(そういえば今って原作で行くとどこなの?始まる前?もう始まってる?)
胡蝶はまたもや男装をして街へと繰り出しては街の様子を見ながらふと疑問を浮かべていた。
(もう原作入ってたら珱とぬらりひょんは出会ってるはず…にしてはあんまり様子変わってないよなぁ…珱)
彼女は胡蝶の横を追いかけっこをして問い越していく子供たちを見ながらここ数日の珱姫を思い出すが変わった様子がなくまだ原作に入ってないのかもしれないと思っていると目に入った店に足を止めた。彼女はその店へと足を運ぶ。
「おお、色男!探しもんかい?」
(男じゃないけど)
「まあ、土産をね」
店の前で立ち止まって品を見ていた胡蝶は店主に声を掛けられるとやはり店主も男装をしている胡蝶を男と勘違いしているようで彼女は心の中で突っ込みを入れると店主に言葉を返した。
「こんな色男に買ってもらえるなんてどんな女子だい!」
「はは、そんなんじゃないよ」
胡蝶が立ち止まったという店というのは簪専門店。色とりどりの簪を目の前にして“彼女”に合うものを探していると店主の横にいる…おそらく店主の奥さんが胡蝶へ冷やかしのような言葉を掛けると胡蝶は苦笑いしながら一つの簪を手に取った。
「おじさん、これ頂戴」
「おお!お目が高いね!」
「まあ、目利きはいいもんで。んじゃ、失礼」
胡蝶が手に取った簪は品の良い薄い桃色をした桜をワンポイントにした簪だった。その簪を店主に見せると店主はニッと笑って彼女を褒めると胡蝶はふっと笑いながらお代を店主に渡しながら褒め言葉を素直に受け取って店から離れた。
(珱…喜んでくれるかな……つか、マジで珱に貢いでる男みたいなってるな、私)
また散歩をし始めた胡蝶は懐にしまった簪を思い出して珱姫の喜んでいる顔を想像しては口角を上げた。しかし、自分のしていることにまるで男みたいだと心の中で自身を突っ込むと困ったように笑う。
「お前さん、何でそんな恰好をしてるんだ?」
「何故、アンタがここに居るのか私が問いたい」
突如胡蝶の前に現れた人物は彼女のしている格好…つまり、男物の着物を着ていることに眉を寄せて驚いた顔をして彼女に問いかけると胡蝶は真昼間に問いかけてくる人物が目の前にいることにげんなりした顔をして彼の問いには答えずに逆に問いかけ返す。
「お前さんを探しに」
「迷惑な話だな、妖」
「で、お前さんなんでそんな恰好しとるんじゃ」
胡蝶の問いに彼は簡潔に答えると胡蝶は深いため息を付いて妖…ぬらりひょんを睨むが、睨まれても怖くないのか彼女の話を聞いてないかのように開口一番で問いかけた問いを再度彼女に投げかけた。
「…女の着物は歩きにくい。以上」
「勿体ないのぉ」
答えなければしつこく付き纏われると踏んだのか胡蝶は一言で彼の問いに答えると残念そうにやれやれとぬらりひょんは言葉を返す。
「アンタに付き合ってる暇はない。それじゃ」
「ちょ、ちょっと待て…」
胡蝶は関わっていいことがないと思ったのかぬらりひょんに別れを告げてさっさか歩き出すが、まさかそんな態度に出られると思ってなかったぬらりひょんは焦りながら彼女を制する言葉を掛けて肩を掴む。
「…何の用?私に構わなくていいから他所行きなさい」
「………一筋縄ではいかないのぅ」
胡蝶は肩を掴まれてピタリと足を止めるが横目で睨みながらぬらりひょんに壁を張るような言葉を吐いて方に置かれた手を払いのけると彼女はまたさっさかと歩き始めた。
ぬらりひょんは黙って彼女を見つめてはぽつりと言葉を零すと彼女に否定されて火が付いたのかにやりと笑っていた。
(どんな悲劇が待っていようとも珱に自由を与えられるのはアンタしかいない。早く珱の前に現れて…あの子を解放してあげて。私があの子に出来ることは少ないんだから…)
胡蝶は自由のない珱姫が儚く笑う姿を思い出す。どんなに街の話をしても、土産を持っていけたとしても彼女の本当の自由は上げられないことに悔しさを覚える胡蝶にとってぬらりひょんは珱姫を救う存在。
彼女は珱姫の自由を切実に願いながら空を見上げた。
−−できることは
そんなに多くないと知っている