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待ちに待った日曜日、待ち合わせ場所に15分前には着く。

すまん待ったかって走ってくる謙也に、俺は今来たでって返す。ありきたりだが一度は憧れるこのやりとり。スマホで撮った謙也の写真を見ながらシミュレーションしていると「おはよう!」と目の前から元気な声。顔を上げると謙也が立っていた。

「お、はよう」
「なんや俺が先かなー思ったんにさすが白石早いな。な、今日は行くとこ決まってん?午後は俺ん家でええんやろ?」
「あ、ああ。ほな行こうか」

考えていたやりとりとは違ったがいつでも使える会話だ、問題ない。次はさりげなく手を繋ぐことだ。謙也、こっちやでって手を引っ張ってそのまま繋ぐ。シュミレーションでは問題ない。今度こそと思いタイミングをはかるが寒いのか手をポケットに入れていて握るチャンスがない。繋ぐのも次回に持ち越しか、次は何だったか、段取りを思い出しながらも謙也の話に相槌をうち目的地についた。

「ここ!広いって聞いてたとこや!」
「靴欲しい言うてたやろ?新作も入ったとこみたいやしちょうど良かったな」
「おん!さっそく見てきてええか?!」
「慌てんでも靴は逃げへんて」

まるで子どものように喜んで中へ入っていく後を小走りで追いかける。

「これええなあ、こっちもええなあ。これとかどうや?あかん決められへんくなってきた…」

ぶつぶつと言いながらあれこれ履いている姿を見て、ここ選んで正解やったと安心した。ほほえましく見ていると「なあ白石!どっちがええと思う?!」選んでくれと言われる。これは予定になかったが憧れのやり取りだった。

「せやな、これなんかええんと違うか?」
「やっぱり?!ほなこれ買うてくるわ!」

俺が選んだやつを迷いなく受け入れてレジへ持っていく。たったそれだけのことがすごく嬉しい。


「次どこ行くん?白石はなんか見ーへんの?」
「ご飯行こうか、気になってた店あんねん」

せやなーお腹すいたわーと言っていた謙也だが、店に着くと「なんやオシャンティーな店やな」と少しおどついていた。席につきメニューを選ぶときも「名前からメニューが想像できひん」なんてお爺ちゃんのようなことを言うので笑ってしまう。

「有名なんはこれやで」
「ほなそれにするわ!白石は?」
「俺も同じやつやな」

決まりやな、と店員を呼んで注文をする姿を見て、それ俺がやろうとしてたのに今日は中々予定通りに進まない。次のプランに付け足すことにした。運ばれてきたセットメニューは思っていたよりボリュームがあり、食べ盛りには嬉しい。会話は付き合う前と変わりがないが恋人らしい話題もわからないのでこれでいい。

「このあとどうするん?もう俺ん家行く?」

美味しかったなーと店を出る。見たいものは見たしと家に向かうことになった。
友達としても行ったことのない部屋に楽しみと緊張がまじる。



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