「よー、渚君。久しぶり」
(赤羽くん…!!………??)
右手をズボンのポケットに突っ込んでいちご煮オレを飲んで上から体育の授業を見ていたカルマを見て渚は少し驚いた顔をしてぽつりと言葉を漏らすとカルマは渚に声をかける。
久しぶりに見た彼の姿にルナは嬉しそうな顔をするが、彼が纏う空気が前と違うような違和感を覚えて彼女は首を傾げた。
「わ、あれが例の殺せんせー?すっげ、本トにタコみたいだ」
悪戯笑顔を見せながらカルマは杉野と渚の間を通って校庭へと降っていく。
「…!赤羽業君…ですね。今日が停学明けと聞いていました。初日から遅刻はいけませんねぇ」
「あはは、生活リズム戻らなくて」
カルマの存在に気付いた殺せんせーはカルマに声をかけて 顔にバッテンを付けて怒るとカルマら冷や汗を掻いて言い訳をする。
「下の名前で気安く呼んでよ。とりあえずよろしく、先生!!」
「こちらこそ、楽しい1年にして行きましょう」
カルマが握手を求めると殺せんせーは触手を差し出してぎゅっと握ると握手した触手はドロォっと溶けた。
殺せんせーが驚くとカルマは左手のカーディガンからナイフを取り出して殺せんせーに攻撃を仕掛けるが避けられてしまう。
「…へー、本トに速いし、本トに効くんだ…
油断していた殺せんせーはニヒルな笑いをしながら手のひらを見せて細かく切られて貼り付けられてる対先生ナイフを見せる。
「けどさぁ、先生。こんな単純な「手」に引っかかるとか…しかも、そんなとこまで飛び退くなんてビビリ過ぎじゃね?」
(…初めてだ…殺せんせーにダメージを与えた
カルマは挑発的な言葉を殺せんせーに投げ付けるとバカにした態度で問い掛ける。
殺せんせーにダメージを与えた人が今までいなかった中で初めてダメージを与えた人物が現れたことにより、その場にいた人達は驚いて目を見開いていた。
「殺せないから「殺せんせー」って聞いたけど」
「!」
「あッれェ…せんせー、ひょっとしてチョロイひと?」
カルマは殺せんせーに近寄って顔を覗き込んでは更に挑発的に言葉を言い放つ。
その言葉に殺せんせーは顔を赤くして怒りを我慢していた。
「ルナ、私…E組来てから日が浅いから知らないんだけど…彼どんなひとなの?」
「…1年2年が同じクラスだったんだけど2年の時続けざまに暴力沙汰で…停学になったの。このE組にはそう言う生徒も落とされるの」
「でも…今この場じゃ優等生かもしれない」
「…?どういう事?」
茅野はルナのジャージの裾をくいっと引っ張ってカルマのことを聞くとルナは眉下げて茅野に説明するが彼女の瞳は悲しみでなのか揺れていた。
ルナの説明を聞き終えた渚は彼女の言葉に続くように言葉を呟くと彼の意図がわからない茅野は首を傾げて渚に問いかける。
「凶器とか騙し討ちの「基礎」なら…多分カルマ君が群を抜いてる」
くるくるとナイフを回しているカルマを見て渚は唾を飲み込んで彼の凄さを語った。
(逃げないでよ、殺せんせー…「殺される」ってどういう事か授業えてやるよ)
(赤羽くん…一体何があったの…?)
カルマは獲物を捕らえるように狙いを定めるような目をしているがそこには何故か憎しみが帯びているように感じたのかルナは悲しそうにカルマの背中を見つめた。
◇◇◇
「赤羽くん…!」
「…藤原さん、久しぶり」
「う、うん…あの、」
学校の帰り道、カルマの背中を見つけたルナはカルマに声を掛けるとカルマはピタリと足を止めて後ろちらっと見て彼女に声を返した。
まさか自分に声を返してくれると思ってなかったルナは戸惑いながら頷くと何かを口にしようとするが何も言えず固まってしまう。
「何?」
「……何か、あったの?」
「別に何も無いけど」
何も言わないルナにカルマは問いかけると彼女は勇気を出して彼の身に何があったのかを問いかけたがさらっと彼女の勇気の問いかけは流されてしまった。
(嘘つき…でも、)
「言いたくなったら言ってね!いつでも聞くから!」
「だーから、何もないって」
カルマの横顔を見たルナは眉を下げて困った顔をするがすぐにいつもの笑顔を見せてカルマに頼ってねとばかりに声を掛けるとカルマは呆れた声で言葉を返した。
「はいはい、わかりましたよぉ〜」
「本トに話聞いてる?」
「聞いてる聞いてる!…あ、復学おめでとうキャンペーンっ!はいっ!」
少し前にあったはずのやり取りが戻ってきたようでルナは少し嬉しくなって笑いながら彼の言葉を受け流すとカルマは怪訝そうな顔をして彼女に問いかける。
嬉しそうに笑いながら肯定の言葉を返すとルナは思い出したかのように鞄からラッピングされたお菓子をカルマにじゃーんっと言って渡した。
「…何、そのキャンペーン」
「復学おめでたいでしょ?」
「やっぱ変わってるよね、藤原さんって」
「…っ!冷たい態度して優しい赤羽くんに言われると照れますね」
まさか渡されると思ってなかったお菓子が目の前に飛び出してきたからカルマは目を見開いて驚くとルナが言った言葉にツッコミを入れると彼女は不思議そうにして首を傾げながら問いかける。
その彼女の態度にカルマはふっと笑いながらお菓子を受け取ると皮肉な言葉をルナに投げかけた。
受け取ってもらえると思ってなかったルナは驚いた顔を一瞬すると照れくさそうに微笑みながら言葉を返す。
「ケンカ売ってる?」
「まっさかぁ、えへへっ」
「っ、…」
彼女の言葉に眉をピクっと動かしてじと目でルナに問いかけると彼女は裏表のない笑顔でカルマの問いかけに否定すると前を向いて歩き出す姿にカルマは少し戸惑っていた。
(冷えて凍えた赤羽くんの心…少しでも溶けたらいいのになぁ)
ルナは前と同じようなやり取りをしても違和感を感じるのだろう…切なそうな顔をして彼女はただ彼を想って願った。
私 信じてるよ
―涙は似合わないの―