#19




『ふわぁ〜〜〜…』
(…筆記テストも貼り出されるの、これ)

 早乙女学園の廊下の壁に張り出されている筆記テストの結果を気にして学生達がぞろぞろと張り紙の近くに集まっている中、明莉は少し後の方で大きな欠伸をしてのん気に順位をボーっと眺めていた。

「おはようございます!」
「おっはよ〜!」
『春歌、友千香…はよ』

 彼女の姿を見かけた春歌と友千香は明莉に挨拶を元気良くすると彼女は眠そうな顔をしながら彼女達に返事を返す。

「テンションひっくいわね」
『眠い…』
「だ、大丈夫ですか?」
『多分……ふわぁ〜〜〜…』

 思っていたテンションと違った友千香は眉下げて明莉に言葉を返すと彼女はポツリと言葉を紡ぐ。彼女の眠気具合に心配になった春歌は明莉に問い掛けると彼女は曖昧な言葉を返してまた大きな欠伸をした。

「…とてもじゃないけど大丈夫そうには見えないわね」
『ふわぁ〜〜〜〜…』
「女子がそのように大きな口を開けて欠伸をするのはどうかと思うが」
 
 明莉の言葉に呆れたように突っ込みを居れる友千香だが、明莉は我関せずなのか再び大きな欠伸をしていると後ろから凛とした声が明莉に忠告の言葉を投げた。

「まさやん!」
「聖川さん!」
『おはよー…』

 3人が後を振り返るとそこには青髪の美男子が立っており、彼の名前を驚いたように友千香と春歌が呼ぶと明莉は眠そうな目を向けて挨拶をする。
 
「五十嵐は少し女子の嗜みというものを身に付けた方がいいぞ」
『そういうのって男女差別だと思いまーす』

 真斗は腰に手を当てて明莉に言葉を掛けると彼女は言い訳らしい言葉を彼に返した。

「俺は忠告したからな」
『はーい、聖母ありがとー』
「誰が聖母だ」

 明莉の言い分に呆れたように真斗は言葉を返すと明莉は適当な返事をして真斗を“聖母”と呼んで御礼を言うが、一つのワードを聞き捨てならないのか真斗は突っ込みを彼女に入れる。

『聖川さんがお母さんっぽい=略して聖母』
「……やめろ」
「マサやんにそんな呼び方するのはアンタぐらいよ」
「あはは…」

 明莉は突っ込みを入れられたのでその“聖母”と言った意味を説明すると彼は真顔で彼女の言葉を否定した。二人の会話を聞いていた友千香は眉下げて苦笑いしながら、明莉に言葉を掛けると春歌は困ったように笑っていた。
 
「おー!お前ら!!テストどーだった!?」
「あ、翔ちゃんにおとやん、四ノ宮さん」

 中々に大きな声でテストの結果を聞いてくる声に4人は振り返るとその声の主は片手を上げて笑顔で近寄ってくる翔だった。その存在に気が付いた友千香は翔とその後にいる音也と那月の名前を口に出す。

「俺達結構いいところまでいったよ!!」
「ふっふーん、さすが俺達だよな!」
『へぇ…おめでと』

 音也は嬉しそうにテストの結果を4人に話すとドヤ顔で腕を組みながら言葉を言い放つが、明莉はどうでも良さそうに聞こえる声音で“おめでと”と言葉を零した。

「って、お前なあ……反応薄すぎだろ!!」
『絶賛眠気と戦ってる…』
「でも、テスト前はあんなに不安そうだったのに結果が良くて良かったわね」

 あまりにも薄すぎる反応を見せた明莉に翔は突っ込みを入れると彼女は眉間に皺を寄せてまるで欠伸を我慢しているように言葉を返す。友千香は翔にテスト前のことを思い出して労いの言葉を掛けた

「勉強会のおかげだね、翔ちゃん」
「ああ!」
「俺さ、五十嵐が笑ってた問題が出たからスラスラ〜って解けたよ!」

 那月はニコニコ笑いながら翔に言葉を掛けると翔もニッと笑って彼の言葉に同意を示す。音也は嬉しそうな顔をしながら思い出したように以前勉強会をした時に話題になった“あの”問題が解けたと喜んで報告をした。

 「ああ、あの問題ね」
「明莉ちゃんのおかげで私も解けました」
 
 音也の言葉に友千香は口角を上げて言葉を返すと春歌も嬉しそうに音也と同じように解けたと報告をする。
 
「みなさんは結果どうでしたか?」
「俺は上々だな…」
「私も!で、春歌はなんと7位!」
 
 那月はテストの結果を問い掛けると真斗、友千香が答えると何故か友千香は春歌の順位まで口にした。
 
「と、友ちゃん!」
「え!?七海!凄いね!!」
「そんなことないです」

 まさか自分の順位を言われると思っていなかったのか春歌は少し恥ずかしそうに友千香を制止するように彼女の名前を呼ぶと彼女が上位にいたことに驚いて音也は自分のことのように嬉しそうに笑って彼女を褒めるが彼女は彼の言葉に否定の言葉を返す。

「いや、対したもんだぞ。七海」
「すげー!」
「ハルちゃん、すごいです」

 真斗、翔、那月も音也に続いて彼女を褒めると褒められるのが照れくさいのか春歌は謙遜して首をブンブン横に振っていた。

「で、アンタはどうだったのよ」
『ふわあ〜〜……何が?』
「いつまで欠伸してんのよ…テ・ス・ト!」

 まだ順位を言っていない人物の方を向いてテストの結果を聞こうとすると明莉はまた大きな欠伸をして何に対しての問い掛けなのかを問い掛け返す。先ほどからずっと欠伸をしている明莉に友千香がため息を付いて呆れて言葉を返すと彼女の問い掛けに答えた。

『ああ、なんか一番上にいるね』
「「は?」」
「へ……一番、うえ……明莉ちゃん!凄いです!!1位なんですね!」

 友千香の問い掛けに納得したようで明莉はふっと貼り出されている紙の上のほうを見ながら他人事のように言葉を紡ぐと彼女の言っている意味が分からずその場にいた6人は首を傾げる。“一番上”というワードを素直に聞いた春歌は一番上を見るとそこには1位、五十嵐明莉 100点と書かれており、春歌は目を見開いて驚いては嬉しそうに明莉を賞賛した。
 
『……みたいだねぇ』
「なんで他人事なのよ」
『耳を澄ましてごらんよ』
「「??」」

 明莉はぼーっとして他人事のように言葉を零すと友千香が不思議そうに彼女に言葉を返すと明莉はふぅと息を吐いて目を細めて彼女達のいない方向へ目線のみ向けると6人はまた不思議そうにしながら言われた通りに耳を澄ませてみる。

「え、あの子が1位!?」
「どうせ、カンニングでもしたんじゃないの?」
「でも…カンニングって言ってもあの子しか満点いないから他の人の見ても1位にはなれないんじゃない?」
 
 こそこそと話しているつもりの女生徒数名が明莉を見て影口を叩いているが、彼女のあまりの結果に文句の言いようがないとばかりにざわめいていた。

『………理解した?』
「どうしてそうなるんだろうな」
「どーせ嫉妬だろ、女々しい」
 
 一部をまた聞き取った明莉は6人にも聞こえたかと問い掛けると真斗はふぅと呆れたように息を吐くと言葉を零す。彼の言葉に翔は少し苛立ちながら言葉を返した。

『まあ、女だから女々しいのは普通なんじゃない?字的に』
「五十嵐は冷静だね……あはは…」
「明莉ちゃんは男らしいですね〜」

 明莉はどうでも良さそうに冷静に分析する姿を見て音也は眉下げてポツリと言葉を紡いでは力なく笑うと那月はニコニコ笑いながら彼女を賞賛する。

「四ノ宮さん、それ褒め言葉?」
「明莉ちゃんが勉強して1位になったのは事実ですから……その、気にしないでくださいね!」
『……うん、ありがと。春歌』

 しかし、那月の言葉は女にとってはあまり褒め言葉とは取れないため、思わず友千香が突っ込みを入れると春歌が明莉にあわあわしながら励まそうと言葉を掛ける。その必死さに明莉は柔らかく微笑んで彼女にお礼を言った。

「次は歌のテストだよな」
『…来栖くん、気が早くない?まだ4月だよ』
「4月ってももう終盤だろ?つーか、明後日からGWだぜ?」

 翔は二人の会話を見てふっと笑っては5月にあるテストについて言葉を紡ぐとまだ先のこととばかりに呆れたように明莉は翔に言葉を掛けると翔はにっと笑っては言葉を返した。

「あっちの方にもう次のパートナーが貼り出されるらしいぞ」
「行ってみよう!」
 
 テストの順位の隣に書かれているようで騒いでいる生徒を見かけた真斗はみんなに声をかけると音也が楽し見にしているような顔をしながら歌のテストのパートナー表の方へとみんなを誘った。

「私のパートナーは…と、ああ!春歌じゃなかった〜〜」
「えっと……私は…あ!聖川さんです!」
「七海、よろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いします!」

 表を各々見ていくが友千香は春歌とパートナーになれなかったことにショックを受けて春歌に抱きつくと彼女は友千香を受け止めつつ自分のパートナーを見つけると声を上げ、真斗の方を見る。彼はふっと微笑みながら春歌に言葉を掛けると彼女も丁寧にお辞儀をして言葉を返した。

「ちぇ〜…俺、七海と組みたかったな〜」
「僕もです〜」
『春歌は人気者だな〜……って、あれ?』

 音也と那月も春歌と組みたかったようで落ち込んだ顔をして言葉を零すと明莉はみんなの会話を聞きながら言葉をぽつりと零すと自分の名前を見つけては隣に書いてあるパートナーの名前を見て目をぱちくりさせた。

「次のパートナーはお前みたいだな」
『……そうみたいだね、来栖くん』

 いつの間にか隣にいた翔からにっと笑顔を向けられて言葉をかけられた明莉は彼の方を見て言葉を返す。

「お前がパートナーなら不足なし!よろしくな!」
『ふっ……応えられるよう頑張ってみますか』

 自信満々の顔をして握手を求める翔に明莉はふっと微笑んでは今回の歌テストはやる気があるのかそれらしい言葉を紡ぐと彼の手を握った。


入学して約1ヶ月

少しの成長と次の課題へ




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