ローストビーフA−Sabo−


“11/21 サボおつかれさま会やります
 参加できる人名前をどうぞ
 *サボ・エース・ルフィ・マナだけでも決行”

10日前の声かけでもそこそこ人数は集まった。
論文提出期限の二日後に合わせて日時を設定。
3日前から飾りつけをして、当日は仕事も休みにして、朝から料理の支度をして。

その甲斐あって、久しぶりにサボの柔らかい笑顔を目の当たりにしている。

「マナ、これめっちゃうまい!」
「ふふ、よかったわ」

でもきっと、サボの笑顔を一番柔らかくしているのは。

「おいルフィ、お前食べすぎだぞ!」
「なんだよエースだって肉ばっか食ってんじゃんか!」

たぶん、この2人。

「おいおい2人とも、ほかのみんなが肉食えないだろ」
「大丈夫だ、マナのことだからその辺も計算済みだろ」
「まあこの倍は用意してるよ」
「さーっすがマナ!」
「お前にはいつも頭が下がるよ」
「お安い御用よー」

今いる住民の中で一番長く住んでるのはサボで、もう7年にもなる。
それだけ、私のいろんな面を見てきている人。

たまにルフィに「マナはサボに甘ぇ」といわれるけど、それは人間だもの、仕方ないと思う。
長く付き合うほど。何度も救われるほど。
何かを返したいと思うのは、自然なこと。

「次はローストビーフだよ」
「お!サボの好物!」
「いいのか、こんなに豪華で」
「サボが主役だもん。だからルフィはちょっとだけ控えてね」
「ちぇー」
「みんなにも回してくる」

カウンターの3人の前に一皿おいて、もう一皿はソファを囲むナミ・ビビ・ゾロ・ローのもとへ。

「おっ、ローストビーフか」
「いいねー!」
歓声の上がるスペース。
「っていうかサボは何にお疲れなの?」
「えっナミ知らないの?論文提出だそうよ」
「へーあんた頭いいもんねーすごいわ」
「いやコツコツやればみんなできるって」
「そのコツコツがお前の才能だよ、サボ」

いいなあ、素敵な人たちがどんどんつながっていく。
もともとあった繋がりが形を変えたり、でも会えばまた笑顔になったり。
ほかの人が入って、輪が何重にも重なって。

―これが、私の作りたかった場所だ。

感慨深く見回していると、サボと目が合う。
考えを見透かされた気がして、少し照れるけど。
やわらかい微笑みに、同様のものを返した。


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