「あ、花火」
アイスが食べたくなって二人でコンビニまで歩いていると目の前に花火が上がった。思わず立ち止まれば緋山さんも歩みを止める。
「ほんとだ、綺麗ですね」
近くでお祭りでもやっているのだろうか。そこまで大きくはないものの、綺麗な花火が夜空を彩る。
「夏ですね」
「花火なんて久しぶりに見ました」
「僕もです」
都内の有名な花火大会は人混みがすごそうで避けていたし、長いこと花火を見ていなかった。こんなに近所で上がるなんて事務所を良い場所に構えたかもしれない。しばらく二人並んで無言で花火を見つめた。ふと隣に視線を送ると、花火を見上げる緋山さんの横顔が穏やかでつい花火より緋山さんを見てしまう。
「終わっちゃいましたね」
花火の終わりを伝える合図が打ち上げられて、緋山さんがこちらを向いたので、ずっと緋山さんの横顔を見つめていた僕と目が合う。
「どうしました?」
「いえ、ただ思わぬところで花火を見れて嬉しいなって」
誤魔化すように歩き出せば緋山さんも隣に並ぶ。
「そうですね。思ったより長かったですし」
大きな花火大会ではなかったが十分に楽しむことができた。
「あ、コンビニで花火買って帰りましょうよ」
「え?」
「線香花火、どっちが長く保つか勝負です!」
この時期ならコンビニでも花火を売ってるだろう、と提案すれば緋山さんは少し呆れた表情で了承してくれた。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
コンビニで買ったパピコを半分こして帰り道を歩く。
「花火売ってて良かったです!」
予想通りコンビニで花火が売っていたのでアイスのついでに買ってきた。
「でも線香花火だけでよかったんですか?」
「派手な花火はさっき見れたんで。これは勝負用です」
手持ち花火がたくさん入ったパックも売っていたが、あえて線香花火だけのものを選んだら緋山さんに少し驚かれた。
「僕、上手いんで覚悟しておいてくださいね」
ちょうど良い感じに溶けてきたアイスを吸えば、カフェオレの甘さが口に広がって幸せを感じる。夜になっても気温が下がらないからあっという間に溶けていくアイスを慌てて食べ終えた。
家に着いて物置をひっくり返し、いつぞや買ったチャッカマンを引っ張り出してくる。家の前のアスファルトの上で二人でしゃがみ込み、線香花火に火をつけた。
「まずは一回戦です!」
線香花火は6本入っていたから3回勝負だ。二人で真剣に線香花火を見つめる。
「今日風ないからいいですね」
「しっ!真剣なんで話しかけないでください」
「はいはい」
揺らさないよう細心の注意を払いながら線香花火を持つ。
「あ、」
最盛期を迎えた瞬間、緋山さんの線香花火が地面に落ちた。
「一回戦は僕の勝ちですね」
まだパチパチと火花を散らしている線香花火を見つめながら呟く。しかし僕の火種も最後までは保たずに地面に落ちてしまった。
「ところでこれ勝ったら何か良いことあるんですか」
次の線香花火を手渡しながら緋山さんが尋ねてきたので思案する。
「ベタですけど負けた方が勝った方のお願いを一つ聞くってことで」
「いいですよ」
何もないのも味気ないのでそう条件をつければ緋山さんは頷いてくれた。
「じゃあ二回戦、スタート!」
2本目に火をつけて、二人並んで地面にしゃがみ込み線香花火を見つめる。二人とも順調に花火が大きくなってきた。
「赤峰さん」
「はい、っん」
緋山さんに名前を呼ばれたので線香花火を持つ手はそのままに彼の方を見ると突然キスされた。軽く触れて離れていった唇に動揺して、僕の線香花火はあっさり地面に落ちる。
「はは、俺の勝ちですね」
自分はちゃんと揺らさずに持っていたのか、まだ火花を散らす線香花火に視線を戻して緋山さんは楽しそうに笑った。
「っ、卑怯ですよ」
普段は滅多に自分からキスしてくれないくせにこんな時ばかり武器として使ってくるからタチが悪い。その策にまんまと嵌る自分も自分だがこれは惚れた弱みというやつだろう。
「まあまあ、これで一対一ですから」
次で勝敗を決めましょうと笑った緋山さんを警戒して、今度は少し距離をとって花火に火をつける。パチパチと花火がはじける音だけが響く。
「あっ、」
先に緋山さんが声をあげて、火種が地面に落ちた。
「ふふ、僕の勝ちですね!卑怯なことするからですよ」
ゆっくりと火が消えていくまで線香花火を落とさずに成功させて顔を上げれば、緋山さんは少し悔しそうな顔をしていた。
「で、俺は何をすればいいんですか?」
花火を片付けて家に戻り、若干煙臭くなってしまったのでそれぞれシャワーを浴び終えて、ソファに並んで落ち着いたところで緋山さんが若干不服そうに尋ねてきた。
「んーどうしようかな……」
とくにお願いを決めていなかったので少し悩む。
「俺にできることにしてくださいね」
緋山さんにできることとなると料理とか…?と一瞬考えたがこれは頼まなくても僕の好きなものをいつも作ってくれるので貴重なお願いを使うにはもったいない。となると、
「じゃあ今日は緋山さんが全部やってください」
「なにを、」
「セックス」
にこりと笑った僕に彼は絶句した。
「くっ、そこ、いいです」
「ん、」
ベッドに寝転んだ僕の股座に緋山さんの頭がある。いつもはほとんど僕主導の行為を今日は緋山さんがやってくれと頼めば、最初は渋ったものの勝負に負けたから仕方がないと飲んでくれた。寝室に移動して、今彼は僕の硬くなった肉棒を口に咥えて奉仕してくれている。男同士ということもあり、感じる場所を的確に刺激されてあっという間に吐精感が高まる。
「ん、もう出そう、です」
「らひていいでふよ」
咥えたまま喋らないで欲しいと思いつつ、そのまま根元は扱きながら先端に吸い付かれてあっさりと達した。
「あ、」
彼の口の中に出してしまったと焦るが当の本人は僕が出したモノを手のひらに吐き出して、あろうことかそれを纏わせた指を後ろへ持っていった。
「ん、準備するんで待っててください」
そう言いながら彼は一度吐精した僕の肉棒に顔を寄せて、纏わりついた精液を舐めとるように愛撫する。スイッチの入った緋山さんがこんなに淫猥だなんて聞いてないと、内心叫びながらも目の前に広がる絶景に視線を奪われる。もちろん僕の分身はあっという間に硬度を取り戻した。
「ん、あっ、うう」
腰だけ上げて僕の肉棒を咥えながら必死に後ろを弄っている緋山さんの痴態に眩暈がした。今すぐに押し倒したい衝動を必死に抑える。
「く、そろそろいいんじゃないですか?」
しばらくその痴態を眺めていたが、僕の方が耐えられなくなってきて、そう言いながら彼の頭を撫でればびくりと身体を震わせたあとゆっくりと起き上がった。履いていた部屋着を脱ぎ捨てて、先端が触れる部分にシミができていた下着も一気に脱ぎ去る。彼はベッドサイドの引き出しからゴムを取り出すとするすると僕自身に被せ、そのまま僕の上に跨って肉棒に手を添えるとゆっくり腰を下ろしていく。
「うっ、くっ」
「まだ少ししか入ってませんよ」
以前、自分でやっても気持ち良くないと言っていたから先ほども自分の指だけでは十分に慣らされていなかったのだろう。先端が少し入っただけでいつもより締め付けられる。苦しそうな表情をしながら必死に僕のモノを飲み込もうとする緋山さんにごくりと唾を飲み込む。我慢できなくなって少し腰を突き上げてみたら、それがちょうど良いところに当たったのか緋山さんの足の力が抜けて座り込んだので、一気に肉棒を奥まで飲み込んだ。
「あっ、〜っ」
衝撃で声が出ないのか、口をはくはくとさせながら僕の腹に手をついて必死に腰を上げようとしているが力が入らないらしく肉棒は彼のナカに深く突き刺さったままだ。ぎゅうぎゅうと締め付けられて、僕も快感に耐える。
「く、奥まで入りましたね」
「あ、あっ、ちょっと待ってくださ」
少し腰を揺らせば彼の口から嬌声が漏れた。もういっぱいいっぱいという表情の彼の頬に手を当ててこちらを向かせる。
「緋山さん、僕のこと気持ち良くしてください」
挑発するようにそう告げれば彼は口をきゅっと結んで腰を上げた。そのまま腰を上下に動かして抽送を繰り返す。
「あっ、あっ、ん、」
良いところに当たる度、漏れる吐息が色っぽくて僕の体温も上がっていく。
「くっ、気持ちいいです、緋山さん」
「も、はやくイってくださ、あっ」
後ろの刺激だけではイけないらしく片手で自身を扱き始めた彼の手を取る。
「ダメですよ、一人だけ気持ち良くなっちゃ」
「だって、こっちだけじゃイけなっ、あぁっ!」
後ろだけじゃイけないと言った彼の肉棒の根元を押さえ込んで、腰をガンと突き上げた。我慢できなくなってそのまま律動を繰り返す。
「えっ、あっ、おれが、やるのに、っ」
「ありがとうございます。でももう僕が我慢できなくなっちゃいました」
体勢を入れ替えていつも通り緋山さんを組み敷いて、容赦なく腰を打ちつける。
「あっ、まえ、て、はなして」
「えっ?なんですか?」
根元を握ったままの僕の手を引き剥がそうとするが全然力が入っていない。聞こえないフリをして律動を続ける。
「あっ、なんか、くる、だめです、あっ」
「いいですよ、イって」
不安そうな彼を無視して前立腺を思い切り抉った。その瞬間、ナカが一気に収縮する。
「〜っ、あっ、ん、あぁ…っ」
「くっ、」
目を見開いてイった緋山さんに締め付けられて、僕も絶頂を迎える。ナカに入った自身はそのままに握っていた緋山さんの根元を解放してやれば、とろとろと白濁が溢れ出てきた。
「エロすぎる……」
思わず呟くと、涙目の緋山さんに睨まれた。
「は、なんてことするんですか」
息を整えている彼に非難されたが、構わずにまだとろとろと白濁を溢れさせているそれを少し扱いて白濁を出し切る。
「あっ、ちょっと、ん」
ぴくぴくと敏感になった身体を震わせる彼を見て、再び自身に熱が集まるのを感じた。
「緋山さん、もう一回ナカでイってみませんか?」
「は、」
戸惑う彼のナカから自身をいったん抜いてゴムを取り替える。
「さっきみたいに出さないでイってみましょ」
にこりと笑いかけて、自身をあてがえば緋山さんが腰を引いたので逃げられないように押さえつける。
「ひっ、あかみねさ」
「大丈夫ですよ、気持ちいいだけですから」
これ以上何も言えないようにキスで口を塞いで、腰を打ちつけた。
そのまま彼自身からもう何も出なくなるまで抱き潰してしまい、次の日は口をきいてもらえなかった。