肉じゃが(レンジ製)A−Zoro−




サボが自室に引き上げて行った。
今日のエントリーはさっき5人分平らげて行ったルフィ、
只今酒盛り中のナミとゾロ、たぶん10時以降になるロー。

「最近スペース出るの早くねェか?」
「あ、バレた?研究室の勤務時間を変えてもらったの」
「どうして?」
「…その後にベビーシッターに行けるように」
「は?」



大学の同期と久しぶりに会った。
学生時代、クラスで1位2位を争っていた親友だ。
もともと華奢な子だったけれど、一層儚い印象になっていて、直感した。

―2年前の、私だ。


あの時、私は、誰か自分と同じくらいの技術と責任感を持った人に、
半分背負ってほしいと願いながら日々を過ごしていたのを思い出した。

「私、手伝おうか」

彼女の置かれている状況を一通り聞いた後、思わず口をついて出た言葉がそれだった。



「で、各職場に調整かけてみたんだけど、業務自体を減らすのは難しかったから、
それぞれの時間を調整して、なんとかうまく回るようにしたって感じかな」
「…なァ、マナ」
「…なに?」
「料理のクオリティが下がらないのはすげえと思う」
「ありがとう」
「マナ自身の見た目が雑になったりもしないのも偉いわよね」
「…どうしたの急に」
「でもな」
「うん」
「お前自身が体壊しちゃ元も子もないだろ」
「…壊してないもん」
「じゃあ聞くけど、この一カ月で何キロやせたの?」
「…3キロ」
「ほらやっぱりー!」
「いやでも、美容体重までまだあるし」
「そういう問題じゃねえだろ」
「マナは優先順位つけるのが下手よねえ」
「だって、どれも好きでやってることだから」

鳴る携帯を片手に、ナミがもっと自分労わりなさいよ、と言ってスペースを出ていく。
ゾロと二人で残される。

「…」
「お前、そんなに働いてどうしたいんだよ」
「そんなにって言っても、フルタイムとほぼ変わんないよ?」
「出勤時間はそうかも知れねえけどよ、」

ゾロがカウンターを回り込み隣の席に座る。

「お前が帰ってきてから晩飯作るのだって立派な仕事だろ」

その瞬間、唐突に目頭が熱くなった。
仕事。
そうなのだ。
私にとって、労力をかけて近くにいる人の笑顔を見る、それが仕事だ。
だから、今の私の生活で、一番「仕事」と思えるのは、スペースで作るご飯だ。

「…うん」
「ったく、俺らに食べさせる飯なんて手ェ抜いても誰も怒ったりしねえよ」
「それはわかってる、でも、」

ゾロの視線とかち合う。
隣に座ると距離がすごく近くなることに改めて気づいた。

「私にとって、みんなにご飯を作って、食べてもらうことが、一番大切な仕事だから」

ゾロは一瞬驚いた顔をした後、すぐに、珍しいくらい柔らかい笑顔を広げる。
私の頭をくしゃっと撫でて「じゃあ、一番じゃない仕事を減らせばいいじゃねえか」と言って笑った。



- 16 -

*前次#


ページ: