#8




「おっはよー…?」
「「……」」


 翌日、元気に登校するルナは挨拶をするが誰も返事を彼女に返すこともせず無視をしていており、クラスメイトの男子たちもただ見て見ぬふりをするだけだった。

 彼女は返事が返ってこないことに首を傾げながら自席に付こうと歩き始める。

 
「っ!!」


 そして、ごみ箱の中身を何気なく見るとそこには麗華たちに作ってあげたシュシュや昨日渡したであろうお菓子がごみ箱に入っており、その事実に驚いて目を見開く。


(…あはは、見放されちゃったんだ)

 
 ルナは困ったように笑いながら自分の席に大人しく付くと1時間目の授業の準備をし始めた。

 
「あの子さ、男好きなんだってー」
「しかもさあの料理できますアピール?マジうざいよね」
(…言われたい放題だなぁ、私)


 麗華たちがルナをハブろうとあることないこと言っては彼女を傷付ける言葉を本人に聞こえる声の大きさで陰口を叩くとルナは自身のことなのにまるで他人事のように陰口を聞いて眉を下げる。

 更に陰口を言われ続けるがルナは聞こえないふりをしてお昼休みまでをなんとかやり過ごすことになった。



◇◇◇



(あっという間に独りぼっち…あっけないなぁ)


 彼女は午前中の授業を終えるとお弁当とたくさんのお菓子を持って屋上へ逃げるように向かった。

 屋上で1人ぽつんと手すりの近くに座ってお弁当を広げて黙々と昼食を取っては昨日までいた友人、それが一瞬で消え去ったことを実感していた。


「こんなにお菓子余っちゃったなぁ……あれ?」
「…何してるの」


 深いため息を付いて隣にらラッピングされた手作りのお菓子を見てぼやいていると彼女の目の前が突然暗くなり、不思議に思って前を見るとそこには表情の読めない顔でズボンのポケットに両手を突っ込んで彼女の前に突っ立っているカルマがいた。


「あ、かばね…くん」
「……なんだ、思ったより元気そうじゃん」


 ルナは今まで追いかけないと話せなかった彼が目の前にいることに…話しかけられている事実に驚いて言葉に詰まってるとふっと笑ってカルマはルナの隣に腰を下ろした。

 
「元気だよー、何言ってんの〜?」
「あんだけやられたのに笑ってられるんだ?」
「ふふ、何の話〜?」


 さりげなく隣にいてくれるカルマに胸の奥が温かくなったルナはふわっと笑ってカルマに言葉を返すと彼女を観察するようにじっと見ては問いかけると彼女は笑いながら話を誤魔化した。

 
「…何だろうね」
「ふふ、赤羽くんなんだかおかしいよ」
「うるさい」
 

 誤魔化す彼女を見てそれ以上踏み込まないように話を流すカルマにまたルナは笑っているとカルマは冷たい言葉を彼女に投げかけた。


「あ、そういえば今日も作ってきたんだ…食べてくれる?」
「はあ?いらな……!」
「お願い、食べて…」

 
 話題を逸らした彼女はそっと手作りのお菓子を手に持ってカルマに渡すとまたそんなことを言ってるのかとばかりに眉間に皺を寄せて断ろうとするが、彼は言葉に詰まらせる。

 何故なら、ルナがカルマのカーディガンの裾を弱々しく引っ張っていたからだった。

 いつもにこにこ笑っている彼女が今も笑っているが、いつもと違う笑い方…まるで泣きそうな顔をしていたことにカルマはルナの顔を見て驚く。

 
「………」
「あ…」
「…へえ、おいしいじゃん」


 カルマは黙ったまま彼女が手にしていたお菓子を取り上げてはごそごそと封を開けて中に入っていたカヌレを口にした。

 ルナは本当に食べてもらえると思ってなかったのかお菓子を取られたことに驚いて声を上げると彼の食べている姿をじっと見ていた。

 咀嚼し終えたカルマから出た言葉はずっと彼女が欲しかった言葉だった。


「っ、ありがとっ!!」
「…っ、気まぐれで食べただけだから」


 今までで一番いい笑顔でお礼を言うルナに思わず少し頬を赤くさせたカルマは素っ気ない態度で言葉を返す。

 
「ふふ、うん!ありがとー!」
「…人の話、聞いてる?」
(君だけは信じさせてね)
 

 素っ気ない態度でも食べてくれた事実が彼女の中で余程嬉しかったのか元気にお礼を言うとカルマは困った顔をして問いかけるがそれに対しての返答はなかった。

 嬉しそうに微笑みながらカルマの顔を見つめているルナにカルマは戸惑った顔をしていた。



◇◇◇



(いいことあったと思ったらすぐこれかぁ…赤羽くんに早く会いたいな)


 放課後…来年E組宣告を受けたルナは愕然とすることになった。

 そして、カルマも3年A組の先輩を殴ったとかで定額を受けることになる。

 彼女は悲しいことが起きても涙を堪え、呑み込んでただ早く学校で彼に会えることを心待ちにしていた。



私 信じたから? バカみたいだね
 
―ほらまた つまづいて―



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