肉じゃが(レンジ製)B−Law−




「…うーん」

手帳を広げたマナが唸っている。

「どうした」
「優先順位つけるのって難しいね」

肉じゃがを咀嚼しながら覗き込むと、びっしりと予定が書いてあるページが目に入る。
毎日、6時起床、24時就寝、それ以外の時間は常に何かしらのタスクで埋め尽くされた一週間。
ご丁寧にそれぞれの仕事が生み出す稼ぎまで記入されている緻密さ。

「…でもこう見ると、やっぱりベビーシッターと家事代行は続けられないかもしれないな」

…待て。
それは俺の弁当とか、掃除洗濯も含めてのこと言ってんのか?

「…おい、お前もしかして」

俺の分の家事まで辞めるつもりじゃないだろうな、と続けようとしたが、

「ローの分は辞めないから安心して」
「…そうか」

もしそうなったら俺は明日から何を食べればいい。

「業務量を見直してて、研究室で1時間長く働けば福利厚生が手厚くなるみたいなの」
「あぁ」
「人手不足みたいだからそうしようかなと思ってるんだけど」
「…フルタイムって考えはないのか」
「ないねえ」
「…そうか」
「で、そのためには何かを削らなくちゃいけないんだけど…」

ふ、っと諦めるような笑み。

「もう、だいぶ癒されたから大丈夫かな」
「なんだ?」
「…ベビーシッターと家事代行を始めた時、
エネルギーが欲しくて、でも一人の作業に没頭もしたくて、選んだんだけど」

遠くを見る目。

「言ってみればその2つって、私にとってのリハビリみたいなものだったの」
「…リハビリ、か」
「うん。だけど、きっともう大丈夫だと思う」

さっきの諦めた笑いから、いつもの確かな笑顔に戻る。

「みんながいるし、私には料理があるし」







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