チーズオムレツB
急に体が跳ねて目を開ける。
…すごくリアルな夢を見た気がする。
シャンクスが出てきたような、実家の夢だったかな。
ベッド端に座るとペディキュアが目に入る。
ずっと好きな色、赤。
私が赤を好きなのは、見慣れていたからかも知れない。
あの人の、燃えるような髪の色。
少しずつ夢がクリアになってきた。
チーズオムレツを食べ損ねた気がする。
そう考えると、急にチーズオムレツが食べたくなるから不思議だ。
今日の朝ごはんメニューなんだっけ。
土日だからちょうど洋食のはず。
作っちゃおうかな。
*
「あれ、スクランブルエッグじゃなかったのか?」
「んーん、今日はリクエストにお答えします」
手書きの黒板に卵料理メニューが。
「うーん、オムレツかな」
「色々入れられるけどどうする?」
「お、じゃあベーコンで」
にこ、と笑ってマナはコンロに向かう。
「なんでまたリクエスト?」
「…今朝チーズオムレツ食べたくなったんだ」
「へー」
「夢で食べそびれたの」
「どんな夢?」
「うーん、高校生の時の夢で、朝ごはん作って食べる前に起きちゃって」
「…なんか今と設定が混じってねえ?」
「え、そんなことないよ、その時も朝ごはん作ってたし」
「そうなのか?」
「中学生くらいから家事は私の仕事だったから」
「…ご苦労なことで」
「そうかな」
「…でも、マナの家ならお手伝いさんとかいたんじゃないの」
思い出したくないが、自分の実家が頭をよぎる。
たぶん、同じような状況だっただろうと思う。
「昔はいたけど、途中から代わりに私がやるようになって」
「タダ働きか」
「や、お小遣いって形でお金貰ってた」
振り返ったマナが置いた皿は、綺麗にまとめられたオムレツ、トースト、サラダ。
オムレツを頬張るとバターとベーコンの香りが鼻に抜ける。
「ん、うまい」
「よかった」
- 22 -
*前次#
ページ: