を押さえつけて今度は首元に唇を寄せ、跡をつける。
「ちょっと、見えますってそれ」
「見えるようにしてますから」
シャツのボタンに手をかけながらにっこりと微笑みかければ、諦めたようにため息を吐かれた。
「僕、知ってますからね。今日女性に言い寄られてたの」
「あれはただ道を聞かれただけで…」
昼間、二人で街中へ外出していた時に僕がお手洗いに行って戻ると若い女性二人に話しかけられている緋山さんがいた。スーツ姿の僕が合流すると仕事中の雰囲気を察したのかすぐに離れていったが間違いなくあれは逆ナンだ。
「緋山さんは自分に向けられる好意に疎いので心配です」
整った顔に落ち着いた声、そして優しい。モテない方がおかしいだろう。
「話戻りますけど脱がせたらこことか、ここにもタトゥー入ってるのかと思ってました」
鎖骨や腕、脇腹につつ、と指を這わせると緋山さんはくすぐったそうに身を捩った。
「そんなに入れませんよ。大体耳の後ろのやつも学生の時に先輩に誘われてノリで入れただけですし」
「緋山さんって…けっこうヤンチャしてたんですね」
出会った時も金髪だったしな、なんて数年前のことを思い出す。
「また金髪にしないんですか?」
「んっ、しないですよ。法律事務所の人間が金髪だったらびっくりするでしょう」
「そうですか?僕けっこう好きだったんですけどね、金髪」
話しながらも愛撫を続けていると緋山さんのソコはもう窮屈そうにズボンを押し上げていたので前を寛げてやる。下着越しにソコをなぞると彼はびくりと身体を震わせた。
「そもそもこの歳で金髪はもうアウトじゃ…あっ」
「緋山さんならいくつになっても大丈夫そうですけどね」
綺麗な顔をしているから緋山さんならどんな髪型でも大体似合ってしまいそうだ。そんなことを考えながら頬に手を添えてキスをする。舌を入れて絡ませて、何度も唇を奪いながら緋山さんのソレを扱くと息継ぎの瞬間に喘ぎ声が漏れる。それをまた塞いで乳首も同時にかりかりと爪で引っ掻くように愛撫すると緋山さんはあっという間に達した。
「っはぁ、一緒は反則ですって」
「気持ち良さそうでしたけど」
うっすらと涙を溜めた瞳で睨まれても全く怖くないどころか逆に興奮する。ローションを手のひらに垂らして引き続き前を弄りながら後ろも慣らす。
「あっ、うっそこ、」
最初の頃よりもすんなりと僕の指を受け入れてくれるようになったそこをじっくりと拡げる。
「そんなに締めないで下さい」
快いところを掠める度にきゅっとナカに入った指を締め付けるので、キスをして緩ませる。
「そこ、だめっ、〜っ」
ナカの快いところを2本の指で押しつぶすように刺激すれば緋山さんは涙の溜まった瞳を見開いて身体をがくがくと震わせてイった。達した余韻できゅっと入った指を締め付けてくるのに構わず、指を増やしてナカを拡げる。
「あっまだ、イってる、から」
「もっとイっていいですよ」
イキっぱなしなのか前を扱くたび、先端からぴゅっと力なく白濁が溢れてくる。溢れてきた白濁液を先端に塗り込めるように親指で刺激すれば彼ははくはくと口を開けて声にならない声をあげながらまた達した。
「はぁっ、も、挿れてください」
息も絶え絶えで目に涙を溜めながら懇願されてぞくぞくとする。その気になれば俺を押し除けるくらい造作もない彼がされるがままになってくれているという事実に支配欲が満たされていく。ベッドサイドに置いてあったゴムを取って包装を噛みちぎって開け、逸る気持ちを抑えながら硬くなった自身に装着した。
「緋山さん、好きです」
キスをしながら挿入すれば、緋山さんは僕の首に手を回して自ら舌を絡ませてくる。
「っはぁ、まだイかないでくださいね」
唇をぺろりと舐めて身体を起こすと、とろんと蕩けた表情の彼がこちらへ手を伸ばしてきたのでその手を握って逃げられないようにベッドに押し付ける。
「あっ、そんな、急に動かないでくださっ、」
「くっ、すみません、僕もう我慢できなさそうですっ」
腰を引いて思い切り打ち付けるとナカがぎゅっと締まる。待ち侘びた快感に持っていかれそうになるのを耐えて深呼吸する。
「も、はやくイってください」
「嫌ですよ。もうちょっと緋山さんと一つになっていたいです」
最奥まで挿入したまま呼吸を整えていると、すでに何度も達している緋山さんから恨めしげな視線が送られる。そのままきゅっとナカを締め付けられて息が詰まった。
「っと、余裕ですね」
「余裕じゃないから煽ってるんです」
緋山さんが腰を引いたのでナカに入っていた肉棒がずるずると抜けていく。
「あ、っく、んそこ」
「自分でイイところ当ててるんですか?」
僕の腰に足を絡めて引き寄せると、自分で快いところに当たるように腰を動かしてびくりと反応している。そのまま彼が動いてくれるのを見ていても良かったのだが、緩やかな刺激にだんだんと焦れてきて握っていた手を離して腰を掴む。一度腰を引いて彼の好きなところに当たるように勢いよく挿入すれば彼は背中を弓なりに逸らして達した。
「っく、またイったんですか?」
「あっ、あ、まだイってる」
達して敏感になっている彼に構わず律動を続ける。好いところに当たるたびにきゅっと締め付けられて限界が近づいてくる。イキっぱなしで完全に蕩けてしまっている彼にもう一度キスをして最奥で僕も達した。
「っはぁ、大丈夫ですか」
「う、はやく抜いてください」
ナカに挿れたものはそのままに呼吸を整えていると肩を押された。大人しく抜いて避妊具を処理する。ついでにティッシュを持ってきて自分と緋山さんの身体を拭う。
「明日は朝ごはん作りませんからね」
「じゃあ明日は僕が作ります」
簡単な朝食くらいなら流石に僕でも用意できる。
拗ねたようにこちらに背を向けて寝る緋山さんの背中に抱きついて今度はうなじに口付ける。軽く吸うと薄らと跡がついて満足した。
「あ、ちょっとまた跡……」
振り返った緋山さんの唇を奪う。体勢が辛かったのかキスしている間に身体をこちらに向けてくれたので正面から抱きしめる。触れ合った肌から相手の心臓の鼓動が伝わってきて安心する。
「すみません調子乗りました」
緋山さんの肩に頭をぐりぐりと押し付けながら謝れば、仕方ないとでも言いたげにため息を一つ吐いたあと僕の頭を撫でてくれたのできっと許してくれたんだろう。僕の方が年下だからなのかはわからないけど緋山さんは基本僕に甘いから、それにつけ込んでもっともっとと欲張ってしまう。
「流石に疲れたんで寝ます」
「はい、おやすみなさい」
顔を上げれば頭を撫でていた手が頬に降りてきて、そのまま緋山さんの方からキスしてくれたので幸せな気持ちのまま目を閉じた。
明日は緋山さんより早く起きられるだろうか。そんな心配は頭の隅に追いやって、大好きな人の腕の中で眠った。