とても短い話


1000文字に満たない話、ネタなどを置いています。
名前変換はありません。

君と僕の終末論*司馬師


暖かな日差しと小振りの花がよく似合う女だった。真実、よく出来た女だった。ただ一つ挙げるならば、あれは私しか見えていなかった。ゆえに女を実弟に託すことにした。

「いっそ他所へ嫁がせたらどうです?」

昭は苦虫を噛み潰したような顔で言った。自分にそれを選ぶ勇気があればよかったのだ。



「140文字で書くお題ったー」様より引用
「腹を括れ」「届かない本当」「約束破り」の過去

約束破り*王元姫


誰が見てもわかるほどお互いを想っていた二人だった。けれど子元殿はあの方を子上殿に託した。子元殿が居なくなった頃から、面影をなくして塞ぎ込んでしまった。

「……ほんとうにこれでよかったのかしら、子元殿」

血色を失った顔貌。開かれることない瞼。お茶を飲み交わす約束はもう果たされない。



「140文字で書くお題ったー」様より引用
「腹を括れ」「届かない本当」の続き

届かない本当*司馬昭


「いつまでそうしてるつもりなんです?いい加減現実を見てください。兄上は死んだんですよ」

「いいえ、死んでません。生きて帰ってきます。そう約束しました」

そうでもしないとあなたは後を追ってしまうから。兄上、俺は時々この人は死なせた方が幸せなんじゃないかと考えることがあるんです。



「140文字で書くお題ったー」様より引用
「腹を括れ」の続き

腹を括れ*司馬師


「呼ばれた理由はわかっているな?」

「うっ、はい……」

「ではお前の答えを聞こう」

「嫌です!!絶対に嫌です!子元様から離れて子上様に着くなんて!私は子元様のことが―――」

「それ以上は言うな」

なんであなたが辛そうにするんですか。私の気持ちを知ってて遠ざけてるのはあなたなのに。



「140文字で書くお題ったー」様より引用

夢の轍を辿る*姜維


祖国のために戦うあなたに射貫かれた。降将として蜀に入った以降は同志として駆けた。綺麗なものを真綿で包んだ夢に双眸を煌めかせるあなたはとても輝いて見えた。蜀の武将として憧れ、一人の男として魅了された。

「あなたの夢、私が貰うわね」

物言わぬ首を抱え、開くことのない瞼に口付ける。

再会した幼馴染が美人だった件について*張コウ


「えっと……、誰ですか?」

ある日の朝。家の戸を叩かれて出てみると、そこには目が覚めるような美丈夫が立っていた。頭の高いところで一つに括った黒く長い髪。きりりと鋭い眦。女性と見まごう顔貌を持ちながら、首から下は確かに男のそれと劣らぬ体つきだった。自分にこんな人と縁はないので素直に素性を訊ねる。

「昔日の友を忘れてしまうとは、時の流れとは残酷なものですね」

「……はい?」

「まだ思い出しませんか。私ですよ。あなたの友、張儁乂です」

「はああ!?儁乂!?」

驚きに目を剥く私に、彼は「はい」と悠然と微笑む。開いた口が塞がらないとはまさにこのこと。一体誰が想像できただろう。世に咲く数多の美を見たいのです、とか言って故郷を出た旧友が、女と見まごう美丈夫へと変貌して帰るなど。自分はできなかった。

「あんたえらく雰囲気変わったね」

昔から周囲とは何処か違う雰囲気を持つ彼だったが、よもやここまで化けるとは。自分の目を疑うほどに綺麗になっていた。

「あなたもいっそう美しくなりましたよ」

「ボロ屋に住んでボロ布まとう女に何言ってんだか」

「いいえ。あなたは美しいですよ。私がここを離れるより以前から変わらずに」

蕩けるように目を細めるものだから、むず痒い気持ちになり顔を背けた。せっかく潰した恋心が再燃しかねない。



originの容姿

兄の心労*賈詡


「ねえ兄様」
「どうした」
「私、嫁ぎたい殿方を見つけましたの」
「またか……。昔も似たようなこと言って他所の男を連れてきただろ」
「それは六つの出来事ですわ。今は妙齢の女、真剣に今後を考えて決めたことですの」
「聞くだけ聞くさ。誰だ?」
「荀攸様と荀ケ様ですわ」
「……色々言いたいことはあるが、まず何故その二人なんだ?荀家は名家だが、あんたは会ったことなかったはず」
「この前ご飯の差し入れを持っていった時案内されましたの。聞けばお二方とても有望な軍師なんですって?どうして今まで隠してらしたの兄様。可愛い妹が心配ではないの」
「どっちかって言うと心配なのは自分の身なんだがね」
「まあ酷い。昔のように先走ったりいたしませんわ、学習しましたもの。だから外堀を埋めようと思って曹操様に接近したいのだけど、兄様なんとかしてくれない?」
「とりあえず、だ。あんたの婿は兄が見繕ってやるからなにもしてくれるな」
「わたくしあのお二方がよいのだけれど……」
「二人の男に嫁ぐこと自体できないだろう」
「面倒ですこと。殿方は何人もの女を侍らせられますのに、どうして女は意中の殿方の二人くらい侍らせてはいけないのかしら」
「まったく変わらないなあんた……」
「そんなに険しくしては怯えられてしまいますわ。ただでさえ怖いお顔なのですから」

どこへ帰ればいい?*孫権


家族を失った。家を失った。大事な物をたくさん失くしてきた。だから、命までは失えない。

「なにも持たないというなら作っていけばいい」

つい先程まで首元に剣を押し当てられていた男が言う。失笑してみせると拘束が緩まった。

「これからは私の元へ帰れ」

初めて自分から過去を捨てた。



「140文字で書くお題ったー」様より引用

寄るな、色男*陳宮


「何故、何故私から距離を置かれるのか!」
「どっか行け」
「今日こそは教えてもらうまで逃がしませぬ」
「うるさい男だ。何故父上はこれを引き入れたのか」
「呂布殿には才覚を認めてもらったゆえ。不満があれば言っていただきたい」
「…………一回だけ言う」
「はい」
「抱かれたくなければ寄るな」



「140文字で書くお題ったー」様より引用

愛を囁け、恋を論ぜよ。*楽進


「あなたに必要とされることが私の一番の喜びなのです」

褒賞は何が良いかと聞かれて答えた自分に、彼女は瞠目し笑みをこぼした。

「情人のようなことを言う」

「……そう、かもしれません。恐縮ですがあなたの一番は私であればと思っています」

思うがまま打ち明けると今度は黙ってしまった。



「140文字で書くお題ったー」様より引用


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