「ええ、ええ。よく知っていますとも。しかしいくら可愛い弟の頼みと言えど姉上にも譲れない物があります」
「可愛いと今もおっしゃるのなら今回ばかり受け入れてくださってもよろしいのでは?」
「子元こそ、姉上を変わらず慕っているのでしたら言うことを聞いてくれてもよくなくって?」
「これは譲れません」
「私もです」
「…………多忙極まる日々の中、唯一の安らぎを覚えるのはこれを戴く刹那のみ。その一時さえ姉上はくださらぬと言うのですか」
「なっ!だ、駄目です!そんな悲しそうな顔してもこれはあげませんよ!?」
「そうな、ではなく事実悲しいのです。所在不明の我が天命を求むこの手には、ただの一つもありはしない。そうと知って尚、姉上は情けをくださらないのか」
「子元……。もう!そんなこと言われたら肉まんはあげるしかないじゃない!風邪引いてるのに!」
「ご心配なく。薬は先程飲みました」
「そういう問題じゃないわよ。肉まんばっか食べてることが問題なのよ馬鹿子元」
「む。私が馬鹿とは聞き捨てなりません。撤回を求めます」
「あー、はいはい。じゃあ凡愚よ凡愚。まともに栄養のつくご飯食べずに肉まんばっかり食べる子は、凡愚で充分です。そんなんだと早くに父上のようになってしまいますよ」
「……明日から改めます」
「よろしい。やはり子元はわかる子ね、偉い偉い。姉上は安心しました」
「ですので今日はあと五つ所望します」
「…………」
負けず嫌い