#12




(も〜…どこにいるんだろ、赤羽くん…あ!いた!!)


 また今日もお菓子を渡そうとしていたらあっという間に放課後になっていたルナは校舎から出てきょろきょろと辺りを見渡しながらカルマの姿を探すと崖の近くで何やら殺せんせーと渚と3人で話をしている姿を見つける。


「確認したいんだけど、殺せんせーって先生だよね?」
「?はい」
「先生ってさ、命を懸けて生徒を守ってくれるひと?」
「もちろん、先生ですから」
「そっか、良かった。なら、殺せるよ…確実に」


 ルナには届いていない会話がなされた後、カルマは銃を殺せんせーに向けながら崖から背を向けて落ちた。


(!!?…っ、)
「赤羽くん…!!」


 突然落ちて消えたカルマの姿に驚いて声を上げて名前を呼ぶが、彼が落ちたという事実にルナは恐怖で体が震えて動けずにいた。



◇◇◇



「もー…カルマ君、あんなことしないでよね、心臓に悪いよ」
「ごめんごめん、渚君」
「反省してるの…って、あ…藤原さん」


 呆れた顔をしてカルマに説教じみたことを言う渚にカルマは軽く受け流しながら謝罪の言葉を口にする。

 カルマのそんな態度を見た渚は横目でカルマを見て言葉を返そうとするが目に入った人物に少し驚いてルナの名前を呼んだ。


「……」
「何してるの?」
「っ!」


 名前を呼ばれても返事しないルナにカルマが見下ろしながら問いかけると彼女は顔を上げてカルマの顔をじっと見る。

 しかし、彼女の目からはボロボロと涙が溢れていた。


「え」
「……、僕は先に帰るね」
「え、ちょ、渚く…」


 今まで見ることの無い彼女の泣き顔にカルマは短い言葉を発して固まる。

 ボロボロと泣くルナと固まっているカルマを見た渚は眉を下げて2人に言葉をかけると下校という名の山下りをした。

 はっと我に返ったカルマは渚に声を掛けるが渚の耳には彼の声が届いていないのか届いてないふりをしてるのか…カルマの掛け声で振り返ることは無かった。

 
「っ、…………」
「はぁ…何泣いてんの?」
「っ、……赤羽くんのばかぁ…」


 ルナは眉間に皺を寄せて泣くのを我慢しながら黙っているが目からはボロボロと涙は勝手に流れる。

 誰も助けてくれる人のいない状況にため息をついたカルマはルナに涙の理由を問いかけると彼女は重い口を開いたかと思えばカルマの悪口を口にした。


「………」
「うう〜…頭いい癖にあんなことしちゃうなんてバカだよぉ…ふぅ〜…」
「…ごめん」


 カルマは彼女の口から出た言葉に眉を寄せて黙ってルナを見つめると彼女は言葉を口にしたことで思ってたことを素直に言葉を紡ぎながら自身の目からは流れる涙を手の甲で拭くが涙は一向に止まることは無かった。

 カルマは彼女が言った言葉は何に向けてなのかを理解すると困った顔をして謝る。


「あ、赤羽くんが死んじゃったらって…思ったら怖かった…ひっく…」
「ごめん」


 ボロボロ流れる涙を必死に拭きながら更に言葉を紡ぐルナにカルマは謝り続ける。


「胸がギューって苦しくなった…っ、!」
「ごめん」


 ルナはぎゅっと目を閉じて言葉を紡ぎ続けるとカルマは彼女を見つめては謝る。


「血の気引いたんだよ…!!」
「…ごめん」
「な、何笑って…るの…!!…う…ふ……うう…」


 ルナはきっと睨みつけるようにカルマを見ては声を荒らげて思いを告げるとカルマは困ったように笑いながら彼女に謝った。

 困ったように笑ってる彼にルナは泣きながら怒っているが泣きすぎで息がうまく吸えずに言葉に詰まらせて泣き声を出すのを我慢している。


(自分が傷付いた時は泣かないくせに…)
「聞いて…るの!…うっ、ふ…ひっく…」
「あはは、聞いてる聞いてる」


 カルマはそんな彼女を見て2年の時女子にハブられても泣かなかったルナを思い出して今目の前で他人であるカルマのことで泣いている彼女を優しく見つめていると黙ったままのカルマにルナは怒りながら声を掛けるとカルマは思わず笑いながら言葉を返す。


(あーあ、いつの間に)
「分かってないでしょ…好きな人が死んじゃったらって気持ち…ひっく…」
「え…」


 自信の気持ちに気づいたカルマは困った顔をして泣きながら怒り続けてるルナを見ているとルナはカルマに自身がずっと抱えていた彼への好意を打ち明けながら嗚咽する。彼女の突然の言葉にカルマは目を見開いて驚いた顔をした。


「私は…赤羽くんが好きだからこんなに泣いてるんだからね…!!」
「………」
「もう、あんなことしないで…」


 カルマに分かって欲しいとの思いからルナはもう一度自分の想いを告げる。告白をする彼女の顔は切ない表情をしており、カルマは黙って彼女の言葉に耳を傾ける。

 ルナは目を閉じてカルマに縋るように命を粗末にするような暗殺をやめてほしいと口にした。彼女のその声音は切ないものだった。


「ん…もうしないから…泣き止みなよ」
「誰が泣かせてるのぉ〜…もぅ〜〜…うー…」
「はは…俺らしいね」


 カルマは今までで1番優しい声でルナに声を掛けると彼女の頬を自身の両手で包み込むように触れて顔を覗き込む。

 ルナはやっと落ち着いてきた涙がまた溢れさせながらカルマに文句を言いながら涙を流すとカルマは苦笑しながらルナに言葉を返した。


「さっきから笑ってばっかぁ…」
「今気付いたんだけどさぁ…」


 先程から笑ってるカルマが気に入らないのかルナは不満そうに言葉を漏らすとカルマはふっと笑って話題を変えるように彼女に声を掛ける。


「な、……………っ!?」


 ルナはカルマの言葉に反応して言葉を紡ごうとしたが、カルマに手を引っ張られたことに驚いて言葉に詰まった。

 腕を引っ張られた彼女はそのままカルマに抱き締められていた。


「……俺も好きみたい」


 少し照れを含んだ声でカルマはルナだけに聞こえるように呟くと抱きしめている腕の力を強めた。



―「君が好きだよ」つぶやく―



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