―…翌朝
「おい、起きろ」
「…………」
静かな朝、心地よい気温の中で気持ちよさそうに寝ている人がいる部屋。そこに戸を煩く開け、ずかずかと部屋に入室する者がいた。
そして、とても低音の響きの命令口調とともに寝床にどしっと座ってくるご迷惑な人がいた。
「ユエ。何、寝たふりしてんだ。起きろ」
「……何のつもりです?それに私の起床時間まであと四半刻ほどあります」
「そんな事言わずに起きましょうよ〜」
再度命令口調で話しかけては思い切り体重をのしかかってくるハク。流石に重みに勝てなったユエはとても怠そうに自分の眠りの妨げをした彼を睨んだ。
そんな二人の間に緩い雰囲気でのんきな言葉を放ってきた人が、いた。
「……スウォン様。何故、貴方まで……」
「騎射、やりましょ〜」
「……貴方まで私の睡眠を減らしたいのですか」
緩い言葉を放ってきたスウォンがまさか一緒に来ているとは思わずぎょっとした顔をする。目に入るスウォンはにこにこと笑っては騎射を勧めるように説得していた。
全く話を聞いていないスウォンに彼女の顔は少し暗くなっていく。
「いい加減、お前も起き……」
「っ!!?」
ハクは観念しろとばかりに背を向けていたユエの肩を掴みぐいっとこっちを向かせようとしたが、その時に彼女の胸元がちらりと見えてしまった。
それに驚き、がばっと起き胸元を隠した。
「ユエ?どうかしましたか??」
「え、あ、ああ……何でもありません。起こされて眠れそうにないのでお誘いお受け致します」
「あー、じゃ、外で待ってっから、早く来いよ。スウォン様、行きましょ」
きょとんとした顔をして首を傾げて問うてくるスウォンにユエは戸惑いながら首を振っていた。彼の様子を見る限り、見られていないから気づいてないとユエは判断したはしい。
ハクはというと完全に見てしまっていたので、誤魔化し、スウォンの背中を押しながら部屋から出ていった。
「……ハクには、見られた……?見られて……ないよ、ね……?……と、とりあえず着替えなきゃ!」
(やべぇ……見ちまった)
2人が出ていくところを見てしばらくしてから1人残された部屋でぼそりと呟く。出てくるのが遅いとまた戻ってきてしまうかもしれない。それは非常に困る。ユエは着替えを急いだ。
ハクはというと先ほど見てしまった光景を思い出したらしい。赤くなった顔を手で覆い隠していた。