早朝おにぎり@


早朝5時。
一瞬ぐら、と揺れた感じがして目を覚ます。
次の瞬間、下から突き上げるような揺れを感じた。
ずいぶん長く感じたそれは、実際はほんの数分だったんだろう。

揺れが収まったのを確認して飛び起きる。
ケータイを確認する。震度5.余震に注意。了解。
電気がつかない。停電かな。じゃあ断水が近いかもしれない、お風呂に水を溜めよう。
入口のドアを開けたところで、隣の部屋のゾロが同じくドアを開けたところに遭遇した。

「無事か?」
「無事!」

素早い動きでこちらに寄ってきて、頭に手を置いて、そこから肩、腕をポンポンと触るゾロ。

「ケガは…ねェな」
「うん、大丈夫」

安全確認だとわかっているけど、触れられる度なぜか泣きそうになる。
ゾロが何かに気づいて私の部屋を覗き込む。廊下まで届く水の音。

「念のため断水対策」
「あァ、必要だな」

スペースの鍵のかかる棚に防災グッズがあったはず。
鍵は机の引き出し、と振り返った瞬間手を引かれた。

「ゾロ?」
「俺達は有事の際は一番に招集がかかる」
「…そうなんだ」
「たぶん、しばらく家を空ける」
「うん」
「留守を頼めるか」
「…わかった」
「あァ、頼む」

部屋に戻る背中に声をかけた。

「ゾロ!」
「あ?」
「お弁当、持っていく?」
「…助かる」
「出るときスペース寄ってね」

携帯の光を頼りに部屋に戻ってスペースの棚の鍵をポケットに入れる。
冷蔵庫からおかずのタッパーと昨日握ったおにぎりを取り出して、バスケットへ入れ替える。
スペースには既にナミとビビがいた。

「マナ、大丈夫!?」
「大丈夫!二人ともケガない?」
「あたしは大丈夫」
「私も大丈夫だけど、この建物が大丈夫か心配だわ」
「たしか耐震構造のはずだよ」

話しながら鍵を開けて災害備蓄品を取り出す。
水を溜めるためのポリタンク、ガスが止まった時の卓上ガスコンロ。
確認したらキッチンのガスもちゃんとつくから止まってはいないみたい。
もし止まっても、ガスボンベは段ボール一つ分あるから、3−4日は足りるだろう。
災害用のラジオと非常用のランタンもスイッチを入れる。
室内が明るくなっただけで、女子二人の表情が少しホッとするから、灯りは偉大だ。



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