「あーもー…!!韻が踏めてない!!」
私は勉強机に向って勉強をしていたわけではない。
今日のお昼休みに出された課題…作詞をただいまやっております。
あ、ちゃんと練習には行ったよ?
でも、今日は解散が早くて…じゃなくて早く歌詞を完成させろと命令を下されたのです。
なぜかというと次のライブで発表するらしい…待って、あと1週間しか無いじゃん。
「うー…才能が欲しー……」
「何珍しいこと言ってんの?」
「…………だから、勝手に入ってこないでー…」
日数が余り無いことに焦りを感じながらも愚痴を溢すしか今の私にはなくて切実な願いを口にすると幼馴染は勝手に家に上がりこんで部屋まで入ってきたらしい。
私が珍しく弱音?愚痴?を吐いているので少し驚いているような声だ。
そんなことよりも勝手に部屋に入るなって。
乙女の部屋なんだよ、一応。
「前に俺の話聞いてくれるって言ってたのはー?」
「…忘れてた。ごめん、聞きます」
「最近くるみ冷たすぎー…って、なにしてんの?これ」
徹は私の部屋の扉を閉めては扉によっかかりながら拗ねてますーって声を出して問い掛ける。
あ、やば。色々あって吹っ飛んでました。
あれ、途中でしたね。
そう思った私はイスをくるりと半回転させると徹の話を聞く体制に入ると私に歩み寄ってくる徹は私に文句を言いながら机の上に散らかった書きなぐったような文字を目にして手に取る。
「え!?ちょ、だ、ダメ!!」
「………」
不意打ちにセンスゼロの歌詞を取られて読まれた暁には私は死ねる!と思って羞恥で顔を赤くしながら思いっきり徹の手にある紙を奪い取った。
奪い取ると徹は不機嫌そうな顔をして私をじっと見る。
え、も、もしかして、見た?見た!?
「え、見えた……?」
「全然……ラブレターでも書いてたの?」
「良かったぁ…」
恐る恐る私は徹に問い掛けてみるとじーっとこっちを見ながら見えてないことを伝えてくる。
しかも、変な勘違いまでしてる始末で私は見られていないことに安堵した。
「誰か好きな奴でも出来たの?」
「へ…?あの、これ、ラブレターじゃないんだけど」
「ふーん……そういえばさー、中島と付き合ってるって噂本当?」
「ちょっと!話聞いてる!?」
何か良く分からないけどイライラしている徹は突如変なことを言い始めるから私は戸惑いながらラブレターなんか書いてないと否定するが彼の耳に届いていない。
そのまま続けて彼は中島君と私が付き合ってる噂の真偽を確かめてくるので全然話を聞いていない彼に驚いて腕を思わず掴んでしまった。
…ていうかなんでそんな噂知ってんのよ!!
「………」
「中島君とは付き合ってない。共通の趣味があるだけ!」
「じゃ、何で中島から電話が来たらあんな遅くに出かけるの?」
完全に拗ねてる徹はただ黙って私を見る。
身長差があるし、拗ねてるから余計に見下ろされてると若干怖さもあるけど良く分からない誤解は解かないと思って私は噂を否定して事実を述べる。
でも、私の言葉を信じていないのか以前フラレたときに夜遅くに出かけたことが徹の中で疑問が消化されてなかったようで今、一番聞かれたくないことを質問してくる。
「それは…私が用事すっぽかしたから……」
「だからってあんな時間に呼び出されて家出てくの?」
「………い、言いたくない」
私は彼が聞きたいことはそれじゃないと分かっていながらも当たり障りの無い真実を伝える。
でも、徹はやっぱり納得してくれなくて私に更に問い掛けてくる。
嘘は言いたくない。でも、本当の事も言いたくない。
こんな心から今の本心を口から溢してしまった。
「言いたくないって何…やっぱり噂は本当なんじゃん」
「…だから何でそうなるの!?というか徹に関係ないよね!?」
私の言葉を結局信じてなくて私の呟いた一言を噂が本当だと解釈した彼は低い声で私に向って言葉を吐いた。
私は今の今まで我慢してた何かが“ぷっちーん”と切れた音がすると本当に珍しいくらい声を上げて徹に突っかかった。
「…教えてくれたっていいじゃん!幼馴染なんだし!」
「幼馴染だからって何で全部言わないといけないの!?」
「っ……」
徹も私に負けじと声を上げて徹の言い分を主張してくるけど私にも言い分ってものがあってそれを言い返すと彼は言葉を詰まらせて黙ってしまった。
「よく分かんない勘違いするし、違うって言ってるのに信じないし、言いたくないって言ってるんだから私が言う気になるまで待ってくれたっていいんじゃない!?私、今まで徹の言いたくないことには言ってくれるの待ってたよね!?」
「…くるみ…俺…」
「あーもー、やだ。顔見たくない。帰って!!」
私は何でこんなに責められるんだろうと思いながら最近慣れない告白やら作詞やらで疲れている私はもう限界を超えていてボロボロ涙を流して徹に言葉をきつく返す。
私が泣いたことに慌てたのか何かを徹が言おうとしていたけどそれも聞きたくなかった私は徹の背中を押して私の部屋から追い出した。
彼が好きだけど彼に彼女が出来た話も彼が別れた話も聞いてあげる。
愚痴だって何でも聞いてあげられるし、大抵のことは耐えられる。
でも、好きな彼から信じて貰えないのだけは私には耐えられなかった。
「徹なんてだいっきらい!!」
扉を挟んだ廊下側の私の部屋の扉の前にまだ徹がいて私に何か声を掛けようとしていたけど、私はすべてを遮断するように彼にひどい言葉を投げつけた。
どんな話を聞くことより
―彼に信じて貰えないことの方が耐えられない―