「つっかれた…」
ここ最近、夜遅いのもあるけれどあることにも悩まされていた。
人間不思議なもので足元と自分の目線のものはすぐ目に入るが上にあるものには中々目に入りにくい。
それを理由に寝不足の私は誰にも見つからないだろうと思って学校内で一番高い木に登って休憩をしていた。
「…なんで最近、告白率高いのよ……」
そう、悩まされていることはそれだ。
今月に入って5度目になる告白に精神的に疲労していた。
しかも、なーんで中島君と付き合ってる体で話されるのよ。付き合ってないし。
何情報なのよ、それは!!
そんな事を心の中で否定してみるが、もう疲れで気力がなくなってきた私はいつの間にか木の上で眠ってしまっていた。
◇◇◇
「及川さん、日暮さんって及川さんの幼馴染っすよね」
「そうだけどどうしたの?」
「あの人、人気なんすね」
部活が終わり、メンバーで帰宅しようと学校の門へ向っている最中のこと。
金田一が俺に突然思い出したかのように話しかける。
今日1日の悩みの種であるくるみの名前を聞いて内心びくっとしては平然を装って問い掛けると人事のようにポツリと言葉を溢す。
意味が分からないんだけどー…くるみって人気なの?
「どうしたんだよ、金田一」
「たまたま昼に告白現場見たんっすよ」
「はあ!?」
「きゃっ!!」
マッキーとかも金田一の話に興味を持ち出し話に乗ってくると金田一は今日の昼にくるみが告られ照る現場を見たという。
俺は何それ!!と思って目を見開いて驚きの声を上げると上から何かが落ちてきては女の子の叫び声が聞こえてきた。
「「!?」」
「…あー……焦った……あ、や、やっほー」
当然俺たちは驚いたけど、あまりの突然さに声が出なかった。
けど、上から落ちてきた…というか木にぶら下がってる人物が誰なのかが分かると今度は呆然としてしまった。
その人物は安堵のため息を付くと目の前にいるのが俺だと分かると気まずそうに声を掛けてくる。
そう、俺の目の前にぶら下がった人物は今話題に挙がっていたくるみだった。
「何やってんの?」
「精神疲労困憊して木の上で養生してたら寝てた」
俺は若干顔を引き攣らせながらくるみに何をやってるのか聞くとぶら下がったまま…スカートは流石に抑えてはいるけど平然とした顔で端的に何をやっていたかを答えてくる。
え、本当にこんな子が人気あるの?本当に???
「……木の上で、寝る?普通…」
「というか降りたいのでそこちょいと退いてもらってもいいですか?バレー部さん」
げんなりした声でぽつりと呟く国見の声が俺の耳には届いた。
うんうん、それだよね。それ。
でも、くるみの耳には届いてないみたいで俺たちがいるせいで降りれないから退いてとどうでも良さ下に言ってくる。
「受け止めてあげよっか?」
「ううん、邪魔」
俺はにこやかに笑って両手を広げてくるみに提案をするが、彼女は満面の笑みで即答で否定された。
少しはノッてくれたりさ、照れてくれても良くない!?
俺はバレー部の奴らにくすくす笑われながら、木の下から退くと彼女は器用に片足を木に引っ掛けて体を支えてもう片足で木の上にあるカバンを引っ掛けて地上に落とし、その勢いで綺麗に地上へと着地した。
「あー…頭に血が上ったー」
「お前な、女なんだからもう少し恥じらいを知れ」
くるみは数分逆さになって俺らと会話をしていたからなのか頭を抑えて血が上ったとか言ってるけど俺らは呆然と彼女を見ているしかなくて、岩ちゃんがため息を付いてくるみに呆れた口調で軽い説教じみたことを口にし始める。
うん、そうだよね!
俺ら、これでも思春期の男の子だから!!
俺が心の中で突っ込みを入れていると誰かのスマホが鳴り出した。
「そうは言っても不可抗力…わー…はじめちゃん」
「なんだよ」
「今日って水曜日だよねー…」
「そうだな」
反省の色を見せないくるみはスマホを取り出して液晶画面を見ると岩ちゃんに話しかける。
岩ちゃんは不思議そうに返事をするとくるみは唐突な質問をしていた。
曜日を忘れてたの?忘れるにしては早くない?
まだ17歳だよ!?
岩ちゃんは淡々とくるみの質問に肯定するので何があったんだと思った俺はくるみが持っているスマホを見てみるとそこに表示された名前はまたもや中島敦だった。
え、またあいつ…!?
「……はい、日暮です…ごめん、学校で寝てた…はい、はい…い、今から10分で行く!!」
「ねえ、くるみ…」
「ごめん!はじめちゃん!徹!!またね!!」
くるみは恐る恐る電話に出ると言い訳(事実だけど)をすると焦りながら言葉を電話主に返すとすぐさま電話を切った。
俺は電話のやり取りが気になってくるみに聞こうと声を掛けるとくるみは焦りながら俺の言葉を遮って挨拶すると急いで自転車置き場へと走っていった。
「ねえ、岩ちゃん」
「なんだよ」
「本当にあれで人気あるの!?」
俺は呆然としながら岩ちゃんに話しかけると面倒くさそうに岩ちゃんは返事をしてくれる。
そして、ずっと思ってたけど、今一番の疑問を半ギレで岩ちゃんに問い掛けてしまった。
岩ちゃんにはうるさいと頭を叩かれてマッキーは今月くるみが5回も告られていることを教えられた。
俺はくるみが人気あるとただ信じたくなかっただけかもしれない。
人気なのは
―俺も彼女も同じらしい―