いちごミルクキャンディ
「もう別れるから!」
「別れ決めるには早すぎない?」
「彼氏も災難だな」
コーザが女の子と抱き合っている写真がSNSに流れてきたとビビが荒れていて、
爽やかな土曜の朝なのに、ずっとこんな調子で一時間が経っている。
「酔った人を介抱してるだけに見えなくもないけど」
「そんなことないわ、これは浮気の動かぬ証拠よ!」
「ゾロ、何か言ってあげて」
「そう思うんならそれでいいんじゃねえの」
「もうどうでもよくなってるでしょ」
スペースにローが起きてきた。
「朝から騒がしいな」
「こいつの彼氏の浮気疑惑が」
「疑惑じゃなくて事実よ!」
「はいはい」
「なにがあった?」
ビビが写真を見せる。
「どうして男の人って浮気するのかしら…」
「え、今までもされたことあるの」
「…ないけど」
「男のサガだな」
「あー、はい、ローさんはモテますもんね」
「もういい、コーザに何も期待しない」
落ち込みモードのビビに、宥め飽きたのかゾロはコーヒーを淹れに席を立つ。
私は誰かのおすそ分けのいちごミルクキャンディを口の中で転がす。
…男のサガ。
「ねえ、どこからが浮気なんだろ」
「あ?」
「ロー的にはどこからが浮気?」
「あー、ヤったら当然アウトだろ」
「それはそうね」
「病気がうつるレベルの接触からアウトだな」
「え…どの病気のこと言ってる?」
「シモの病気な」
「あー、キスとか」
「まあそうだな」
「びっくりした、結核とかだったら喋るものダメじゃん」
「…ああ」
ローが少し考えこむ。
半分くらい溶けたキャンディを齧る。
口にあふれる甘いミルクの味。
「それはそれで一つありだが」
「え?話すの禁止が!?」
「ああ、だがそれだとフェアじゃねえだろ」
「そうだね、ロー自身は女の人と話すもんね」
コーヒーを手に戻って来たゾロに目を留める。
「ねえ、ゾロ的にはどこからが浮気?」
「…野郎と二人で飯に行ったら」
「わあ」
「あー、結局それって行くとこまで行ってんだろって話か」
「まあそうだな」
「待って、仕事とかであるよね?そういうの」
「そもそも二人で飯に誘ってる時点で男には下心あるだろ」
「仕事を口実にしてるだけだな」
「ええ、なんか、価値観が違いすぎて衝撃だわ」
「その下心を見抜けてない時点で女は危機管理能力が低すぎる。見抜いた上で行ってるなら同罪だ」
「…無知も罪ってこと?」
「まあそうだな」
「…うーん」
少し考えてゾロを見据える。
「もしそう思うなら、それ、付き合った相手には言った方がいいよ」
「あ?」
「たぶんそう考えてる女の子少ないと思う。はっきりしとかないとゾロも相手も傷つきそう」
そう言った瞬間、なんとなくゾロの表情が曇った気がした。
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