二関

重い、重すぎる。身動き取れないほど重いし、なんか苦しくなってきた。

「無理。無理無理無理。これ以上は無理!」

胸の上で交差する二つの腕をばしばし叩く。寝てるだとかどうでもいい。どうせ怪力なこの二人には痛いのうちにも入らないだろうし。丸太みたいな腕はのそりと緩慢にずれた。

「ん……」

「どうした、んです……、姉上……」

両側の高いところからくぐもった声が降ってくる。片方には関興、もう片方には関索が居る。眠いだなんだ言って二人して自分を抱き枕にしたのだ。

「二人とも起きて!もう昼過ぎた!」

「私は……まだ眠いです」

「……あと少し」

「寝ようとするな!私行きたい店あるからもう起きたいの。退いて」

言ったにも関わらず、腕は離れるどころか重さを増した。関興に至っては体を擦り付けてくる始末。邪魔でしかない。なんだこれは。図体のでかすぎる子供か。いくら弟といえどこんな子供すぎる弟は嫌だ。銀屏を見習え。あの子は夜明けと共に特訓開始してるよ。ほんとにいい子だよね。関平も付き合ってあげてるし。比べてこいつらはどうだ。夜唐突に姉の部屋を訪れ、ろくろく承諾も得ずに牀に乗り上がり、あろうことか姉を抱き枕代わりに締め付けて寝るなど―――。

「関平の素直さと歳上を敬う気持ちを見てほしいものだわ」

「それは違います姉上。私は姉上だから触れたいと思うのです」

と、関索。

「……姉上は、触れてて落ち着きます」

と、関興。

「いや知らん。離せ」

と、私。冷たいと詰られても構わん。寝返り打てなかったせいで寝心地も最悪だったんだ、いっそ酷い酷いと幻滅してくれた方がいい。

「とにかく。私はもう起きた―――」

「駄目です」

起き上がろうと上体に力を入れようとすると、突然肩を引かれて関索の腕の中にすっぽり閉じ込められてしまう。体が横向きなったため、前には関興の胸板が迫っていて、思わず目を白黒させた。何だこの状況は?それを教えるのは関興だった。

「あと少しだけ……このまま……」

横向きに固定されている私の腹部に頭を擦り付けてくる。いよいよ子供だ。関索はいつの間にか寝入っていたようで、寝息が聞こえてくる。しばらくすると関興のも聞こえてきたので、この窮地を脱する術を持たない自分は、全身に走る鈍い痛みを堪えながら時が過ぎるのを待つことにした。心を無にして。




誰にも渡さない

前へ次へ






指先