早朝おにぎり�C


「ナミさん!ビビちゃん!マナちゃん!」
「サンジさん!」
「おかえり!早かったわね!」
「プリンセスたち、ケガはないかい!?」
「みんな元気だよ」
「良かった!」

ナミとビビがすごくホッとした顔でサンジくんに向かっていくのを見て、
自分も心底ホッとしたことに気づかされた。
こういう時、男手があるってすごく心強いことだ。
私、本当はあの二人にいて欲しかったのかもしれない。

でも、その自分を理解しつつ、頼りすぎないようにしないとな。

「…マナちゃん?」
「…え?」
「ぼんやりしてどうしたの?…怖かった?」
「あ、…ちょっとホッとしてボーっとしちゃった」
「そうかい?でも、オレが来たからもう安心していいんだよ!」

さあ、この胸に飛び込んでおいで!みたいなセリフが聞こえた気がしたけど、
私の頭はもう買い出しの品目に切り替わっていた。

「サンジくん、帰ってくる途中開いてたお店ってあった?」
「あァ、コンビニはそこそこ開いてたけどたぶんもう品薄だろうね」
「どこかに買い出しに行こうかなと思って」
「…それなら、うちの店の食糧を使ってもらいたい」
「え?いいのそれ?」
「それが、店の方は電気もガスも水道も止まってるみたいでさ」
「あらら」
「置いといても食材がダメになるだけだし、クソジジイも必要な分持ってけってさ」
「…それならお言葉に甘えたいな」
「もちろん!じゃあ、行こうか」

*

クーラーボックスを括った自転車を押すサンジくんと、帰途を進む。

「お、また揺れたな」
「…ナミとビビ大丈夫かなあ」

ふと、カラカラと鳴っていた自転車のチェーンの音が止まった。
振り返ると、びっくりするくらい優しいまなざしとぶつかる。

「頑張ったね、マナちゃん」
「え、」
「自分も不安なのに、マリモとトラ男が出勤していくのをちゃんと送り出して、
ナミさんとビビちゃんが不安がらないように色々気を遣ってたんだろ?」
「…」

見抜かれてた。

「…ダメだなあ私」
「え?」
「バレてるようじゃ、まだまだね」

恥ずかしさで少しうつむいて笑う。
大きな手が頬に添えられた。
上を向かされて目が合った彼はこれ以上ないくらい優しい目をしていた。
サンジくんが耳に唇を寄せてささやく。

「そんな健気なプリンセスには、とっておきのフルコースをお作りしますよ」

料理で愛情を注ぐ人だ、この人は。
私と一緒。


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