「意外だね。いつもは時間があればずっと剣振ってるのに」
「ああ。今日は、その、……用事ができたのだ」
言いづらそうに淀む彼を見て瞠目する。質実剛健でさっぱりした気性を持つ彼が言えないこと。ぴんと閃く。きっと女関係だ。他のことには白黒はっきりしている彼だが、こと女関係になると途端及び腰になる。彼に想いを寄せる者として、それは看過できなかった。とはいえ率直に訊ねて教えてくれるかどうか。うんうん唸る私に彼が訊ねる。
「お前はどうしたんだ?」
「私は関平に用事あって来たんだけど、間が悪かったみたいだし出直すよ」
聞いても答えてくれそうにない、と諦めて榻から腰を持ち上げたと同時に、彼に慌てて呼び止められた。
「拙者なら大丈夫だ!」
「え?でもさっき用事あるって……」
「そ、それは……」
きょとんとする私と黙り込んでしまう関平。長く続く沈黙にどうしようかと所在なさげに視線をやっていると、出し抜けに「拙者は」と言葉を吐き出した。
「練武することに傾注し、女性を楽しませることにおいては未熟だ。……それでもお前と見に行けたらと望むことがある」
「それって?」
「星が満遍なく見れる場所を関索から教えてもらったんだ。名前がよければではあるが、拙者と見に行ってくれるだろうか……?」
不安げに揺れる双眸に胸が穿かれる。想い人に誘われて断る女が居るだろうか。喜び勇んで了承した私に、彼は胸を撫で下ろした様子で笑ってみせた。
どこかで響いた銃声