「守れなくてすまない」
「そんな。何故殿が謝るんですか。主君のために散るは臣下の鑑。老師だって殿に謝ってほしいとは思ってないですよ」
「……すまない」
尚も沈痛な面持ちで謝罪する劉備殿。こういう時に老師が居てくれたら、と思う。誰かを慰めるなんて自分には荷が勝ちすぎる。
「やめてください。私に謝られても……困ります」
「……知っている。だが謝らずにおれんのだ。お前の師であり我が友でもあった龐統を失ってしまった。孔明にも面目が立たぬ」
滔々と垂れ流される劉備殿の謝意。そんなもの、下っ端に言ったってどうにもならないのに。下っ端の苛評なんて殿が気にすることでもないのに。深く項垂れる彼になんと言ってやればいいか逡巡するが、上手い言葉が見当たらない。それでも何故だか許す気にはなれなかった。ああ、老師に会いたい。
残された時間