3話






「お待たせ」
「久しぶり!元気だった?」


 梓と安室から開放された刹那は奥の席に座っていた茅野に声を掛けると彼女は嬉しそうな顔をして刹那に挨拶をする。


「一応ね、ため寝してるし」
「またそんな不規則な生活してるの?」


 刹那はふっと笑って曖昧な返事と不規則な生活をしていることを臭わす言葉を言うと心配そうに茅野は刹那を見て問いかけた。


「仕事柄しょーがないのー」
(主の原因はすぐそこにいるけど)
「あはは…確かに」


 彼女は茅野に言い訳しては心の中で毒を吐く。
 茅野には心の内の声は聞こえないため、苦笑いして彼女の言葉に納得する。


「お待たせ致しました、コーヒーとアップルパイです」
「…ありがとうございます」
「あれ?刹那ってコーヒー飲めるようになったの?」


 そんな会話をしている二人の間に先程刹那が頼んだメニューを安室が持ってきて#彼女の前に置いていく。
 刹那は何も反応をよこさない安室にとりあえず他人のフリをすることにして丁寧に安室にお礼を言うと安室はにっこり笑って厨房へと入っていた。
 出されたコーヒーを見て茅野はきょとんとした顔をしながら刹那に問いかける。


「ん?あ、ここのコーヒーだけ飲めるんだ」
「へぇ、やっと見つけたんだ〜」
「そうそう、本当は豆売って欲しいくらいなんだけどダメって言われてから暇な時はここに通ってるんだ」


 刹那は嬉しそうに茅野の問いかけに答えると彼女も嬉しそうに言葉を返す。
刹那は断られた時のことを思い出したのか眉下げて残念そうに話してはここに通っている理由を述べた。


「それで店員さんとも仲良いんだね」
「梓さんとはね」
「コーヒーのついでにあのイケメンも目の保養で来てる訳じゃないの!?」


 茅野は思い切ったお願いをした刹那に困った顔をしながらも店員と仲いい理由が分かったとばかりに言葉を返すと刹那は強調して梓の名前を出す。彼女は刹那の反応が予想外だったのか驚きの声をあげてツッコミを入れた。


「イケメン興味無いし…というか、今日存在知ったし」
「え、そうなの?」
「私が来てない間に入ったバイトさんだって」


 呆れた顔をして刹那は茅野の言葉を否定すると茅野は安室を知らなかったことにきょとんとしていると知らない理由を淡々と刹那は述べる。


「…なーんだ、やっと刹那の恋バナ聞けるかと思ったのに」
「私は仕事一筋ですー」
「もう、それが分かってるから聞きたいんじゃん!」
「あははは、知ってる……それでそっちは?」


 理由が分かると茅野はつまんなそうな顔をして刹那に言葉をかけるとツーンとした態度で彼女に言葉を返す。
 茅野は少し拗ねた顔をして言い返すと刹那はその態度に思わず笑いながら茅野に問い掛けた。


「え?」
「なーに、とぼけてんの?渚とはどーなのよ」
「あー…うーん、相変わらずターゲットしか目に入ってない……」
「あの天然タラシも問題児だよね」


 茅野は彼女の問いかけにキョトンとしていると刹那はニヤニヤしながら渚との進展を問い掛けた。
 茅野は刹那の問いかけの意図を理解すると言葉を濁してアイスティーに刺さっているストローをくるくる回す。
 彼女の返答に刹那はテーブルに肘をついて顔を乗せて呆れたように言葉を零した。


「あ!刹那さん!お久しぶりです!」
「ん?あ、蘭ちゃん。久しぶり」


 カランカランというお店の戸が開いた音がすると安室がいらっしゃいませと言う声がして女性が店の中へ案内されるやりとりが聞こえてくると女の子の声が##NAME2##を呼び掛けて挨拶をする。
 呼ばれた刹那は反応して声のする方を見ると見知った人物に微笑んで挨拶を返した。


「刹那、この美少女は?」
「ん?ああ、この上にある毛利探偵のご息女」
「毛利探偵って…あの眠りの小五郎!?」


 茅野は刹那の肩にちょんちょんと指でつつくと目の前にいる美少女…毛利蘭のことを聞いてくる。茅野の問いかけに刹那は簡単に蘭の紹介をすると茅野は有名な探偵の娘さんであることに驚いた。


「そうそう、その人」
「あ、あの…もしかして、人違いじゃなかったら刹那さんと一緒にいるのって…っ!!」


 茅野の驚きの声に刹那は淡々と肯定すると蘭からも茅野のことを問いかけようとしているのが分かった刹那は彼女の腕を前に引っ張っては自身の人差し指を彼女の口に当てた。
 急にそんなことをされたことに蘭は目を見開いて彼女を見つめる。


「蘭ちゃんが言いたいことは分かったけど彼女プライベートだからその名前は出さないであげてね」
「あ、…は、はい」
「刹那、ありがとう…えっと蘭ちゃんもね」
「い、いえ!!そんな…」


 刹那は申し訳なさそうに眉を下げては茅野の芸名…磨瀬榛名の名を出さないようにと先手を打った。
 蘭は彼女の行動に呆気に取られていたけれど、ここで蘭がテンション上げて話を進めると店中が騒ぎになることが分かったのか首を縦に振って返事をする。
 茅野は眉下げて気を使ってくれた刹那お礼を言うと蘭にもお礼を言うと蘭は手を振って言葉を返した。


「そういえば蘭ちゃんもいるってことは友達と一緒?」
「蘭ねえちゃん、どこに…あ、刹那さん」
「ああ、コナン君!ごめんね!」


 刹那は話題をそらすように蘭に問い掛けると蘭の後ろから可愛らしい声が蘭に声を掛けると蘭が話している人物が誰かが分かると少年は刹那の名を呼んだ。
 蘭は慌てて少年…江戸川コナンに両手を合わせて放置していたことを謝るとコナンはううんと言って首を横に振った。


「久しぶりだね、コナンくん」
「久しぶり!今日は元気なんだね」
「まあ、だいぶ休んだからね」


 コナンに声を掛けられた刹那はふっと笑って彼に言葉を返すとコナンはにこっと笑いながら彼女がズバッとあまり突っ込まれたくない言葉を吐くと刹那は苦笑いしながら言葉を濁した。


「やだ、私ったらお邪魔して…すみません」
「大丈夫だよ、蘭ちゃん。またお茶しようね。コナンくんも一緒に、ね」
「はいっ!」
「うんっ!」


 何だかんだ蘭とコナンと話していた刹那に蘭は邪魔をしたと思って申し訳なさそうに謝罪すると刹那は首を横に振って否定してお茶の約束をすると2人は嬉しそうに頷いて元々座ろうとしていた席に戻っていく。


「へぇ、刹那に女子高生の友達がいたんだ〜」
「まあね…たまに勉強教えてるんだ」
「流石女版カルマ君!頭がいいこと」


 蘭とコナンのやり取りを見ていた茅野は感心したように言葉をこぼすと少し居心地悪そうに笑って言葉を返すと茅野は笑いながら彼女を褒める。


「やめてよ…あそこまで性格は悪くない」
「あははっ」


 赤羽業…椚ヶ丘中学校学年一位にまで上り詰めた男の名前で褒められた刹那は怪訝そうな顔をして彼女の言葉を否定すると茅野は笑い声を上げた。




たまの休日には

 ―のんびりとお茶をしよう―




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