#4




 今日は割りと平穏な昼休み…のはずなんだけど、すっごい視線を斜め前辺りから感じる。
 
「………」

 斜め前の席といえばはじめちゃんの席なんだけど、視線の送り主は彼じゃない。
 隣のクラスからわざわざ来てるからはじめちゃんに用事があったんだろう。
 最初は二人で話していたのに話の途中から私に視線を送り続ける人物が居る。
 すごい視線を送ってきてる人物は誰かというと幼馴染のあいつ。及川徹。
 話しかけてくる様子もないので私は視線をスルーして本を読み続ける。
 あれは目を合わせちゃいけない。うん。

「あ、日暮!」
「何かあったの?」
「あれ、出来た!聴いてみ!」

 気持ちを切り替えて本に集中しようとしていたら後から名前を呼ばれて振り返ればそこには中島君が紙を持っていて彼の行動を見守っていると彼は私の前の席に座った。
 私は不思議そうに首を傾げると彼は私に楽譜とイヤホンを渡してくるので私は片方のイヤホンを耳に入れて楽譜に目を映すと中島君はもう片方のイヤホンを自身の耳に入れると再生ボタンを押す。
 
「……!!」
 
 イヤホンから流れる音楽に私は驚いて目を見開いているとニッと自信満々で中島君が笑ってくる。
 こりゃ、自信満々になるわ!!すっごいいい曲!!

「なっ!ちょ!!岩ちゃん、あれ近くない!?」
「うるせぇ、及川」
 
 私はテンションを上げては楽譜に見入って曲を聴き続けたからそんな幼馴染二人の会話なんて全く耳に入ってこなかった。

「ど、ど?いいべ?」
「めっちゃいい!あ、でも、ここの音ない方が軽く感じていいかも…その代わりベースを…」
「ああ、なるほど」

 曲が終わると私はイヤホンを外すと中島君はキラキラした目で曲の感想を私に求めてくる。
 私も曲の出来に良かったことを伝えると思い出したように楽譜を見て中島君に提案をすると私の意図を汲んでくれた様で納得しては楽譜に書き込みを入れていく。

「流石だね、中島君」
「いやあ、日暮もやるな…あ、そういえばこの曲の歌詞任せたぞ」
「ええ…やっぱり私なの?」

 書き込みを終えた彼に私は中島君を褒めると彼も私を褒めてくれる。
 同じ感性を持つ仲間が出来るのは本当に嬉しい…と思ったら彼は私にとんでもない事を言ってくる。
 私はげんなりした顔をして問い掛ける。
 歌詞とかそんなだいそれたセンスもってないんだよね…。
 
「当たり前だろ、ボーカルが書いた方が感情入りやすいんだからな」
「センス皆無なんですけど、それでも?」
「それでも!任せた!じゃあな!…あ、今日忘れるなよ」
「はぁい」

 私の問いかけに付いては当然のように遂行するよう言われたけど、どうしても断りたくて私はセンスの無さを売りに出したが、買ってはもらえず作詞を投げられてしまった。
 そして、ここ最近私が遅刻しているからなのか彼は今日も練習あるぞとばかりに小声で忠告しては教室を出て行くと私は気の抜けた声で返事をすると楽譜と睨めっこをする。
 先ほどから私と中島君が何を話しているかというと…実は私たちはバンドメンバーなのだ。
 私が目立つのが嫌だから私がバンドをやってることは家族と…あと1人しか知らない。
 メンバーも私がメンバーだということは極力言わないでもらってる。
 ……にしても、作曲かあ。出来るかなあ…なんてぐるぐる考えては私は机に頭を乗せていた。

「ねえ、あれ何!?」
「…気になるなら自分で聞けばいいだろ。俺は知らねえ」
「岩ちゃんのケチ!」
 
 徹が何かを叫んでいる声は聞こえたが、正直今の私には同でもいいので聞こえないフリをしていたので徹がはじめちゃんに私を指差して質問していることなんて知ることなんて無かった。
 ただ、お昼休み終了のチャイムと同時に徹の拗ねた声だけは聞こえてきた。


視線を

―送られ続けても気づかないフリー


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