「あー…それなんだが、受けないそうだ」
『それってどういうことかな?龍にぃ』
試験になり、レコーディングルームへ訪れた明莉だがそこには龍也しかおらず、パートナーであるレンがいないことににっこり笑いながらレコーディングルームにいる彼女らの担任である龍也に問い掛ける。
龍也は眉間に皺を寄せてはレンから言われたのであろう試験辞退したことを明莉に告げると彼女は張り付いた笑顔のまま龍也に更に問い掛けた。
「そこまでは俺も知らなねぇよ」
『担任でしょー!?』
「珍しく怒ってるな、お前」
龍也は彼女の問い掛けに頭をガシガシかきながら言葉を返すと明莉は八つ当たりのように彼に言葉を返した。
彼女が声を荒げて怒っているのは珍しいらしく龍也は困った顔をして彼女を宥めようとする。
『当たり前でしょ!受けないなら私だって曲作らなかったのに!!』
「……お前なぁ」
『ふんっ!』
しかし、彼女が怒っている理由は受けないからではないようだ。
明莉はレンが受けると思って作った曲が無駄になったことが許せないらしく文句を言っていると龍也は頭を抱えて深いため息を付いていた。
「神宮寺からお前が作った曲は預ってる。お前の評価はこれでやる。いいな」
『ねえ、龍にぃ…これ聴いた?』
「ああ、もう聴いた」
明莉が以前レンに渡していた曲のデータが龍也に渡っており、龍也はそれを彼女に見せながら今回の試験の評価のやり方を伝えると彼女は龍也に彼女の作った曲を聴いたかを突然問い掛ける。
龍也は不思議そうな顔をしながらも彼女の問いに答えた。
『その曲、聴いてどう思った?』
「文句なしだ」
『………私の評価今回ナシで』
明莉はじっと見つめながら続けて龍也に曲についての感想を聞きだすと龍也はふぅと息を吐いて一言、彼女の曲の評価を口にする。
彼女はその言葉を聞いてはため息を付いて片手を上げてテストの評価を辞退することを龍也に伝えた。
「はあ?お前何言って…」
『歌い手が歌う気になれない曲なんて曲じゃない』
「いや、でも、お前なぁ…この曲のクオリティは文句ないんだぞ?それでもか?」
彼女の突然の言葉に龍也は呆れた顔をしながら明莉に言葉を返すが、彼女は真剣な顔をして彼女の持論を断言する。
龍也は彼女の言葉が理解できない訳でもないのか言葉を濁していたが、彼は彼女を説得しようと問い掛けた。
『サックスさんが歌わないならこの曲は生きられない』
「…神宮寺は曲の評価はしてくれって頼んできたぞ」
『……そんなの知らないわよ、だったら歌えっての!』
明莉は眉間に皺を寄せて龍也に訴えるように彼女の意思を伝えると彼はレンが彼女の曲を評価するように直談判してきたことを伝えると逆にそれが気に入らなかったのか明莉は声を荒げて文句を言う。
『とにかく、私の評価いらない!』
「あ、おい!明莉!…ったく、あのバカは」
明莉はレコーディングルームの扉を開けて龍也のことをキッと睨み付けてテストの評価はいらないと断言して出て行く。
龍也は彼女が出て行くのを止めようとした人の話を聞きもしない明莉に頭をガシガシかいて毒を吐いた。
◇◇◇
「あ、春歌!すごいじゃん!上位にいるよ!」
「ほ、本当だ…!トモちゃん!」
全ての生徒たちのテストが終わり、テストの結果が廊下に張り出されており、テストの結果を気にする生徒たちは順位の書かれた張り紙を見に来ていた。
春歌と友千香もその中の1人で春歌の名前を見つけた友千香は自分のことのように喜んで春歌に教えてるとまさか上位にいると思わなかったのか春歌は驚いている。
「まあ、上出来だな」
『ヨカッタネ』
「お前…棒読みにも程があるだろ」
翔も上位にいるようで自身の結果にまあまあ満足しているように言葉を口に出すと隣で張り紙を見に来ていた明莉は彼に言葉を掛けるがあまりにも棒読みの言葉に翔は呆れたように突っ込みを入れた。
「あいつらも…負けてらんねーな!…って、お前は何で載ってないんだよ」
『受けてないからじゃない?』
「はっ!?」
『うるさい…』
翔はよく話すAクラスのメンバーも上位に上がっていることに気が付き、更にやる気を出すが隣にいる彼女の名前を探しても張り紙に貼っていないことに疑問を持って彼女に聞くと明莉はさらりと爆弾発言をした。
彼女の投下した爆弾に翔はこれでもかというように目を見開いて驚きの声を上げると彼の声は大きかったのか怪訝そうな顔をして声の大きさに明莉は文句をつける。
「あ、わりぃ…って、ちがーう!!何で受けてないんだよ!!」
『サックスさんが歌わないから』
「はあ〜!?」
大声を出したことに翔は謝るが、それどころじゃないとばかりに明莉に問い詰めると彼女はさらりと理由を言う。
しかし、彼女の理由に納得いかない翔は眉間に皺を寄せてまた大きな声を上げた。
「やあ、レディ」
『…サックスさん、何用?』
「どうして君の名前が載ってないんだい?」
そんなやり取りをしている二人の元にレンは歩み寄ってきて彼女に声を掛けると明莉は冷たい視線を送りながら彼に問い掛けると彼も不機嫌そうに彼女に問い掛ける。
『貴方が歌わないからじゃない?』
「俺が歌わなくても評価されただろう?」
『されたよ、文句なしだって。私が辞退しただけの話』
明莉は目を閉じてレンの問い掛けに返答すると彼女の評価がないことは彼にとってイレギュラーだったようで彼は続けて彼女に問い掛ける。明莉はさらっと昨日貰っている評価とそれを辞退したことを彼に伝えた。
「じゃあ、何で…」
『何で……だぁ?』
「っ!!」
(怖っ…!!)
彼女の言葉にレンは眉間に皺を寄せて辞退した理由を問い詰めようとしていたようだが、その言葉に明莉は眉をピクっとさせては唸るような声を出しながらレンを睨みつけると彼女がそんな反応すると思ってなかったのかレンを驚いた顔をする。隣にいた翔もこんな明莉を見たことはなかったのか頬を引き攣らせてビビッている。
『歌い手が歌わない曲を私は出すつもりはない』
「何で自分でチャンスを潰すんだ」
『生み出された曲は歌われなければ生きることも出来ずに死ぬの』
「………。」
明莉は睨み続けながら彼女は言葉を紡ぐとその言葉にイラだったようにレンは言葉を返すが、彼女は尽かさず言葉を返とレンは黙って彼女を見つめた。
『いーじゃん、あんたが逃げたから私は付き合ってあげたってことで』
「……。」
『これから先も逃げたきゃ逃げればいいよ、繊細なお坊ちゃま』
明莉は睨み付けるのをやめて深いため息を付いては先ほどまでの低く緊張感の走る声音とは打って変わっていつも通りの声音で飄々とした顔をしながら嫌味ったらしく結果論を言うとレンは彼女をにらみ続けて黙る。
彼女はレンの緩く結ばれたネクタイをぐいっと引っ張っては悪魔のように耳元で囁いた。
「っ!」
明莉に囁かれた言葉が予想外だったのかレンは目を見開いて驚くと彼女はその表情に不適に微笑んでレンを突き飛ばしてスタスタと何事も無かったように歩き出した。
私にだって
譲れないものぐらいある