チーズオムレツB


急に体が跳ねて目を開ける。
…すごくリアルな夢を見た気がする。

シャンクスが出てきたような、実家の夢だったかな。

ベッド端に座るとペディキュアが目に入る。
ずっと好きな色、赤。

私が赤を好きなのは、見慣れていたからかも知れない。
あの人の、燃えるような髪の色。

少しずつ夢がクリアになってきた。
チーズオムレツを食べ損ねた気がする。
そう考えると、急にチーズオムレツが食べたくなるから不思議だ。

今日の朝ごはんメニューなんだっけ。
土日だからちょうど洋食のはず。
作っちゃおうかな。



「あれ、スクランブルエッグじゃなかったのか?」
「んーん、今日はリクエストにお答えします」

手書きの黒板に卵料理メニューが。

「うーん、オムレツかな」
「色々入れられるけどどうする?」
「お、じゃあベーコンで」

にこ、と笑ってマナはコンロに向かう。

「なんでまたリクエスト?」
「…今朝チーズオムレツ食べたくなったんだ」
「へー」
「夢で食べそびれたの」
「どんな夢?」
「うーん、高校生の時の夢で、朝ごはん作って食べる前に起きちゃって」
「…なんか今と設定が混じってねえ?」
「え、そんなことないよ、その時も朝ごはん作ってたし」
「そうなのか?」
「中学生くらいから家事は私の仕事だったから」
「…ご苦労なことで」
「そうかな」
「…でも、マナの家ならお手伝いさんとかいたんじゃないの」

思い出したくないが、自分の実家が頭をよぎる。
たぶん、同じような状況だっただろうと思う。

「昔はいたけど、途中から代わりに私がやるようになって」
「タダ働きか」
「や、お小遣いって形でお金貰ってた」

振り返ったマナが置いた皿は、綺麗にまとめられたオムレツ、トースト、サラダ。
オムレツを頬張るとバターとベーコンの香りが鼻に抜ける。

「ん、うまい」
「よかった」



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